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櫻井よしこ

【第446回】映画『軍艦島』の韓・独による悪宣伝を看過してはいけない

櫻井よしこ / 2017.06.26 (月)


国基研理事長 櫻井よしこ

 

 6月15日、韓国の映画監督、リユスンワン氏がソウルで記者会見を開き、映画『軍艦島』の完成を報告した。7月下旬封切りの同作品は、「軍艦島に強制徴用された朝鮮人たちが命がけで脱出を図ろうとする過程」を描いたものだという。
 柳氏は、「強制徴用の苦しみ」を「現在の韓国映画で作り得る極限ラインに挑戦」し、「映画的想像力を加味」して製作したと語る。配給会社は「絶対にヒットさせなければならない」と、韓国総人口5000万人中2000万人以上の観客動員を目指すという。

 ●『南ドイツ新聞』の不条理な記事
 軍艦島は2015年7月5日、「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に登録された。「朝鮮人強制徴用」の事実も、「奴隷扱い」の事実も全くない。にもかかわらず、韓国側は軍艦島を「強制連行」「奴隷労働」「苛酷な死」などに結びつけて内外に喧伝し続ける。結果、不条理な記事が報じられてきた。そのひとつが『南ドイツ新聞』の15年7月6日の電子版記事だ。
 同記事は、①端島(軍艦島)では強制連行された労働者が虐待された、②大戦中、日本人労働者は安全な場所に移され、中国と韓国の強制労働者だけが働かされた、③中国と韓国の強制労働者1000人以上が島で死んだ、④死体は海や廃坑に捨てられた、などと報じた。
 軍艦島の旧島民たちは事実に反するこの記事に怒り、今年1月23日、遂に「真実の歴史を追求する端島島民の会」を設立し、抗議の声を上げた。彼らは、炭坑が閉鎖され島が無人島になる1974年までそこに住んでいた80代、90代の高齢者だ。
 彼らは、島では「朝鮮人も日本国民として、単身者も家族持ちも同じコミュニティで仲良く暮した」、「朝鮮の女性たちはチマチョゴリを着て、楽しく民族舞踊を踊った」、「朝鮮人の子供も日本人の子供も一緒に机を並べ、学校生活を送った」「端島に住んでいる日本人の婦人や子供らに知られずに、朝鮮人虐待のような反人道的行為をすることは、端島の狭さや居住環境等から見て絶対に不可能だ」と、『南ドイツ新聞』に抗議した。
 同新聞の伝えた①も②も④も悪質極まる嘘であり、③が事実なら日本人を含む当時の島の全人口の4分の1が死亡したことになる。島では1人の死さえ皆で悼んだ。「強制労働者1000人以上の死」の根拠を示せとして、1か月以内の訂正記事の掲載を求めた。『南ドイツ新聞』からは今も回答がない。

 ●我が外務省の弱腰も元凶だ
 明治産業革命遺産は、そもそも、昭和19年から始まった朝鮮人徴用とは無関係だ。加えて、朝鮮人徴用に関しては、左翼の盧武鉉政権でさえも解決済みだとして日本に新たな補償を訴える権利は韓国側にはないと判断した。
 にもかかわらず、世界遺産登録に際して、日本国外務省は、韓国の圧力に屈して、軍艦島をはじめとする明治産業革命遺産の現場で働いていた朝鮮人は「forced to work」だったと書き入れた。眼前の外交軋轢を安易な妥協で先送りする我が国の外交が、映画『軍艦島』などの実害を生む元凶となって、今夏以降、韓国側が徴用工についての謝罪を日本に求めることも十分に考えられる。(了)