2015年12月の記事一覧
【第345回・特別版】 日本国の名誉回復抜きの合意は評価できない
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 慰安婦問題について日韓両政府が「最終的かつ不可逆的な解決」で合意した。慰安婦問題が外交問題化した契機は、日本マスコミの誤報と日本政府の安易な謝罪だった。問題の真の解決には、両国が慰安婦は戦時下の貧困が生んだ悲劇だったという「不都合な真実」に向き合うことが不可欠だが、今回の合意にはそれがない。関係改善のための外交的譲歩であって、後世に禍根を残す恐れ...
【第344回】「ルペン=トランプ現象」は時代の産物
国基研副理事長 田久保忠衛 今年から来年にかけての世界の大問題は何か。残念ながら、東シナ海でも南シナ海でもない。国家ではない国際テロ組織またはその同調者が主権国家群を振り回している人類史上初めての現象だ。米国、ロシア、フランス、英国などの主要国はイラクとシリアにまたがる「イスラム国」(IS)の拠点を連日猛爆しているが、今年パリ(2回)と米カリフォルニア州サンバーナディー...
【第343回・特別版】自衛隊員・予算増加で持続的な南シナ海監視を
国基研企画委員 太田文雄 オーストラリア空軍がこのほど、南シナ海で哨戒機P3による監視飛行を行った。同国のペイン国防相は12月17日、中国が人工島の軍事化を進める南シナ海での監視飛行をやめるつもりはないと表明。同日付のジャパン・タイムズは今後「日本に注目が集まる」と書いた。 他方で、10月下旬に米海軍のイージス艦ラッセンが人工島から12カイリ以内を通過する「航行の自...
【第342回】日本は中国の弁護士弾圧に目をつぶるな
国基研理事長 櫻井よしこ 12月14日、北京市第2中級人民法院(地裁)で人権派弁護士、浦志強氏に対する初公判が開かれた。氏は昨年5月3日、内輪の研究会「天安門事件25周年記念検討会」に参加して以来拘束され続け、騒動を引き起こした罪と民族の恨みを煽動した罪に問われた。 米国務省は重大な関心を示し、即時釈放を直ちに求めた。これに対し中国外務省は「中国の司法権と内政への干...
【第341回】同時テロが東京で発生したら…
国基研企画委員 太田文雄 パリの同時テロを受けて、政府は海外のテロ関連情報を収集する「国際テロ情報収集ユニット」を約半年前倒しして立ち上げた。しかし、同組織で関連情報を入手したとしても、適切な対応ができるであろうか。 ●法制上の不備 まず、11月のパリ同時テロの直後、フランスのオランド大統領は非常事態を宣言したが、日本国憲法には緊急事態条項がないので、国家の...
【第340回】虚構を積み重ねた台中首脳会談
元台北駐日経済文化代表処代表 許世楷 11月7日、台湾総統馬英九と中国国家主席習近平による首脳会談で、馬は冒頭、次のような提案をした。 ―「92年共通認識」を固め、平和な現状を維持する。両岸(台湾と中国)交流を拡大する。両岸が協力し中華の振興に尽くす。両岸の人民はともに中華民族である。 会談後の記者会見で、中国側は次のように習の発言を紹介した。 ―中国と台湾はと...