公益財団法人 国家基本問題研究所
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石川弘修の記事一覧

参議院選挙公示前日の21日、日本記者クラブ主催の9党党首討論会が開かれた。ロシアのウクライナ侵攻後、初の開催であったが、討論は総花的で、日本の国土、生命を守る安全保障問題が軽視された。 討論会には、岸田文雄首相(自民党総裁)、山口那津男・公明党代表のほか、野党は、立憲民主党・泉健太代表、日本維新の会・松井一郎代表をはじめ共産党・志位和夫委員長、玉木雄一郎・国民民主党代表、山本太郎・れいわ新選...

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自民党総裁選に立候補した河野太郎、岸田文雄、高市早苗、野田聖子の4氏による討論会が9月18日、日本記者クラブの主催で開かれた。討論は約2時間にわたったが、質問内容は必ずしも国民の関心事を反映していたとは言えない。各候補に与えられた発言時間にも差が目立った。 候補によって発言時間に倍の開き 日本記者クラブ主催の討論会は、これまでも総選挙前に各政党党首を招くなど、度々開催されてきた。今回は...

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 フランス政府は6月23日、社会民主党の福島瑞穂党首(参議院議員)に国家功労勲章シュバリエ(騎士)を授与した。東京の同国大使館で開かれた授与式でフィリップ・セトン大使は、死刑廃止、男女共同参画、従軍慰安婦問題など「長年にわたって人権擁護のために闘った」と福島氏を讃えた。 だが、福島氏は前任党首の故土井たか子氏らと一緒になって、日本人多数を拉致した北朝鮮を支援してきた中心人物の一人である。人権...

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 日刊紙の部数減が加速しているが、中でも朝日新聞の減少幅が大きく、今年8月の販売部数はついに500万部台を割り、499万部を記録した(月刊誌FACTAオンライン号外)。2009年まで維持していた800万部台から実に300万部を越す大幅減となったのは、単にネットメディアに押され、紙媒体が退潮したということだけでなく、立憲民主党などと共通した左寄りの、硬直化した偏向報道が読者離れを引き起こしたものとみ...

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米大統領選挙は、民主党のバイデン前副大統領が現地時間7日夜、勝利宣言を行い、混戦に決着をつけたと米メディアは報じた。しかし、トランプ大統領はメディアの予測をはるかに上回る接戦を展開、敗北は認めていない。今回の選挙戦を通して浮き彫りになったのは、バイデン氏を強くバックアップした主要なテレビ、新聞がまるでリベラル民主党のプロパガンダ機関の様相を呈したことだ。 毎回、多くのメディアが支持する候補を...

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 オーストラリアと中国の関係が一段と悪化している。中国国家安全部の追及を受け、出国禁止を求められていた豪メディアの特派員2人が9月8日、中国から急きょ出国し拘束を免れた。1973年、豪中関係が正常化され、オーストラリアの公共放送ABCが北京支局を開設して以来、正規の豪特派員がいなくなるという異例の事態となった。 2人は、ABC北京特派員のビル・バートルズ氏と豪紙オーストラリアン・フィナンシャ...

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 「(左派、リベラルは)なぜ日本を貶める発言を続けるのか」―5月19日、産経新聞の英文ウェブサイト「ジャパン・フォワード」に掲載されたアメリカ人学者の寄稿が外国人の間で反発を招いている。寄稿したのは、アール・キンモンス大正大学名誉教授で、外国人の、とりわけ英米系の左派、リベラルのエリートに、日本に対する“文化的偏見”があると指摘している。英文メディアということもあって、日本人の間ではまだその内容が...

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 新型コロナウイルスの感染拡大に対し政府の緊急事態宣言の期間が延長されたが、朝日新聞などの左派、リベラル・メディアの報道によると、日本の対応に対する海外からの批判が相次いでいる。が、批判の中身には2つの点で違和感を覚える。  5月8日付けの朝日新聞は、感染の有無を調べるPCR検査について取り上げ、英紙ガーディアンや在日ドイツ大使館が「日本の検査数の少なさ」を指摘したと報じた。また、米紙ワシントン...

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国基研理事兼企画委員 石川弘修    日本の日刊英字紙ジャパン・タイムズが3月20日、半ページ大の社告を掲載、一昨年11月に変更した戦前、戦時中の慰安婦の英文説明を再変更すると発表した。異例の再変更は、慰安婦募集に強制性はなかった歴史的事実から一歩後退し、日本兵との性行為を強要されたという元の表現への実質的な回帰が懸念される。  ●「戦時労働者」は維持  新たな方針では、...

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 10月から11月にかけて行われた天皇陛下の即位に伴う一連の儀式やローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇訪日行事についての日本の英文メディアには、リベラル、左寄りの見方を大きく扱うなどバランスに欠けた報道ぶりが目立った。またかという思いである。連日の日本語報道の陰に隠れているが、外国に与える影響が大きいだけに、看過できない。  ●即位礼では一方的な批判も  とりわけ、リベラル左寄りの朝日...

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 中国が南シナ海で自国の領有権を含む歴史的権利を主張する「九段線」が登場するアメリカとの合作映画「アボミナブル」が中国との間で領有権問題を抱える東南アジア諸国の反発を買っている。  ベトナムとフィリピンが13日から相次いで国内で上映を禁止し、次いでマレーシアも17日、上映条件として該当箇所の削除を命じた。中国の軍事的拡張だけでなく、映画などでバックアップする文化的攻勢は強まることはあっても弱まる...

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 米国の民主党系元政府高官や中国専門家ら100人が、7月4日付のワシントンポスト紙に「中国は敵ではない」と題する公開書簡を発表したが、今度はトランプ政権の厳しい対中政策を支持する国防総省関係を中心とする専門家ら130人が18日、「対中方針を堅持せよ」と題する反対書簡を、保守系の政治ウエブサイト「ワシントン・フリービーコン」に発表し、これに加勢する専門家が次々に名乗りを上げている。  ●起草者...

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国基研理事・企画委員 石川弘修    国家基本問題研究所は、今年の日本研究賞の特別賞を現代史家の秦郁彦氏の英訳本 Comfort Women and Sex in the Battle Zone(慰安婦と戦場の性、米ハミルトンブックス)に授与した。奨励賞には、神戸大大学院法学研究科・簑原俊洋教授の「アメリカの排日運動と日米関係 『排日移民法』はなぜ成立したか」(朝日新聞出版)と、...

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 3月下旬、国連が2019年版「世界の幸福度」ランキングを発表した。日本は156か国の内58位と、昨年より4つ順位を下げた。1位は2年連続でフィンランドが選ばれ、以下デンマーク、ノルウェーの順で、今回も北欧勢が上位を占めた。この調査は、文化の差異を無視し、調査対象者の主観だけで幸福感を数値化している。比較手法として無理がありはしないか。読者を惑わすランキングと言わざるをえない。  この調査報告は...

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国基研理事・企画委員 石川弘修    日本の日刊英字紙ジャパン・タイムズは11月30日、戦時中の「徴用工」や「慰安婦」について、表記を改めるとの異例の発表を行った。同日付の紙面から、徴用工は「戦時労働者」(wartime laborers)、慰安婦は「戦時の娼館で働き、日本兵に性行為を提供した女性で、その意思に反して働いた女性を含む」(women who worked in wa...

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国基研理事・企画委員 石川弘修    国家基本問題研究所は7月4日、第5回日本研究賞をロバート・モートン中央大学教授、同特別賞を崔吉城・東亜大学教授に授与する。  モートン教授は受賞作「A. B. Mitford and the Birth of Japan As a Modern State: Letters Home」(ミットフォードと日本における近代国家の誕生―母国への手...

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国基研理事・企画委員 石川弘修    国家基本問題研究所は5月17日、創立10周年を記念して「世界の近未来を予測する―日本は生き残れるのか?」と題するシンポジウムを開催した。ゲストスピーカーに招いたフランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏は、これまでにソ連崩壊、リーマン・ショック、アラブの春、ユーロ危機などを「予言」しているだけに、会場のイイノホール(東京・内幸町)には...

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 捕鯨を肯定的に捉えたドキュメンタリー映画「ビハインド・ザ・コーヴ~捕鯨問題の謎に迫る」が2月下旬、ロンドンの「国際映画製作者祭」で最優秀監督賞を受賞し、八木景子監督の報告会を兼ねた上映会が23日、都内で開かれた。映画は、和歌山県太地町のイルカ追い込み漁を批判する映画「ザ・コーヴ(cove 入り江)」が2010年の米アカデミー賞を受賞したのに反発して、5年近くかけて製作された。米、英、豪を中心に展...

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 今年の成人式は例年より早い1月8日、大きな波乱もなく終わったが、報道によれば、東京23区で昨年4月2日から今年4月1日までに20歳となる新成人約8万3000人のうち、8人に1人にあたる1万800人余りが外国人だった。  ●新宿区では新成人の半数  中でも外国人の比率が高かったのが新宿区で、4004人の新成人のうち1837人と、ほぼ半数(45.8%)を占めた。次いで豊島区が38.3%、中野...

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国基研理事兼企画委員 石川弘修    国家基本問題研究所は7月5日、今年の日本研究賞に決まった米マイアミ大学のジューン・ドレイヤー教授と、日本研究特別賞のヘンリー・ストークス元ニューヨーク・タイムズ紙東京支局長への授賞式を行う。ドレイヤー教授は、受賞作品となった「中華帝国と旭日帝国―日中関係の過去と現在」(オックスフォード大学出版、邦訳なし)について特別講演を行うが、先の大戦後、...

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 日本の報道は安倍政権の圧力で自由が一段と制限されている―とする事実誤認の報告書が米欧や国連で相次いでいる。  今年に入ってからだけでも、まず3月に米国務省が2016年版「人権報告書」を公表、この中で「日本のメディアへの圧力強化に懸念が強まっている」と指摘した。これは、昨年の国会で高市早苗総務相が、政治的公平性を欠く報道を重ねる放送局については電波停止を命じる可能性を否定しなかったことをとらえた...

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国基研理事兼企画委員 石川弘修    トランプ米大統領は2月28日の米上下両院合同会議で初の施政方針演説を行い、米国精神の再生をスローガンにテロ対策の強化や経済活性化を訴えた。それまでの過激な主張を抑制し、将来に希望を抱かせる楽観的なメッセージを発信したことで、一般国民から高い評価を得た。日ごろトランプ政権に批判的なCNNテレビが演説直後に行った緊急世論調査では、視聴者の78%が...

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 ドナルド・トランプ米新大統領の報道が連日のようにテレビや新聞をにぎわしている。先日、訪日中の米保守派の歴史家、ジョージ・ナッシュ氏が「アメリカの保守主義とポピュリズム」と題して講演した。ナッシュ氏は、ハーバート・フーバー第31代米大統領の研究家として著名で、フランクリン・ルーズベルト第32代大統領と日米戦争の隠された歴史を追究した「Freedom Betrayed」(裏切られた自由)の編者として...

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国基研理事兼企画委員 石川弘修    国家基本問題研究所は11月23日、都内で「トランプ政権と日本の決断」と題したシンポジウムを開き、櫻井よしこ理事長をモデレーターとして、萩生田光一内閣官房副長官、川村雄介大和総研副理事長、田久保忠衛国基研副理事長が熱弁をふるった。  年に1度の「会員の集い」の一環として開かれたシンポジウムには会員を中心に800人余の聴衆が詰めかけ、登壇者の深...

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 米大統領選は、大方のメディアの予想に反し、共和党のドナルド・トランプ氏が大逆転、ヒラリー・クリントン前国務長官(民主党)を打ち破る結果となった。投票日の前日、クリントン氏の当選確率を84%と報じたニューヨーク・タイムズ紙は選挙後の13日、読者に詫びる釈明文まで掲載する羽目になったが、元はと言えば、主要な新聞、テレビの強いリベラル偏向が報道・編集を歪めたものだ。  NYタイムズの釈明文は、アーサ...

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国基研理事兼企画委員 石川弘修    チベット亡命政府のロブサン・センゲ首相(47)が1月8日から13日まで日本を訪問、国家基本問題研究所役員をはじめ、国会議員、大学関係者、曹洞宗など仏教関係者らと会い、意見交換や講演を行った。センゲ首相が政治指導者に選出されて初訪日した4年前に比べ、メディアの扱いは小さかったが、千葉工業大学(千葉県習志野市)が亡命チベット人留学生5人の受け入れ...

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国基研企画委員・事務局長 石川弘修    国家基本問題研究所が昨年創設した「寺田真理記念 日本研究賞」の第2回受賞者が決まった。  今回の日本研究賞には、愛媛大学法文学部人文学科のエドワード・マークス准教授の「レオニー・ギルモア:イサム・ノグチの母の生涯」が、日本研究奨励賞にはハワイ大学マノア校のデイヴィッド・ハンロン教授の「Making Micronesia: A polit...

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国基研企画委員・ジャーナリスト 石川弘修    先月発行された祥伝社新書「英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄」(ヘンリー・S・ストークス著)が好評を博し、発売1か月で早くも4刷りと増刷を重ねている。戦勝国によって強いられた歪んだ歴史観を正しているのが日本人ではなく、米ニューヨーク・タイムズ紙などの東京支局長を務めたベテラン英国人ジャーナリストであることが強い関心を呼んだので...

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国基研企画委員・ジャーナリスト 石川弘修    11月15日から来日中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ法王14世が東京、千葉、静岡、京都などで対話集会や講演などを積極的に繰り広げているが、迎える日本の政治家の対応は及び腰だ。安倍晋三首相との会談も実現していない。 ●講演会への議員出席半減  国会議員への特別講演会は20日、参議院議員会館で開かれ、法王は水資源などの...

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国基研事務局長代理・企画委員 石川弘修    国家基本問題研究所(櫻井よしこ理事長)が7月29日、東京・平河町の都市センターホテルで開催した「日本再建の道」と題した月例研究会で登壇者の一人、麻生太郎副総理兼財務相が行った発言の片言隻句が捉えられ、メディア上で一人歩きしている。外国人を含め多くの方には、どういう状況で発言がなされたのか、討論会全体の流れが分からないとの声もあり、...

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国基研企画委員・ジャーナリスト 石川弘修   国家基本問題研究所の髙池勝彦副理事長ら企画委員4人は11月11日から18日までミャンマーを訪れ、大統領府、外務、国防両省などの高官と会見、動き始めたシンクタンク数ヶ所の幹部と意見交換した。直後に米大統領による初訪問を控えて民主改革推進への期待は膨らんでいたが、まだ「中国への偏り過ぎから外交バランスを回復する」(コ・コ・ライン大統領政治顧問)途上に...

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国基研企画委員・ジャーナリスト 石川弘修 ケビン・メア前米国務省日本部長が著した『決断できない日本』が19日、文春新書で発売された。対日外交に30年間携わったメア氏の観察は説得力がある。結論から先に言えば、現代の日本政治社会の病巣は、「誰も責任をとりたくないから決断ができない。その結果、重要な問題が先送りとなる」体質にあると、氏は指摘する。 3月11日、東日本大震災が起きた時、米側タス...

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ジャーナリスト 石川弘修 中国の民主活動家、劉暁波氏へのノーベル平和賞授与決定に対し、菅政権の反応は遅く、及び腰ばかりが目立った。 ノルウェー・ノーベル賞委員会が8日に発表すると、欧米諸国は慎重ながらも素早く歓迎の声明を発表、米国のオバマ大統領は中国政府に対し、懲役11年の刑で服役中の劉氏の早期釈放を訴えた。台湾の馬英九総統でさえ「中国の人権向上にとって歴史的な意義を有する」と祝福した...

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