公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

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国基研企画委員・拓殖大学特任教授 名越健郎    ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の指導者がプーチン政権に反旗を翻した「プリゴジンの乱」は24時間で収束したものの、前代未聞の反乱事件はプーチン体制の弱さを露呈し、政権を揺さぶった。来年3月のロシア大統領選を控えて内政が動揺する可能性があり、日本外交はプーチン体制の終焉やウクライナ戦争の終結も視野に、北方領土問題の解決に向けあらゆる...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男    中国経済にかつてないデフレ圧力がかかっている。不動産バブル崩壊のために需要が回復しないためだが、習近平政権は財政、金融両面での本格的な景気てこ入れに踏み切れないでいる。外資に依存する中国特有の金融制度が外国の企業や投資家による脱中国に直面し、大きな制約を受けているからだ。昨年2月下旬のロシアのウクライナ侵攻以来、高まる台湾関連を含...

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国基研企画委員・日本大学文理学部非常勤講師 工藤豪    6月16日、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針) 2023が閣議決定され、「こども未来戦略方針」に基づき、次元の異なる少子化対策として、少子化対策・こども政策の抜本強化を推進することが明確に打ち出された。  ●見込めない出生数の回復  「こども未来戦略方針」の概要をみると、肯定的に評価すべき点も指摘できる。児...

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国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直    我が国最大級の国立研究開発法人である産業技術総合研究所(産総研)の中国人研究者が、警視庁公安部によって不正競争防止法違反(営業秘密の開示)容疑で逮捕された。  逮捕されたのは権恒道容疑者で、2002年4月から産総研に勤務し、フッ化化合物に関する研究に従事していた。中国人民解放軍と関連がある「国防7校」の一つ、南京理工大学の出身で...

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国基研企画委員兼研究員・福井県立大学名誉教授 島田洋一    国会で先週成立したLGBTなど性的少数者への理解増進法については、エマニュエル駐日米大使が成立を執拗に働き掛けてきた。「内政干渉」とも言える出過ぎた行動であり、これで日米の友好な関係を保てるのか疑わしい。  大使の行動を「米国の圧力」と捉えると間違う。あくまで米民主党の圧力である。バイデン政権はLGBT担当特使を新設...

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国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直    ウクライナ南部のカホフカ・ダムが6月6日に決壊し、ダム下流の広大な地域が洪水に見舞われた。ロシア軍に占拠されている近くの欧州最大のザポリージャ原子力発電所は冷却水をこのダムから取っていた。国際原子力機関(IAEA)は別の貯水池があるので「直ちに冷却に困ることはない」とパニックを抑える声明を出したが、筆者は潜在的にメルトダウン(炉心...

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国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    なぜ、言うべきことを言わないのか。国防の責任者である浜田靖一防衛相と海上自衛隊トップの酒井良海上幕僚長が、韓国海軍駆逐艦による海自哨戒機への火器管制レーダー照射問題を事実上棚上げにして日韓防衛協力を進めている。  浜田防衛相は6月4日シンガポールで行われた李鐘燮韓国国防相との会談で、同問題を棚上げにして再発防止のための実務...

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国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授 西岡力    拉致問題が動くかもしれない。岸田文雄首相は5月27日、拉致被害者の家族会などが主催した国民大集会で挨拶し、「首脳会談を早期に実現すべく、私直轄のハイレベルで協議を行っていきたい」と述べた。すると、僅か2日後の29日、北朝鮮はパク・サンギル外務次官の談話を出して「朝日両国が互いに会えない理由がない」と応えた。  ●「会え...

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国基研理事・東京工業大学特任教授 奈良林直    4月6日、沖縄県の宮古島周辺で陸上自衛隊のヘリコプターUH60JAが墜落し、搭乗していた坂本雄一第8師団長ら隊員10人全員が死亡した。サルベージ船によって引き揚げられた機体の残がいの写真(読売新聞撮影)を観察すると、メインローター(主回転翼)は引きちぎられ、エンジンカバーに刺さっているように見える。フライトレコーダーのデータが5月...

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国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦    日米韓豪印や東南アジア諸国など14カ国が参加する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の閣僚会合で、重要物資のサプライチェーン(供給網)の強化に向けた協定を結ぶことが合意された。IPEFについては、当初から指摘しているように、台頭する中国を念頭に、「米国をアジアに関与させる」という戦略的な意味が重要だ。それとともにIPEF...

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