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櫻井よしこ

【第445回】沖縄メディアの歪みに挑戦する八重山日報

櫻井よしこ / 2017.06.19 (月)


国基研理事長 櫻井よしこ

 

 長年、沖縄の言論空間は地元の2大紙、琉球新報と沖縄タイムスによって歪められてきた。偏向報道の旗頭としか呼びようのない2大紙が95%のシェアを握る沖縄本島に、4月1日、八重山日報が参入した。
 石垣島を中心とする八重山諸島で発行されてきた同紙は2大紙と対照的な保守系新聞で、産経新聞の記事を大幅に取り入れている。年内に5000部の購読獲得が目標で、すでに2000部強を確保したという。

 ●反本土を煽る2大紙
 読者の反応は「これまで2紙しかなかったが八重山日報を読めて嬉しい」などと前向きで、同紙編集長の仲新城誠氏は「県民は沖縄メディアの歪みに気がついている」と指摘する。
 沖縄に存在する少数の極左勢力はいつも反本土、反米軍基地を煽る。1972年の沖縄返還前、本土では国旗掲揚や国歌斉唱にさえ強い反対があったが、沖縄では日の丸が振られ、君が代が歌われた。本土とは反対なのだ。
 沖縄返還が決まったとき、「『核抜き本土並み』の即時実現」の要求を2大紙は突き付けた。本土政府にとって「即時実現」は達成不可能な要求だった。
 沖縄戦に関して2大紙は歪曲報道を重ね、旧日本軍を貶め続けて今日に至る。
 本土の反対を行き、抗議することが目的の少数意見を、2大紙は沖縄の総意であるかのように大々的に報じ続ける。現在、2大紙は本土政府の沖縄への「圧力と冷遇」を強調し、県民の中に沖縄独立への願望が生れていると煽る。

 ●妨害をはね返せ
 沖縄の若い世代、我那覇真子氏は「沖縄独立など殆ど誰も望んでいない」「本土政府の不当な圧力も弾圧もない」「沖縄の人権と表現の自由を脅かすのは、実は本土で活動の場を失った左翼勢力や共産革命主義者、偏向メディアだ」と強調する。「国連などで、日本政府に弾圧されていると訴え、被害者のふりをしている人たちが本当の加害者だ」と言う。
 我那覇氏らの声を取り上げるのは八重山日報だけであり、2大紙は無視し続ける。
 2大紙とは論調の異なる八重山日報の部数は、2000部を超えてから伸び悩んでいる。配達要員と販売店の不足、地元紙に欠かせない「お悔やみ情報」の欠落に加えて、2大紙の圧力がある。たとえば沖縄タイムスは、販売店に「八重山日報の配達を禁じる」と通達した。通達は独禁法違反で、公正取引委員会が調査に入り、同紙は慌てて通達書を回収した。
 日本政府の「不当な圧力」を国際社会に訴える大手紙が、新規参入の新聞社に違法な圧力をかける。沖縄の健全な言論空間を蝕んでいるのは、まさに2大紙ではないのか。(了)