公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2017年4月の記事一覧

 「左警戒右見張れ」。船乗りの警句で「一点に集中するな」という意味である。朝鮮半島情勢が厳しさを増している今日、ともすると中国情勢が見過ごされやすい。しかし、こうした中で中国は4月20日に無人宇宙貨物船「天舟1号」を搭載したロケットを海南島文昌の宇宙センターから打ち上げ、22日には実験室「天宮2号」に第1回目のドッキングを完了した。この軍事的意味合いについて考察してみたい。  ●宇宙ステーシ...

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 米国との軍事緊張が高まる中、北朝鮮は15日、金日成生誕105年の記念日に合わせ、大規模な軍事パレードを行ったが、今回のパレードに登場した弾道ミサイルの新しい点として2つ(4つの変形)の大陸間弾道ミサイル(ICBM)が出現した点を指摘しておきたい。整理すると次の通りになる。  ●液体燃料  1.KN-08と呼ばれる三段ロケットの単一弾頭ICBMで中国製(中国航天科工集団-CASIC-)の1...

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 トランプ米大統領がシリア軍基地への巡航ミサイル攻撃に踏み切った。米国のシリア政権軍に対する軍事行動は初めてである。アサド政権による反体制派支配地区で起きた化学兵器を使った攻撃への対抗措置としている。  「小さな棍棒を手に声高に語る」は、トランプ氏が大統領に当選した直後の昨年11月7日発行の外交専門誌「フォーリン・ポリシー」に掲載された論文の一節である。論文は、現在国家通商会議委員長となったピー...

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 3月30日、マレーシア政府が金正男暗殺事件の政治決着を行った。金正男の遺体と駐マレーシア大使館に逃げ込んでいた容疑者2名を北朝鮮に引き渡し、その代わり北朝鮮に抑留されていたマレーシア大使館員ら9人の身柄を受けとるという内容だった。  マレーシアは自国の空港で化学兵器(VXガス)を使ったテロを行われ、その容疑者を捜査しようとしたところ、事件とまったく関係のない在北朝鮮マレーシア人を不当に抑留され...

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 米トランプ政権が、オバマ政権が進めてきた二酸化炭素(CO2)排出規制の撤廃、地球温暖化対策費(国連への拠出金、大学・NGOへの公的研究扶助、途上国への財政支援等々)の全面見直しを打ち出している。その背後には、「人間活動に起因するCO2の増加が温暖化を生む」という説への懐疑がある。これは米保守派において広く共有された発想で、テッド・クルーズ、マルコ・ルビオといった他の共和党有力候補が大統領になって...

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 長嶺安政・駐韓大使と森本康敬・釜山総領事が4日夜、韓国に帰任した。ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像が撤去されない中、昨年末には釜山の総領事館前に慰安婦像が設置された。このことに抗議して1月9日に両氏を一時帰国させて以来、約80日ぶりのことだ。私はこの帰任措置を条件付きで支持する。その理由を書く前に国内の反応を概観しよう。  ●朝日は一時帰国そのものを批判  慰安婦像撤去という結果...

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