公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

田久保忠衛の記事一覧

国基研副理事長 田久保忠衛    米国のシンクタンク、ジャーマン・マーシャル・ファンドの研究者アンドルー・スモール氏などは、欧州連合(EU)が3月22日の首脳会議で中国の対欧経済攻勢に対してよくまとまって対応策を打ち出したと称賛しているが、これは少数意見だろう。ネオコン系の米歴史学者ロバート・ケーガン氏は欧州の弱さと分裂を「米国からの戦略的分離」「EUのほころび」「欧州の終末」な...

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国基研副理事長 田久保忠衛    中国が巨大経済圏構想「一帯一路」に欧州を巻き込もうとする勢いがにわかに強まってきた気配だ。習近平国家主席は欧州歴訪の最初の訪問国にイタリアを選び、22、23の両日、ローマでマッタレッラ大統領、コンテ首相とそれぞれ会談し、一帯一路推進を覚書で確認した。次いで李克強首相は4月9日にブリュッセルを訪れ、欧州連合(EU)首脳と短時間の会談をした後、クロア...

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国基研副理事長 田久保忠衛    安倍晋三首相が進めている日ロ平和条約交渉には、これまでの両国交渉にはなかった戦略的構想が秘められているらしい。自民党総裁外交特別補佐を務める政治家がワシントンの政策研究機関で講演し、「中国への対抗」のためにも日ロ間で平和条約が必要だとしゃべったという(産経新聞1月9日付)。実際にそうであるかどうかは別にして、国家の戦略に関することを気軽に口にする...

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国基研副理事長 田久保忠衛    過去1年の国際情勢を回顧して、日本の命運に関わる最大の動きは、米中関係の今後を占う材料がようやく出そろい始めたということであろうか。ありていに言えば、米国が「米国第一主義」をさらに強めてきた点と、米中貿易戦争の衝撃を受けた中国が広まり行く中国批判の国際的大合唱の中で「危険な台頭」を強行できなくなってきた点の二つである。  ●トランプ政権に欠...

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国基研副理事長 田久保忠衛    覇権国家間の対立を、古代ギリシャのスパルタとアテネの抗争になぞらえて「トゥキディデスの罠わな」の名文句を広めたのは米ハーバード大学のグレアム・アリソン教授だ。そのアリソン氏がフォーリン・アフェアーズ誌7-8月号に「リベラル・オーダー(自由主義的国際秩序)の神話」と題して一文を書き、米国は国際秩序の維持者たらんとするよりも自国の健全な民主主義再生に...

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国基研副理事長 田久保忠衛    まさか戦前の日独同盟に郷愁を抱いているのでもなかろうが、日本人には、ドイツに好意的な人が少なくない。個人が親近感を抱くのは勝手だが、国家間の交際は冷静に願いたい。とかく問題を起こす政治家だが、トランプ米大統領は7月の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議でドイツの防衛負担が少なすぎると大々的に批判し、同時にNATOの潜在敵国でもあるロシアからドイツ...

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国基研副理事長 田久保忠衛    第2次世界大戦中にチャーチル英首相の筆頭軍事顧問を務め、北大西洋条約機構(NATO)の初代事務総長だったイスメイ卿の有名な言葉がある。NATOの目的を「ロシアを締め出し、米国に関与させ、ドイツを抑え付ける」(to keep the Russians out, the Americans in, and the Germans down)ことにある...

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国基研副理事長 田久保忠衛    米国屈指のシンクタンクである外交問題評議会のアジア研究部長、エリザベス・エコノミー女史がフォーリン・アフェアーズ誌5~6月号に「中国の新革命」と題し、説得力に富む文章を書いている。毛沢東の第一革命、鄧小平の第二革命に続く習近平国家主席の第三革命の特徴を「自由主義的な世界秩序の中で中国はリーダーシップを手にしようとしている非自由主義国家である」...

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国基研副理事長 田久保忠衛    戦争に敗北した日本が一時期目指した「軽武装・経済大国」の代名詞「吉田ドクトリン」の亡霊は永田町に生きていた。自民党の岸田文雄政調会長率いる岸田派(宏池会)が4月18日に公にした政策である。  ●岸田派が「平和憲法」擁護  読売新聞4月19日朝刊の記事によれば、政策骨子の名称は「K-WISH」。キーワードは「トップダウンからボトムアップ...

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国基研副理事長 田久保忠衛    4月から5月にかけて日米、南北、米朝首脳会談が相次いで行われる。情報が錯綜さくそうしている今、状況をどう整理したらいいか明言はできないが、3月26日に北京で中国の習近平国家主席と北朝鮮の金正恩労働党委員長が初の会談を行ったのを契機に、北朝鮮を包囲していた日米韓中の結束がほころび、「日米韓」対「中朝」の対立に戻ったと見ていいのではないか。 ...

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国基研副理事長 田久保忠衛    今年を振り返って目立った国際情勢の特徴を挙げよと言われたら、無謀な核・ミサイル実験を続けてきた北朝鮮、「危険な台頭」をためらおうともしない中国、大統領の言動が予測不可能な米国の三カ国ということになろうか。北朝鮮と中国については日本における研究もかなり進んでいるが、同盟国として誰もがなじんでいるはずのトランプ政権の性格はいまだ正確に分析されてい...

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国基研副理事長 田久保忠衛    トランプ米大統領のあら探しを最初から虎視眈々たんたんと狙ってきたリベラル系新聞の酷評は割り引いて読まなければならないとしても、今回のアジア大旅行は米国本来の指導性に欠けていた。  中国訪問の大きな目玉は、①米中貿易の不均衡を是正する②北朝鮮の核・ミサイル実験をやめさせるため中国により重要な役割を担わせる―の2点だったが、前者はひどい失敗だった。...

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国基研副理事長 田久保忠衛    トランプ米大統領は11月3日から14日まで12日間にわたって日本、韓国、中国、ベトナム、フィリピンのアジア5カ国を訪問する。米国にとって日本、韓国、フィリピンの3カ国は同盟国、ベトナムは新たな「戦略的パートナー」だ。そこにアジアの大国としての中国を加えたのは、朝鮮半島の今後に中国が重大な役割を担うと米国が判断しているからだ。米政府は中国に圧力をか...

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国基研副理事長 田久保忠衛    衆院解散に打って出た安倍晋三首相の念頭にあるのは、北朝鮮の核・ミサイル開発という未曽有の脅威に直面しながら、日本人の危機感は全体として極めて低いとの認識にほかならない。日本国民のかなりの部分は朝鮮半島情勢の緊迫などどこ吹く風だ。  残念ながら今の憲法も、その基になったメモ書きのマッカーサー・ノートも、日本人から「独立自存」の精神を奪うところに眼...

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国基研副理事長 田久保忠衛    日本のメディアも米英のメディアも一刀両断というわけにはいかないのだろう。戦後72年に及んだ国際秩序の枠組みをトランプ米新大統領はガラリと変えようとしているのに対して、トランプ政権内部には従来通りの思考で外交を続けようとする閣僚が少なくないのだから。  しかし、トランプ大統領は就任演説で、米国が戦後果たしてきた世界における指導的役割を、外国の...

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国基研副理事長 田久保忠衛    2016年最大のニュースは「トランプ現象」だったと思う。戦後71年間の米国史における異常な変化で、これが国際政治、外交、経済、軍事、情報、技術などの分野にどのような影響を及ぼしていくだろうか。  ●「絶対的衰退」への懸念  冷戦終焉の少し前に、米エール大学歴史学教授のポール・M・ケネディが「大国の興亡」を書いて世界的なベストセラーにな...

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国基研副理事長 田久保忠衛    いささか早とちりになるかもしれないが、米大統領選挙後の国際情勢は、恐らく戦後最大の混乱期に突入するだろうと予想する。  ●期待できない米のリーダーシップ  一つは、ウソ、信頼の裏切り、秘密の暴露など個人が持つ非道徳性を洗いざらいに出し合った2人の大統領候補の1人がホワイトハウス入りするのだ。新大統領は自分の党すらまとめられない上に、民...

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国基研副理事長 田久保忠衛    自民党の事情に詳しいとされる産経新聞の阿比留瑠比論説委員兼政治部編集委員が10月27日付の同紙に「悲願の改憲なぜ論議進まぬ」を書いているのを読んで、「やはり」と合点した。  いわゆる改憲勢力が衆参両院で憲法改正の発議に必要な3分の2を超えたにもかかわらず、安倍晋三首相をはじめ自民党がさっぱり腰を上げようとしない。その理由は、年末にも衆院解散...

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国基研副理事長 田久保忠衛    7月10日投開票の参院選で、自民、公明両党などいわゆる改憲勢力が非改選議員を含めて憲法改正発議要件である総議席の3分の2を上回る議席を確保したから、与党の大勝と称しても間違いないのだが、それにしても奇妙な選挙だった。かねて改憲論者だった安倍晋三首相は「改憲を争点にしない」と消極的発言を繰り返し、対照的に野党民進党の岡田克也代表は目を三角にして...

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国基研副理事長 田久保忠衛    英国の欧州連合(EU)離脱の是非について、国際情勢の客観的分析者であれば価値判断を軽率に下すべきではないと考える。離脱に票を入れた52%の英国人は愚鈍な人たちなのだろうか。良い悪いは別にして、国際秩序はこのような形でいつの間にか新しい局面を迎えるものだと私は見ている。  ●民主主義国に共通する国民の不満  注目すべき点の第一は、第2次...

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国基研副理事長 田久保忠衛    5月20日に台湾民進党の蔡英文主席は第14代総統に就任した。台湾史上初の女性総統が中国に接近していた国民党の馬英九前政権に比べてどのような方向性を打ち出すのかに関心を抱いていた私は、「自然体」と言っていい淡々とした就任演説にホッとした。    ●台湾新総統の就任演説  就任演説は理路整然さを要請される学会での報告ではない。台湾にいるのは...

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国基研副理事長 田久保忠衛    1月12日から台湾を訪問して17日夜に帰国し、日本の報道ぶりを一覧したが、朝日新聞の台北支局長が一面に書いていた「高まる台湾人意識」と題する豆解説は光っていた。民進党の蔡英文主席が16日の総統選挙に勝って、詰めかけた夥(おびただ)しい人々を前に演説をした場面を目にした者でなければ分からない。蔡主席は「ナショナル・アイデンティティー」という言葉...

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国基研副理事長 田久保忠衛    今年から来年にかけての世界の大問題は何か。残念ながら、東シナ海でも南シナ海でもない。国家ではない国際テロ組織またはその同調者が主権国家群を振り回している人類史上初めての現象だ。米国、ロシア、フランス、英国などの主要国はイラクとシリアにまたがる「イスラム国」(IS)の拠点を連日猛爆しているが、今年パリ(2回)と米カリフォルニア州サンバーナディー...

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国基研副理事長 田久保忠衛    日本人に国際情勢の分析で大局観に欠ける傾向があるのは、戦後も変わらない。だからこそ安倍晋三首相は機会あるごとに「地球を俯瞰する外交」を口にしているのだろう。  今の国際社会におけるトラブルはオバマ米大統領の不作為に原因があると断定しておこう。それがシリアの内戦につながり、「イスラム国」(IS)を生んだ。弱腰のオバマ政権はイラクに軍事顧問を送...

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国基研副理事長 田久保忠衛    点で観(み)るよりは、点を結ぶ線で判断する方が公平だろう。国家安全保障会議の設置、新防衛大綱の策定、集団的自衛権の行使容認などを盛り込んだいわゆる安保法制懇の報告書の受領、限定的ながら集団的自衛権行使を容認した閣議決定、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の改訂、それに今回の安全保障関連法の制定という一連の動きを眺めてくると、安倍晋三首相...

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国基研副理事長 田久保忠衛    日本のジャーナリズムもこれほど薄っぺらになってしまったのか、との印象を持った。50周年談話(村山談話)や60周年談話(小泉談話)にあった「侵略」、「植民地支配」、「反省」、「謝罪」などのキーワードが安倍談話に盛り込まれているかどうかをめぐって大騒ぎを演じた。同じ言葉を使っても語調、文体は筆者の気持を表していて、書き様によっては意味が大きく違っ...

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国基研副理事長 田久保忠衛      日本の学会、シンクタンク、新聞社などのマスメディアで専門家が尊重されるのは大いに結構だが、地域や国家を中心に深い研究を進めるうちに前後左右の見配りが不足してきたのではないかと思われる例が少なくない。中国が南シナ海に人工島をつくっているとなると「南シナ海」ブームがわき、東シナ海にプラットホームを構築したとのニュースが伝わると「東シナ海」騒ぎが発生...

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国基研副理事長 田久保忠衛      日本では同意してくれる人は多くないと覚悟しているが、戦略的要衝である紅海の出入り口に位置するイエメンにサウジアラビアが攻撃を加え、アラブ連盟11カ国がサウジ支援態勢を固めたニュースは、この上なく大きいと思う。イスラム教スンニ派のサウジが敵視しているイエメンの組織はイランが背景にいるシーア派武装勢力「フーシ」で、中東においてイランとサウジの代理戦...

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国基研副理事長 田久保忠衛      1977年に発生した日本赤軍の日航機ハイジャック事件で、福田赳夫首相は「人命は地球より重い」との迷台詞をはいて600万ドルを支払ったうえに、犯人たちを国際社会に放ってしまった。イスラム過激派組織の「イスラム国」とみられるグループが日本人二人を人質に取った事件はいま進行中だが、「人命第一」を唱える日本中の大合唱は四十年前の状況と全く変わっていない...

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国基研副理事長 田久保忠衛    国際情勢の1年間の推移を回顧するに当たって、勝海舟が述べた「着眼大局、着手小局」(物事を大局的に見て、小さなことから着手する)がいかに大切かを改めて痛感している。12月25日に国家基本問題研究所は米国、中国、インドの戦略家を招いて「戦後70年―国際政治の地殻変動にどう対処するか」をテーマに久しぶりの国際シンポジウムを開催した。中国の国際政治学者が直前...

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国基研副理事長 田久保忠衛    2001年の米同時多発テロに際して、当時のブッシュ大統領がアフガニスタン、イラクへの戦いを広げたのは完全に失敗だったとの俗説が米国内でも日本国内でも定着した感があったが、どうも最近の中東情勢を見ていると、その評価は逆転し、ブッシュ政権は正しかったのではないかとの評価がよみがえってきたような印象を受ける。  確かにブッシュ政権は巨額の戦費を費やし...

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国基研副理事長 田久保忠衛     政治、軍事、経済など諸々の要素が絡む国際情勢の分析は、短期、中期、長期の時間的要素も入り込むので、難しい。中国の習近平国家主席が国家元首として北朝鮮よりも先に7月3日に韓国を訪問した。米中両国は9、10の両日、北京で閣僚級の戦略・経済対話を行った。時を同じくして、安倍晋三首相はニュージーランド、オーストラリア、パプアニューギニアを訪れた。アジア...

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国基研副理事長 田久保忠衛    日本のマスメディアは、5月20、21の両日上海で開かれた「アジア相互協力信頼醸成会議」(CICA)で主役を務めた中国の習近平国家主席に焦点を当てていたが、実はロシアのプーチン大統領こそ中国との「政略結婚」に成功して会心の笑みを浮かべているのではないか。  ロイター通信社の著名なコラムニストであるアナトール・カレツキー氏は5月23日付のインタ...

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国基研副理事長 田久保忠衛    日本のマスメディアは盛んに「オバマ訪日」が成功したがどうかを論じているが、二国間関係だけで国際問題を論じる視野狭窄症はもういい加減に改めないといけない。  オバマ米大統領は、中国と領土問題を抱える日本、韓国、マレーシア、フィリピンの4カ国を訪れたのであり、その目的は、シリアやウクライナの問題にかまけて怠っているとみられていたアジアに対するリ...

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国基研副理事長 田久保忠衛    北大西洋条約機構(NATO)の初代事務総長だったヘースティングズ・L・イズメイ卿の言葉「NATOの目的はソ連を排除し、米国を引き込み、ドイツを抑えることだ」は有名だ。19世紀の帝国主義的発想により、軍事制圧下のクリミア(ウクライナ南部)で形だけの住民投票を行い、ウクライナから領土を取り上げたロシアのプーチン大統領に対して、米欧それに日本が住民...

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国基研副理事長 田久保忠衛    米オバマ政権のアジア政策をめぐる同盟諸国の不安を代弁したのは、米保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のマイケル・オースリン氏だ。2月3日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙に「ワシントンにとって現実の危険は、自身が張り子の虎になったように見えてしまうことだ。オバマ政権はアジアにおける目標が何かを全く明らかにしてこ...

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国基研副理事長 田久保忠衛    「同盟国や友好国絡みの戦争に巻き込まれたくない」との思いが米オバマ政権に強いため、軍事力を誇示しなければならない場合に「交渉」「話し合い」に傾く気持ちはよく分かる。国内世論の動向、財政赤字の軍事費へのしわ寄せという内臓疾患を抱えていれば、なおのこと「内向き」の政策が続くだろう。が、その度が過ぎると、国際秩序を締めているボルトが緩む。その結果、...

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国基研副理事長 田久保忠衛    ドイツのメルケル首相の携帯電話が米国家安全保障局(NSA)によって盗聴された疑いが明るみに出たのは10月下旬だ。米国とドイツは同盟国だから、来年初めにも両国間でスパイ禁止協定を締結する方向に向かっていると伝えられる(フランクフルター・アルゲマイネ紙11月3日付)が、ドイツの世論が簡単に収まるか心配だ。  ドイツ公共テレビARDが11月7日に...

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国基研副理事長 田久保忠衛    シリアが世界中を敵に回すと言っていいような化学兵器をなぜ使用したのか、いささか疑問は残るが、オバマ米大統領はしかるべき調査の結果、シリアを攻撃する決断を下すのだろう。  しかし、その攻撃には、2003年のイラク攻撃の時に二人三脚で戦った英国もNATO(北大西洋条約機構)軍も参加しない。米国と共に行動すると約束しているフランスですら、世論には...

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国基研副理事長 田久保忠衛  一貫してオバマ大統領を支持してきたリベラル系のニューヨーク・タイムズ紙としては異例だと思う。6月16日付の1面で、オバマ外交が世界中から冷ややかに扱われていると批判的な記事を書いた。特に2期目に入ってからのオバマ大統領は海外での戦いに巻き込まれたくないとの気持ちが強く、大事な局面での判断はどうしても腰が引けてしまう。ただし、6月に北アイルランドで開かれた主要...

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