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【第203回】「強い国を取り戻す」には憲法改正が必須

湯浅博 / 2013.07.22 (月)


国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博

 

 自民党の安倍晋三政権は発足から半年で参院選挙に圧勝し、ついに衆参のねじれ現象を解消した。安倍首相が自ら衆院解散を仕掛けない限り、向こう3年間は国政選挙がない。貴重なこの期間に、首相がどこまで持論の「強い日本」を取り戻せるかが焦点になる。参院選後に安倍政権が取り組むべき課題は多い。内政では経済成長戦略、消費税の増税、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉、原発再稼働など目白押しだ。外交・安全保障でも、傲慢な軍事大国・中国の動きを抑えて尖閣諸島を固守することに加え、集団的自衛権の行使容認、国家安全保障会議(日本版NSC)の創設、防衛計画大綱の策定と、やるべきことは山積している。

 ●気がかりな弱気
 だが、第2次安倍政権が断固として「強い日本を取り戻す」つもりなら、決して憲法改正を先送りしてはならない。第1次安倍政権が掲げた「戦後レジームからの脱却」を憲法改正によって実現しなければ、強い日本を取り戻すことはできないからだ。
 遺憾ながら聞こえてくるのは、「憲法改正は次の選挙まで待つ」との弱気の声である。憲法96条の規定に沿い、衆参両院で総議員の3分の2以上の賛成により憲法改正が発議されても、国民投票で過半数を取れずに否決されるのが怖いのだ。国民投票で否決されれば、内閣は即時総辞職に追い込まれるだろう。
 そこで、2016年の衆参同日選挙までアベノミクスの「三本目の矢」に当たる成長戦略に集中すべしとの党内圧力がかかる。党内だけでなく、現状維持を処世訓とする官僚群が、消費税増税など「その前にやるべきことがある」として、首相の疾走にブレーキをかけるだろう。

 ●今こそ世論形成を
 だが、憲法改正によって「国のかたち」を再定義するには、地の利、人の和、時の運が必須である。第1次安倍内閣で国民投票法をつくり、第2次安倍内閣で参院選に勝利した今こそ、その時ではないか。集団的自衛権に関する憲法解釈の変更、日本版NSCの創設など目の前の改革は当然として、同時に憲法改正への手続きを怠りなく進めなければならない。国民投票法で投票権者を「18歳以上の日本国民」としたのに合わせ、公職選挙法も選挙権年齢を20歳以上から18歳以上に改めるなど、積み残しの仕事を片付ける必要がある。
 憲法改正の手順を定めた96条の改正がなぜ必要かの世論形成も欠かせない。安倍政権への高い支持率は、経済改革のアベノミクスと合わせて、政治改革への期待感の表れである。96条をまず改正しなければ、憲法の他の条項の改正は極めて難しい。参院選後も改正への階段を休まずに上り、ねじれ解消を達成した今のチャンスを逃してはならない。(了)