公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

2017.08.15 (火) 印刷する

弾道ミサイル防衛に反対していた朝日 太田文雄(元防衛庁情報本部長)

 北朝鮮が、グアム島周辺の海上を狙って弾道ミサイル(火星12号)4発を同時発射する計画を検討中だと発表してから、上空通過するとされた中国・四国地方に、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC-3)が4基、日本海には海上自衛隊のイージス艦がそれぞれ配備された。島根・広島・愛媛・高知4県の知事は13日、政府に発射への対応強化を緊急要請するため、相次いで上京した。国民は、弾道ミサイル防衛が期待通りの成果を発揮してくれるよう祈るばかりだが、約20年前に朝日新聞は弾道ミサイル防衛の日本導入に強硬に反対していた事実を御存知だろうか。

 ●ことごとく外れた20年前の予測
 当時、弾道ミサイル防衛の日本導入に反対していた朝日は、1998年9月19日付で、その理由を次のように述べている。
 第1に通常弾頭搭載の弾道ミサイルは、その精度からして重大な脅威とはなり得ない。第2に北朝鮮は未だ核実験を行っていないので核弾頭を弾道ミサイルに搭載する能力はない。第3に弾道ミサイル防衛は技術的に難しく海上自衛隊が導入するには20年後となり、その頃には現在の北朝鮮は消滅しているであろう。第4に弾道ミサイル防衛の費用は1兆3000億円から2兆3000億円であり、自衛隊の年間装備費である9000億円では導入不可能である。
 以上の予測は、今から振り返ってみれば悉く間違っていることは明白である。

 ●日米同盟が崩壊の危機に瀕した恐れも
 4年前の12月に成立した特定秘密保護法に対しても、朝日を始めとするメディアは「国民の知る権利が奪われる」と強硬に反対した。
 しかし、4年経ってみて、そのような事実が1件でもあったのだろうか。逆に政府高官によれば、「これまでピンボケの写真が鮮明な写真となる比喩が適切なほど同盟国からの情報提供が高まった」と言っている。あの時の反対が正しかったのか今、朝日は検証してみる必要があろう。
 同様に2年前の平和安全法制に関しても、朝日を始めとするメディアは「戦争法案」とレッテルを貼って反対した。しかし、グアム島を狙う北朝鮮の弾道ミサイルが日本の上空を通過する際に、迎撃能力があるにも拘らず集団的自衛権が行使できないからと、手をこまねく事態になっていたら、日米同盟は崩壊の危機に瀕したことであろう。
 なによりも、こうした事態に至って初めて米側から強要されて集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈の変更を行ったとしたら、それこそ日本の独立した政策策定能力が問われることになる。トランプ大統領の「日米同盟は不公平」発言にも対処できなかった。
 弾道ミサイル防衛にも、特定秘密保護法にも平和安全法制にも強硬に反対したのは中国である。振り返ってみれば、中国と朝日の主張の逆を行えば、日本の安全が高まることが実証されたといっても過言ではないだろう。
 今、憲法改正に強硬に反対して安倍政権を葬ろうとしている朝日は、過去の報道を真剣かつ真摯に検証、反省する必要があるのではないか。