公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

島田洋一

【第28回】レーガン保守と中共の関係を注視せよ

島田洋一 / 2010.03.08 (月)


国基研企画委員・福井県立大学教授 島田洋一

先月、オバマ米大統領は、ホワイトハウスでチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と面談した。もっともメディアは一切入れず、民主党寄りのAP通信が「かつてないほどの透明性を約束した大統領の対応が、これである」と皮肉るほどの情報管理ぶりだった。また、中国政府に気を使う余り、法王をゴミ袋が並ぶ裏口から出入りさせる非礼を犯し、保守派から弱腰と非難されてもいる。

対中理念外交を支えるレーガン保守
それでも、オバマはダライ・ラマと会った。対中政策でなし崩し的な後退を続ける日本の現政権と比べれば、もちろん遙かに立派である。ただし、米国において対中理念外交を支える中心は、オバマ的なリベラルではなく、自らを(レーガン元大統領の保守理念に共鳴して)〝レーガン保守〟と呼ぶ人々だ。政界における代表格の一人ジム・デミント上院議員(共和)は、北朝鮮のテロ支援国家再指定を国務長官に求めた8上院議員の書簡(昨年6月2日付)の起草者で、また、先にワシントンが記録的大雪に見舞われた際、「(地球温暖化を主張する元副大統領)アル・ゴアが『参った』と言うまで、雪は降り続くだろう」というジョークをはやらせた人物でもある。

CO2で共闘する米保守と中共
興味深いことに、理念的に鋭く対立するレーガン保守と中国共産党が、二酸化炭素(CO2)排出削減問題では、事実上、共闘関係にある。中共はこの問題で、もともとリップサービス以上に出るつもりはない。米保守派においては、今や、「人為起源の地球温暖化論はでっち上げ」とのコンセンサスができており、自由な経済活動を意味もなく阻害する動きは断固阻止するとの構えだ。昨年暮れ、国連気候変動会議が物別れに終わった際、草の根保守に絶大な影響力をもつ評論家ラッシュ・リンボーは「中国代表は席を蹴った。中国は自国にとってのみならず、経済危機から抜け出さんとしている世界全体にとって正しいアプローチを採っている」とまで述べている。

オバマ政権の支持率低下に鑑みれば、今年11月の米中間選挙で保守派が躍進する可能性が高い。そうなれば、CO2削減運動にもブレーキが掛かろう。「私は地球の命を守りたいんです」とたびたび国会で声を上ずらせている鳩山首相には、二大CO2排出国のこうした動きが全く見えないようだ。米保守と中共の共闘が示す通り、気候変動は理念問題ではない。科学的ファクトも国益も見極めようとしない鳩山「地球愛」政権の暴走を、いま止めねばならない。(了)

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第28回:レーガン保守と中共の関係を注視せよ (島田洋一)