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2016.12.02 (金) 印刷する

「L字型をたどる中国経済、縦棒(景気減速)はまだ続く」 齋藤尚登・大和総研主席研究員

 齋藤尚登・大和総研主席研究員は、12月2日、国家基本問題研究所の定例の企画委員会におけるゲストスピーカーとして、「L字型をたどる中国経済、縦棒(景気減速)はまだ続く」と題して、中国経済の現状と今後の見通しなどについて語り、櫻井よしこ理事長をはじめ企画委員と意見交換した。

2016.12.02

齋藤氏は、1990年山一證券経済研究所に入社、香港駐在を経て1998年大和総研に。2003年から7年間、北京駐在、2015年に主席研究員、経済調査部担当部長。経済に関する著書多数。

氏はまず、中国経済の発展段階を図示しつつ、日米の経済構造が40年以上前に脱工業化したのと比較し、中国は2012年に転換点を迎えたと指摘。産業構造が変化し成長率の鈍化が続くという。表題のL字型というのは、実質GDP成長率予想のグラフ上にあらわれる曲線の形状をいい、Lの縦棒が成長率の下降ラインを、横棒が安定ラインを示し、中国社会科学院の予想では2021年から2030年頃にかけて、成長率5.5%のラインで安定するとされるが、氏は実際にはもっと下がると見る。

そこには、中国経済の持ついくつかの不安要因があるからであるとする。すなわち、GDP比で20%という潜在的不良債権やリーマンショックを脱した時の4兆元の景気対策の後始末(生産能力の過剰、住宅市場の過剰在庫、イノベーション能力の不足、投資に過度に依存した経済発展パターンから消費主導への移行が難しい状況)などの問題点を指摘した。

最後に、質問に答える形で、米国の次期大統領に決まったトランプ氏が、中国を為替操作国として45%の関税をかけると報道されていることに対しては、昔の中国経済に対する視点で批判しているのであって、あまり現実的ではないとした。また今後の中国経済の大きな流れは、10年後くらいから一人っ子政策の影響で生産年齢人口が減少しはじめ、経済の減速感が強まることで、ひいては国防費の伸びにも影響するだろうとの見通しを述べた。

(文責 国基研)