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2008.10.24 (金)

【提言】 「米朝合意」は誤りである 日本政府は承認するな

平成20年10月24日
国家基本問題研究所

「米朝合意」は誤りである 日本政府は承認するな

 
 10月11日、米国務省は、「検証に関する米朝合意」(U.S.-North Korea Understandings on Verification)を発表した。同時に米政府は、米国内の反対を押して北朝鮮の「テロ支援国指定」の解除も発表した。
 これは、アメリカの名誉を傷つけ、日米の信頼関係を損なう誤った決定と言わざるをえない。日米同盟を重視する本研究所は、強い遺憾の意を表明する。
 日本政府がどこまで事前に明確に警告を発したのか、検証されねばならないが、「テロ支援国」の指定・解除は、帰するところアメリカの政策であり、一義的責任は米政府に存する。
 一方、核計画の検証に関して、米朝合意を承認するかどうかは、日本政府の責任に直接帰する問題だ。あくまで自主的に判断し、行動せねばならない。
 米朝合意は、未申告の疑惑施設は「双方の同意に基づいて」検証するとして、北に拒否権を与えている。だが核爆弾製造・貯蔵施設などの査察に、北が「同意」するとは考えにくい。したがってこれは、事実上、検証の放棄、核兵器製造の容認に他ならない。
 さらにいえば北朝鮮の核保有を認めることになりかねない。
 近く六者協議が開かれると予想される中、われわれは日本政府に対し、次のような対応を強く求める。
 
【提言】
1.日本は、核兵器製造施設など重要情報を含まない北の核申告を、「すべての核計画の完全かつ正確な申告」(2007年10月3日六者合意)とは認めないと明言すること。
2.核計画の検証問題で、原則的姿勢を強く打ち出すこと。たとえば、「未申告の施設についても、国際原子力機関(IAEA)が必要と認める場合、北は査察を受け入れる」といった対案を出し、米朝合意は承認しないこと。

 
 

国家基本問題研究所
櫻井よしこ
田久保忠衛
潮匡人
遠藤浩一
大岩雄次郎
島田洋一
高池勝彦
冨山泰
西岡力