公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

大岩雄次郎の記事一覧

国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎    米国と中国の貿易摩擦は、双方の世界貿易機関(WTO)提訴に発展し、既に株式市場をいたずらに混乱させ、世界経済不安定のリスクを高めている。トランプ政権の米国第一主義が世界各国の保護主義や内向き志向を助長する中、その流れを押し戻し、自由で公正な通商ルールを世界に広げるには、WTOを再活性化することが不可欠である。日本のリーダーシ...

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 トランプ米政権は3月23日、中国を知的財産権侵害で世界貿易機関(WTO)に提訴した。同日未明、鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限も発動された。  これらは、予想通り各国の反発を招き、批判の矛先は米国に集中している。しかし、知的財産権侵害の問題はもとより、鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限も、本質は中国の過剰生産に端を発している。中国のWTOルール違反など国際ルールを守ろうしない姿勢にこそ問題がある...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎    トランプ米大統領は8日、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を発動する文書に署名した。同じ日、米国を除く環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加盟11カ国が、本年度中の発効を目指して新協定に署名した。  指導力を発揮すべき超大国が身勝手な行動に走れば、世界の安定は脅かされる。米国は責任の重さを自覚すべきである。同時に、日本を含めて主...

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 米商務省は2月16日、中国などからの鉄鋼製品やアルミニウムの輸入が米国の安全保障上の脅威になっているとする調査結果をまとめ、トランプ大統領に大幅な輸入制限に踏み切るよう提言したと発表した。米通商拡大法232条(国防条項)に基づく措置で、大統領は90日以内に制裁措置を実施するかを判断する。  中国を最大のターゲットとしているのは明らかだが、実際に制裁措置が発動されれば、同盟国・日本の対米輸出にも...

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 米国のダウ平均株価は1月に過去最高値(2万6616ドル)をつけたのも束の間、2月に入り、5日、8日の1000ドル超の下げを経て、11日、12日と続伸し、2万4600ドル台に戻した。  一時は1987年のブラックマンデー、2008年のリーマンショックの予兆かと懸念する向きもあったが、足元の経済のファンダメンタルズ(実体経済の基礎的条件)を見る限りでは、過大評価されてきた株価の調整局面(ミニバブル...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎    トランプ米大統領は、25日の米CNBCテレビのインタビューに続き、26日にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)の演説で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への復帰へ向けて「交渉を検討する」と明言し、周囲を驚かせた。ただし、交渉項目やスケジュール等については言及しておらず、その真意は不透明であ...

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 米国を除くTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)=TPP11の交渉は、日本が主導して昨年11月11日に大筋合意したが、3月上旬までの署名式に向けて残された課題の最終調整を図る首席交渉官会合が、今月下旬に東京都内で開かれる。政府は、TPP11の経済的及び政治的意義を踏まえて、その実現に背水の陣で臨む必要がある。  ●まず日本が速やかに承認を  米国のTPP離脱当初は、TPPの実現が危ぶまれた...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎    トランプ米大統領が公約した約30年ぶりの大幅な税制改革は、今週中にも上下両院で法案が可決される見通しである。各国が注目する法人税は2018年に現行の35%から21%へ引き下げられ、全体の減税規模は過去最大の10年間で1.5兆ドルと見込まれている。その財源は、減税による米経済の成長加速で得られる将来の歳入で賄うことを想定してい...

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 米国の離脱で揺れた「環太平洋戦略的経済連携協定」(TPP)は11月11日、残る参加11カ国による閣僚間交渉の結果、米国抜きの新協定を発効させることで大筋合意に達した。新協定案の名称は「包括的及び先進的なTPP」(CPTPP)と改めた。  これに先立つ7月4日には、日EUの経済連携協定(EPA)も大枠合意して年内の最終合意を目指している。いずれも2019年の発効を目指すとされている。  TPP...

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 安倍晋三首相と黒田東彦日銀総裁がタッグで進めてきた異次元の金融緩和。円ドル相場はいまのところ円安方向で安定しており、平均株価も2万円を挟むレベルまで回復した。いわゆる「アベクロ景気」は、9月で景気拡大が58カ月となり、戦後最長記録の「いざなみ景気」(73カ月)を超える可能性もでてきた。  しかし、国民の側にその実感は乏しい。賃金は上がらず、将来を考えれば、ついつい財布のひもも固くなる。企業の設...

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 平成30年度予算編成に向けた各省の概算要求の提出期限が今月末に迫ってきた。報道では、最大の課題を抱える厚生労働省の要求額は、実質過去最大31.4兆円に及ぶ。一方、「国及び地方の長期債務残高」は、平成29年度末に1,093兆円(対GDP比193%)に達すると見込まれている。財政健全化は、毎年、お題目のように唱えられるだけで、改善どころか悪化の一途を辿ってきた。団塊の世代が後期高齢者の年齢に達するの...

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 しかし、政府は、「中長期の経済財政に関する試算」(平成29年1月25日、経済財政諮問会議提出)で、経済再生のケースのもとで、債務残高対GDP比が、2016年度をピーク(189.5%)に毎年度低下し、2025年度には169.6%まで下がるという試算を提示している。つまり、債務残高の増加率より、GDPの増加率が大きいことが想定されているのである。  ただし、注意を要するのは、経済再生のケースでは、...

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 世界経済における日本経済のプレゼンスは急激に低下している。1990年代初頭のバブル崩壊を契機に不況に陥って以来、長期にわたって経済が低迷し、いまだに国際社会における地位は回復していない。世界の国内総生産(GDP)に占める日本の割合の推移をみると、1995年には17.6%まで高まったものが、2010年には8.5%になり、2017年には6.4%(IMF予想)まで減少し、ほぼ40年前の位置付けに戻って...

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 こうした状況で、企業の利益剰余金の蓄積である内部留保が、2016年末に過去最高の375兆円に達した。10年前の水準からみれば、135兆円もの増加だが、企業は人手不足にもかかわらず、利益を人件費に回すことはなく、2016年末の労働分配率は43%台と過去最低水準である。  内部留保は、安倍晋三政権発足後に急増し、日銀の金融緩和と企業減税などで企業は業績が改善したが、新興国経済減速に伴う世界経済の下...

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 政府は8月、安倍晋三政権の新たな看板政策「人づくり革命」を議論する有識者会議の名称を「人生100年時代構想会議」とし、首相を議長として9月上旬にも初会合を開くと発表した。大学教育向けの「出世払いでの教育国債」制度の新設も目指すという。  これに先立ち、自民党の教育再生実行本部は5月、安倍晋三首相が意欲を示す「教育無償化」の財源について、「こども保険」「税制改正」「教育国債」で対応するよう求める...

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 日本と欧州連合(EU)は7月6日、経済連携協定(EPA)交渉で大枠合意にこぎ着けた。日欧EPAは2013年にスタートしたが、2015年及び2016年の2度にわたって合意が先送りされた経緯がある。今回の合意の背景には、米トランプ政権の保護主義的趨勢が世界に波及することへの危機感があることは確かであろう。反保護主義の流れを確実にするには、更なる自由貿易協定(FTA)の拡大を図る戦略が必要である。 ...

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 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)が6月29日、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスから最上位の格付け「Aaa(トリプルA)」を得たと発表した。これによりAIIBは、資本市場で債券を発行することで、わが国を含めて世界の民間資金の調達が容易となるが、ムーディーズの判断には大いに疑問がある。果たしてAIIBに、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)などの国際開発金融機関(MD...

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 環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Partnership:TPP)署名11カ国は、5月21日にベトナム・ハノイで閣僚会合を開き、早期発効を目指すことで一致した。日本が目指す「11カ国での先行発効」など具体的な方向性には触れなかったが、米国抜きの早期発効に向けた選択肢の検討を11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までに終えることなどが確認された。TPPは今後も予...

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 環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Partnership:TPP)は、周知のように、2006 年に発効したシンガポール、ニュージーランド、チリ及びブルネイの4カ国によるP4協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)を拡大発展させたものである。そのP4協定は「環太平洋の広範な経済統合を促進する手段」(「...

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 一縷の望みもむなしく、11日の日米首脳会談後の共同声明で、米国は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱決定で翻意する意思のないことが決定的となった。これにより、わが国の成長戦略も見直しが必至となっている。  今後の日本の平和と経済的繁栄には、アジア太平洋地域に自由で開放的、かつ透明性の高いルールを体現したアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現が必須である。このままTPPが頓挫した場合、そ...

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 2012年12月に発足した第2次安倍内閣が掲げたアベノミクスも5年目に突入した。2015年9月には第2次ステージに移ると宣言し、「新3本の矢」(希望を生み出す強い経済、夢を紡ぐ子育て支援、安心につながる社会保障)を番えたが、第1次ステージの「3本の矢」(「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「投資を喚起する成長戦略」)の成果はどうなったのか。  アベノミクスの「1丁目1番地」と位置付けられた「...

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 トランプ次期大統領が選挙戦で繰り返したのは、米国の目に見える利益を最優先に置く「米国第一主義」である。つまり、グローバリズムを経済停滞や格差といった国内の経済・社会問題の根源に仕立て上げたのである。これは、保護主義の台頭を許し、自由市場経済の大幅な後退の危険性を孕み、米国経済のみならず、世界経済にとって計り知れない損失をもたらすことが懸念される。  米大統領選でトランプ氏が勝利してから株価は上...

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 原油安で各国の国家収入が目減りしていることを背景に石油輸出国機構(OPEC)は10日、ウィーンの本部でロシアなど非加盟国との閣僚会議を開き、非加盟国側が15年ぶりに日量約56万バレルを減産することで合意した。加盟国も11月末の総会で、8年ぶりの減産で最終合意している。  これにより協調減産量は約180万バレルとなり、世界全体の生産量の約2%に相当する。最大の産油国サウジアラビアは約50万バレル...

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 国際通貨基金(IMF)は10月1日付けで、中国の人民元(RMB)を特別引出権(SDR)通貨バスケットに採用した。新たなSDRの構成比は、米ドル41.73%、ユーロ30.93%、人民元10.92%、日本円8.33%、ポンド8.09%の順となる。  主要先進各国は、中国政府が為替レートや国境を越える資本の動きを厳しく管理していることを踏まえ、人民元のSDR入りを疑問視しているが、IMFは中国の経済...

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 黒田東彦日銀総裁が、異次元の金融緩和政策を導入してから既に3年半が経過した。この政策転換の結果、一言で言うならば、円安をもたらして株価を上昇させたが、実体経済には影響を与えることができなかった。  それどころか、今度は総括的検証の結果として、世界でも異例といわれる中央銀行による長期金利の操作という未知の領域に踏み込んだ。異次元の金融緩和政策と同様、肝心の目的である資金需要の拡大にどれほど効果が...

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 日本は、2013年3月に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加を表明し、同年7月から、オーストラリア(豪州)、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド(NZ)、ペルー、シンガポール、米国、ベトナムの11か国と交渉を始めた。日本の参加から約4年に及ぶ交渉は、2015年10月5日に大筋合意に至り、2016年2月4日にはNZにおいて署名式が行われた。  TPPは、マク...

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 国内は元より、国際通貨基金(IMF)などの国際機関からもアベノミクスの限界が指摘されている。しかし、相変わらず政府は大規模な経済対策を、日銀は金融緩和政策の一層の深堀効果を主張し、一向に政策を見直す兆しはない。それどころか、アベノミクスの目指す経済の好循環を妨げているのは、不十分な賃上げと低調な民間設備投資にあるとして、「官民対話」と称し、民間企業に圧力をかけ続けている。  財務省が9月1日、...

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 当初、「三本の矢」を掲げたアベノミクスは、もはや金融緩和政策の戦術論に変質しているといっても過言ではない。量的・質的金融緩和(QQE)政策は、消費者物価2%増(対前年比)を2年以内に達成、マネタリーベースは2年間で2倍、を目標としたが、達成されたのは後者だけで、明らかに機能不全といえる。  岩田規久男日銀副総裁は、「予想インフレ率が上昇するのは、マネタリーベースの量を大幅に増やし続ければ、将来...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎    安倍晋三首相と経済閣僚らが内外の専門家と意見交換をする一連の「国際金融経済分析会合」が3月半ばにスタートした。政府は会合の目的について、G7サミット(主要7カ国首脳会議)議長国としての責任を果たすためであって、消費増税の是非を判断するためではないと説明している。だが、首相官邸に招かれる専門家の人選を見れば、政府の説明を鵜呑みにす...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎    政府はアベノミクスが「第2ステージ」に入ったと表明したが、従来のアベノミクスとの関係は不明なままで、その内容も具体策も曖昧である。第2ステージの目標の一つである「名目GDP(国内総生産)600兆円」は、既に発表されている「中長期の経済財政に関する試算」における数字と実質的に変わりがない。  目標以上に重要なのは実現の方法である...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎    アベノミクスの本質は、グローバル経済化や少子高齢化等による経済・社会環境の急速な変化に対応して、日本経済の潜在成長力を高める構造改革の実現である。にもかかわらず、金融緩和による2%の物価上昇を巡る目先の論議の攻防に終始している。金融や財政に依存しない持続的な経済成長の実現には、まず将来不安の払拭に繋がる社会保障制度の抜本改革を一...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎    国基研は、2011年3月11日の東日本大震災の発生後、同年10月28日には、「選ぶべきは脱原発ではありません」と題する意見広告を主要各紙にいち早く発表した。東京電力福島第1原発事故は津波が原因であり、安易な脱原発は国家の安全と国民の生活を脅かすことを警告した。今、その危惧が現実のものとなりつつある。今こそ、情緒論に踊らされること...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎    政府は4月11日、中長期のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」をようやく閣議決定した。この計画は当初、昨年秋に発表されるはずだったが、幾度となく先延ばしされた揚げ句、その内容も極めて曖昧となった。腰の据わらない政府の姿勢がそのまま内容に表れ、このままでは将来の国益を損なうことが危惧される。  ●妥協で矛盾だ...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎    小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」発言が加速している。菅義偉官房長官は「わが国は言論の自由(のある国)だから、いろいろな議論があっていい」と問題視しない姿勢だが、原発推進の最高責任者だった人の発言として許されるだろうか。  民主党のエネルギー政策を党代表時代に原発重視へ転換させた小沢一郎氏(現「生活の党」代表)や、非現実的な脱...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎    アベノミクスへの批判がやかましい。目先の株価や為替の変動に気を取られ、性急に結論を求める不毛な議論の応酬に終始している。日本経済が20年間の長い停滞から再生するには時間がかかる。重要なのは、アベノミクスがもたらした経済再生の最後の好機を逃さず、生かすための政策論議とその実行に全力を注ぐことである。  ●株価・円相場は調...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎    政府は「聖域なき関税撤廃」に反対するとの政権公約を理由に、依然、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加に曖昧な態度を取っている。交渉参加の目的は、中長期的な国益の確保である。では、政府の言う「聖域」とは具体的に何を意味するのか。その聖域を守ることは国益に適うのか。  ●既得権益の保護は国益に非ず  聖域として考えられてい...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 各党の公約案が出揃うなか、安倍晋三総裁の発言に端を発した自民党の金融緩和策が注目を浴びている。しかし、日本がデフレを脱却するために必要なのは、金融緩和によって金融システムに溢れている資金を実体経済に流す構造改革、規制緩和、税制改革といった政策である。 量的緩和の効果は限定的 リフレ派(政策的にインフレを起こす考え方)の人は、日本の量的緩和...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 超円高あるいは歴史的な円高と言われ、日本経済への悪影響が懸念されている。従来の円高時と同様、輸出企業や関連の中小企業などから円高の是正を求める声が高まっている。しかし、本当に円高なのか。円安によって日本経済は再生できるのか。 今は円高とは言えない 名目為替レートで見て戦後最高値の円高となった最大の理由は,デフレの定着により諸外国にくらべて...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 菅直人首相の「脱原発依存社会」へ向けた世論操作がわが国の経済のみならず、政治、外交における交渉力を弱体化させる危険性は、計り知れないほど大きい。 エネルギー政策の本質はエネルギー安全保障(国民生活、経済・社会活動、国防等に必要な量のエネルギーを受容可能な価格で確保すること)にあることを肝に銘ずるべきである。 目指すべきはエネルギーのベ...

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国基研企画委員・東京国際大学教授 大岩雄次郎 政府が24日に閣議決定した平成23年度予算案は、相変わらず根本的な問題への取り組みを回避した結果、借金を先送りし、数字の辻褄つじつま合わせに終始した。経済成長を促す実効的な政策は殆ほとんど見当たらず、バラマキ政策の拡大による社会保障関係費の肥大のみが突出した政策は、すでに破綻の危険水域に入った国家財政を一層の危機に陥れる。日本経済の再生には、経済...

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