公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

冨山泰の記事一覧

国基研企画委員兼研究員 冨山泰    北朝鮮の核問題で中国の協力取り付けを最優先するトランプ米政権のアジア外交で、中国への甘い対応が目に付く。米政府外においても、4月26日付のウォール・ストリート・ジャーナル紙の社説に見られるように、北朝鮮が非核国家になるのであれば、金正恩体制に代わる親中政権の樹立を容認してもよいとの意見まで出てきた。中国の戦略に沿ったアジアの新秩序づくりを米国...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    4月6~7日、米フロリダ州の別荘に習近平中国国家主席を招いて開いた初の米中首脳会談で、トランプ米大統領は最大の懸案の北朝鮮問題と貿易不均衡問題で強い不満を伝え、中国に厳しい姿勢を取った。これはよいことだ。しかし、両首脳は「相互尊重」を基礎に意見の相違を管理することで合意したと米中双方から説明があったのは気に掛かった。  相互尊重という言葉は...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    2月16~17日、国基研の同僚3人と共にニューデリーへ出張し、インドのシンクタンク「ビベカナンダ国際財団」(VIF)との2者対話と、米ハドソン研究所の研究者を交えた3者対話に参加した。参加者の最大の関心事は当然ながらトランプ米新政権の動向だった。  2日間の会議を通じて、日本とインドの研究者はトランプ大統領への懸念を共有していた。私は、安倍...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    安倍晋三首相とトランプ米大統領の初の首脳会談(2月10~11日)は、現時点ではこれ以上望めないほどの成果を上げたと言ってよいと思う。安倍首相は、同盟関係を軽視する発言を繰り返してきたトランプ大統領から、①日米同盟はアジア太平洋地域の平和と繁栄の基礎②日本に「核の傘」を提供③尖閣諸島は対日防衛義務を規定した日米安全保障条約第5条の適用対象―とい...

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国基研企画委員兼研究員 冨山泰    トランプ次期米大統領が石油大手エクソンモービルのレックス・ティラーソン最高経営責任者(CEO)兼会長を国務長官に指名することを決め、来年1月に発足する新政権の外交・安全保障関係の陣容が固まった。トランプ氏は「一つの中国」原則に縛られないと表明するなど、従来の政策の枠組みを逸脱する挑発的発言を続けており、新たなチームが米外交を安定的に運用できる...

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国基研研究員兼企画委員 冨山泰    投票まで残り3週間となった米大統領選挙で、主要2候補が醜い人格攻撃に明け暮れる中、アジア太平洋地域では米国の指導力が目に見えて衰えている。その隙を突いて中国が影響力を拡大する憂慮すべき状況も生まれている。    ●中比関係が好転  米国の指導力の衰えは、同盟国フィリピンのドゥテルテ大統領の造反に顕著である。アジアの同盟国との軍事協力強化...

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国基研研究員兼企画委員 冨山泰    オバマ政権の任期が残り4カ月余りとなり、米国が国際社会でリーダーシップを発揮できない状況があちこちで生まれている。オバマ政権の2期目に顕著になった米国の「内向き」傾向は次期政権に受け継がれる可能性があり、日本の外交・安全保障政策は米国の支援を当然のこととして期待できなくなるかもしれない。  ●絶望的なTPP承認  オバマ政権の内政・外...

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国基研研究員兼企画委員 冨山泰    米国防総省は5月13日、中国の軍事力に関する年次報告書を公表した。この中で、2015年1年間に中国は、①南シナ海の人工島で軍事施設の建設を始めた②アフリカ東部のジブチに軍事施設を設置することを発表し、地球規模の軍事プレゼンス拡大に着手した③軍の大々的な組織改革を実行した―という3点で新たな動きがあったと指摘し、中国の軍事動向に強い警戒心を示し...

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国基研研究員兼企画委員 冨山泰    政府・与党は、環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案の今国会での成立を断念した。日米両国を中心とする高度な自由主義経済秩序の構築という戦略的に重要な課題の実現を先導するのは、日本の責任でもあった。成立先送りは痛恨の一事である。    ●痛恨の法案成立先送り  TPP審議中の衆院特別委員会で、野党の民進党は、TPPよりも4月半ば...

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国基研研究員兼企画委員 冨山泰    米国は1月30日、南シナ海で中国が支配する島や岩から12カイリ以内を軍艦が通過する「航行の自由」作戦を3カ月ぶりに実施した。昨年10月の前回作戦がスプラトリー(南沙)諸島で中国が建設した人工島の近くで行われたのに対し、今回は埋め立てとは無関係のパラセル(西沙)諸島の海域で実施された。中国による航行の自由の侵害を許さないとの意思表示は2回の作戦...

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国基研研究員兼企画委員 冨山泰    この大統領があと1年も米国の外交・安全保障政策のかじ取りをするのか、と暗然たる気持ちになった。オバマ大統領の任期中最後の一般教書演説(1月13日)から読み取れるのは、「イスラム国」などイスラム過激組織との戦いという目前の課題への対処に精いっぱいで、新興大国とりわけ中国からの挑戦という中長期的な難問に思いを巡らすことができない政権末期の指導者の...

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国基研研究員兼企画委員 冨山泰    9月24~25日にホワイトハウスで行われた米中首脳会談は、時に国際ルールを無視して米国主導の世界秩序に挑戦する中国に対し、オバマ米政権の打つ手が当面限られていることを浮き彫りにした。  ●サイバー攻撃への制裁先送り  首脳会談の最大テーマの一つだったサイバー攻撃の問題で、米中両国とも、商売上の利益のためサイバー攻撃で米国の企業秘密を盗...

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国基研研究員兼企画委員 冨山泰    米軍が中国を今や事実上の仮想敵国と見なしていることをこれほどあからさまに表明した公開文書は寡聞にして知らない。米統合参謀本部が7月1日に公表した「国家軍事戦略」は、中国など4カ国を「潜在的な敵性国家」と呼び、米国の「国家安全保障上の利益を脅かす行動をしている」と言い切った。  ●「潜在的な敵性国家」  4年ぶりの「国家軍事戦略」には注...

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国基研研究員兼企画委員 冨山泰    5月29~31日にシンガポールで開かれた各国国防・軍首脳によるアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で、中国による南シナ海の岩礁埋め立てをめぐり、米中の主張が激突した。国際会議初登場のカーター米国防長官は埋め立ての即時・永続的中止を要求するとともに、現場の海空域における米軍の警戒監視活動の継続を表明して、歯切れがよかった。それに引き換え、米国...

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国基研研究員兼企画委員 冨山泰    5月21日、中国空軍機が初めて沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡上空を通過し、西太平洋で日帰り訓練を行った。訓練に参加した最新鋭の爆撃機H6Kは、搭載する巡航ミサイルで米軍のアジア戦略の重要拠点グアムを攻撃する能力を持つ。中国と東南アジア諸国が領有権争いをする南シナ海での中国の岩礁埋め立てをめぐり、米中対立が厳しさを増す中で、中国は訓練の実施を通...

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国基研研究員兼企画委員 冨山泰    中国が主導して年内に設立を目指している「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)に、日本政府からも参加の可能性を探る動きが出ているようだ。とんでもないことである。AIIBの構想は、アジアから米国を排除してこの地域で優越する立場を築こうとする中国の長期戦略の一環として打ち出されたものであり、これに出資国として参加することは、中国の地域覇権掌握に力を...

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 国家基本問題研究所は19日、都内で催した年に一度の「会員の集い」で「国際情報戦をどう戦うか」と題するシンポジウムを開いた。パネリストからは、日本が戦前から戦後に至るまで国際社会の情報戦で敗れ続けてきた実態が報告され、今日でも日本が官民一体となって情報発信に力を入れない限り、中韓両国との歴史認識問題などで勝つことはできないとの危機感が表明された。  ●一連の敗北  登壇した国基研の田久保忠...

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国基研研究員兼企画委員 冨山泰    イラク北西部からシリア北東部にまたがる地域を支配する超過激なイスラム主義組織「イスラム国」が米人人質を相次いで殺害したことで、米国内の「内向き」ムードに変化の兆しが見られる。海外での軍事力行使に消極的だったオバマ政権の外交姿勢がイスラム過激派との対決をきっかけに転換するかどうかを注視する必要がある。  ●米世論に変化の兆し  米国世論...

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国基研企画委員・研究員 冨山泰    米国防総省が中国軍の動きに対する警戒を明確に強めている。6月5日に同省が発表した年次報告書「中国の軍事・安全保障動向」2014年版は、中国軍近代化の狙いが台湾海峡以外に東シナ海と南シナ海の有事への備えにあると断言した点が前年版との際立った違いだ。台湾有事に関しても、中国が第三国(すなわち米国)の介入阻止の準備を進めていることを冒頭の要旨で明記し、警告の度合...

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国基研企画委員 冨山泰    米国は年内にアフガニスタンから戦闘部隊を撤収し、2001年9月11日の米同時テロから13年間に及んだ戦時体制に幕を引く。これにより、米国は国防政策の力点を「現在の戦争」から「将来の挑戦」へ移すが、オバマ政権は将来における国防上の最大の挑戦がどこから来るのか焦点を絞り切れずにいる。3月4日にヘーゲル国防長官が発表した「4年ごとの国防計画見直し」(Q...

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