2016年12月の記事一覧
【第415回】トランプ政権で米国の地位はさらに低下か
国基研副理事長 田久保忠衛 2016年最大のニュースは「トランプ現象」だったと思う。戦後71年間の米国史における異常な変化で、これが国際政治、外交、経済、軍事、情報、技術などの分野にどのような影響を及ぼしていくだろうか。 ●「絶対的衰退」への懸念 冷戦終焉の少し前に、米エール大学歴史学教授のポール・M・ケネディが「大国の興亡」を書いて世界的なベストセラーにな...
【第414回】時の運なく「領土」届かず
国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博 なんといっても、安倍晋三首相とプーチン大統領の日露首脳会談は、日本にとって最悪のタイミングで行われた。「プレス向け声明」のどこを見ても、北方4島にかかわる「領土」も「国境」という記述がない。共同経済活動が最大の成果というのなら、ロシアのプーチン大統領の笑い声が聞こえてきそうだ。 ●安倍首相の目論見は雲散霧消! 安倍首...
【第413回・特別版】ロシア主導で国際情勢展開か
国基研企画委員兼研究員 冨山泰 トランプ次期米大統領が石油大手エクソンモービルのレックス・ティラーソン最高経営責任者(CEO)兼会長を国務長官に指名することを決め、来年1月に発足する新政権の外交・安全保障関係の陣容が固まった。トランプ氏は「一つの中国」原則に縛られないと表明するなど、従来の政策の枠組みを逸脱する挑発的発言を続けており、新たなチームが米外交を安定的に運用できる...
【第412回】「駆け付け警護」の本質的議論の欠如を憂う
国基研事務局長 黒澤聖二 南スーダン国連平和維持活動(UNMISS)に参加する陸上自衛隊の部隊が、先月の閣議決定に基づき、駆け付け警護の任務を付与されて12月12日から活動を開始する。 政府は部隊の近くにいるNGO関係者等から救援要請があれば駆け付けて救助するなどという運用方針を示したが、その内容を見てみると、誰もが当然と認める道徳的行為に対し、ようやく国としてのお墨付...
【第411回・特別版】元朝鮮大学校教授が追加制裁対象に
国基研企画委員・東京基督教大学教授 西岡力 12月2日、わが国政府は9月に核実験を強行した北朝鮮に対する追加独自制裁措置を決め、在日の核ミサイル技術者と在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)幹部の再入国禁止対象を拡大した。新たな対象者の人数と名前は公表されなかったが、私の調べでは、核ミサイル技術者が1人、総連幹部が6人追加された。その核ミサイル技術者は朝鮮大学校の李時求元教授...
【第410回】トランプ次期政権高官に対する一抹の不安
国基研企画委員 太田文雄 トランプ次期米大統領はジェームズ・マティス元海兵隊大将を国防長官に指名した。彼を良く知る人物はマティス大将を「完全な学者戦士」と評しており、行動・実行力に富むだけでなく知的な将軍であるらしい。しかし、彼は主要配置として米中央軍、米統合戦力軍、北大西洋条約機構(NATO)変革連合軍等の司令官を務め、アジア太平洋地域での経験は中尉時代に沖縄に勤務した程...