2016年4月の記事一覧
【第370回】日本はTPP承認を先導せよ
国基研研究員兼企画委員 冨山泰 政府・与党は、環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案の今国会での成立を断念した。日米両国を中心とする高度な自由主義経済秩序の構築という戦略的に重要な課題の実現を先導するのは、日本の責任でもあった。成立先送りは痛恨の一事である。 ●痛恨の法案成立先送り TPP審議中の衆院特別委員会で、野党の民進党は、TPPよりも4月半ば...
【第369回・特別版】北朝鮮とISがテロで連携?
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 北朝鮮の金正恩政権がイスラム過激組織「イスラム国」(IS)に韓国内でテロを起こすことを依頼した、という驚くべき情報を私は最近入手した。2年前から北朝鮮の特殊部隊がシリア政府の軍事演習の教官になっている。今回のテロ連携依頼は従来の北朝鮮とシリア政府との関係を裏切るものだという。※ 3月の米韓合同軍事演習を自身に対する「斬首作戦」...
【第368回】今こそ緊急事態法制の整備を
国基研理事・日本大学教授 百地章 4月半ばに熊本県を襲った大地震で、安倍内閣の対応は素早かった。最初の地震発生5分後には官邸対策室を設置、その5分後には安倍晋三首相が被害状況の把握や応急対策に全力を尽くすよう指示した。既に2万人の自衛隊員派遣も決まっている。 ●検討課題は日本版FEMAの設置 今回、官邸に設置されたのは「非常災害対策本部」である。これは「非常災害...
【第367回】 日本は旧勢力圏の問題に積極的関与を
静岡大学教授 大野旭(楊海英) 先行きが見通せない国際情勢の中で、中国とどう向き合うかは西太平洋世界の死活問題となってきた。それは同時に、日本が旧植民地などかつて勢力下に置いた地域といかに関わるべきかの問題でもある。世界史的な視点から考えた時に、日本はもっと積極的に旧勢力圏の問題に関与すべきだ、と私は主張する。 ●中国のモンゴル人弾圧 まず、第2次世界大戦終了後...
【第366回】 国立大学研究者が北朝鮮核開発に協力
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 日本政府は2月10日、北朝鮮への独自制裁発動を発表した。制裁内容は人的往来規制(7項目)、送金の原則禁止、北朝鮮籍船舶と北朝鮮に寄港した第3国籍船舶の入港禁止、資産凍結対象者拡大の10項目だ。このうち、人的往来規制では、朝鮮総連幹部らが北朝鮮に渡航する場合、再入国を不許可にする範囲を拡大した。注目されたのが「在日外国人の核・ミサイ...