公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2017年11月の記事一覧

 今年の新聞週間の標語は、「新聞で見分けるフェイク知るファクト」だったそうだが、せんだっての日曜日、福田恆存を読んでいたら、氏の新聞批判にぶつかった。 「毎朝、毎晩、ああいふものを読んでゐたのでは精神衛生上、頗る有害である。予防医学的見地から言へば、新聞と称するものを一切読まぬことをお薦めする。それでも一向日常生活に支障を来さない。たとへ日本の政治、社会に関する重要問題について、考慮に値...

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 本稿では我が国の取り組み状況についても述べたい。2014年11月に施工された「サイバーセキュリティ基本法」には「我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれのある事象への対応」として第18条に以下の条文が定められている。  「国は、サイバーセキュリティに関する事象のうち我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれがあるものへの対応について、関係機関における体制の充実強化並びに関係機関相互の連携強化及び役割...

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 北朝鮮の兵士が板門店から韓国に亡命し、国連軍は22日、監視カメラの画像を公表した。  報道によれば、兵士は亡命の際に銃撃され韓国側の手当てで一命は取り止めたが、一連の救命手術で、兵士の消化器官からは数十匹の寄生虫が摘出された。長いものでは30cm近くもあったという。  北朝鮮軍でもエリートを配しているとされる板門店の警備兵ですら、過酷な衛生状態に置かれていると推測される。北朝鮮の衛生状況は、...

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 2015年6月に明らかにされた日本年金機構の情報漏洩事件以来、多くの個人情報漏洩のニュースが盛んに報じられるようになってきている。  それまで、サイバー攻撃に関する報道自体がほとんどなかった。最近の報道ぶりからサイバー攻撃に対する国民の関心が高まっていることがうかがえる。その意味では、報道が増えていることは良いことだともいえる。  ●狙いは要人の警備情報にも  ただ、これらの報道は、ほ...

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 電気は日本の将来にとって最も重要なエネルギーになる。日常生活は電気に頼り、日本製品は、国内、国外用とも電気なしには作れない。自動車も将来は、電気で走らせることになりそうだ。電気エネルギーの必要性はますます高くなる。  電気は発電所で作られるが、そのエネルギー源は温室効果ガスの排出量が比較的少ない天然ガスが主流になっている。特に日本では東日本大震災以降、原発への反対論が強まっており、他に有力な代...

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 先の総選挙で野党第一党となった立民党の枝野幸男代表は11月20日、衆議院本会議の代表質問で、安保法制の廃止と憲法9条改正への反対を改めて明確にした。  産経新聞の記事から引いておこう。 《「(憲法違反の)安保法制を前提としながら自衛隊を憲法に明記したら、立憲主義違反を事後的に追認することになる」  枝野氏は代表質問でこう力説し、安倍晋三首相に対し、9条に自衛隊の存在を明記する憲法改正の前に...

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 サウジアラビアの政治的変化は突然やってくる。サウジ国民は、1、2時間前に王宮庁から国王勅令が発表されることを初めて知らされ、テレビの前にくぎ付けとなる。ここ数年見られる急激な改革もこのように国民に知らされ、希望や不安を与えている。  サウジはアブドッラー前国王までバランスを重視した政策を採っていた。2005年、アブドッラー国王時代は、スルターン(皇太子兼国防相)、ナーイフ(内相)、サルマーン(...

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 米国のドナルド・トランプ大統領が11月、日本と韓国の訪問を終え、中国に降り立つころから、日本では静かなため息が広がったのではないだろうか。  案の定、韓国を離れるころから北朝鮮に対する大統領の厳しい発言は鳴りを潜め、この話題が取り上げられる頻度も急速に減っていった。  トランプ氏は北京に降り立って突然トーンを変えたように見えるが、私は、ある種の既視感に襲われていた。というのも今年3月のレック...

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 米国のトランプ大統領が11月8日から10日にかけて中国を初めて訪れた。習近平国家主席と米中首脳会談を行い、北朝鮮、金融、南シナ海、台湾などの諸問題について意見を交わした。双方とも「大きな成果があった」としているが、メディアで報じられた内容を見る限り、実質的な進展はなく、交渉は中国のペースで進められた。トランプ氏はむしろ中国にしてやられた感がある。  ●28兆円で批判封じた中国  トランプ...

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 中国によるトランプ米大統領の盛大な歓待に、日本以上に苛立ったのはロシアだったかもしれない。プーチン大統領はその直後の11月10、11両日、ベトナム・ダナンでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合に出席したが、トランプ大統領とは立ち話にとどまり、会談できなかった。プーチン氏は記者会見で、「われわれの担当者がスケジュールを調整できなかった。彼らは処分される」と、強い不満を表明した。今後は米中...

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 米国の離脱で揺れた「環太平洋戦略的経済連携協定」(TPP)は11月11日、残る参加11カ国による閣僚間交渉の結果、米国抜きの新協定を発効させることで大筋合意に達した。新協定案の名称は「包括的及び先進的なTPP」(CPTPP)と改めた。  これに先立つ7月4日には、日EUの経済連携協定(EPA)も大枠合意して年内の最終合意を目指している。いずれも2019年の発効を目指すとされている。  TPP...

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 10月26日付の本欄拙稿「『加憲』は改憲方法として、やはり誤りだ」について、11月9日付で西修先生から誤解があるとのご指摘をいただきました。  憲法9条2項の「陸海軍その他の戦力」についての政府解釈は、西先生の御指摘のとおりだと思います。つまり、憲法が禁止している「戦力」とは、自衛のための必要最小限度を超える実力であるということでしょうが、この政府解釈こそが「アクロバット的解釈」(井上達夫・東...

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 北朝鮮をめぐる緊張が続く中、12日から日本海で3個米空母機動部隊と海空自衛隊による4日間の共同演習が始まった。戦争になれば双方ばかりか、日韓両国も甚大な被害を被ることになるから、その可能性は低いと推測する人達が多い。しかし、戦争は「誤算」「錯誤」そして「勢い」によって生起することがままある。約百年前、サラエボの銃弾一発によってその後4年にわたる戦争と数千万人の犠牲者を一体誰が予測したであろうか。...

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 10月26日付の『ろんだん』に掲載された髙池勝彦氏の「『加憲』は改憲方法として、やはり誤りだ」について、改めて意見を述べます。 髙池氏とは、これまでも本欄で2度にわたり議論を重ねましたが(拙稿5月22日付、6月12日付、髙池稿6月7日付、6月15日付)、氏の誤りと誤解を指摘しておきたいと思います。 第1に、氏は第9条に関する政府解釈について、軍隊とは近代戦争を有効に遂行する能力のある...

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 11月7日の米韓首脳晩餐会に文在寅大統領が元慰安婦を招いてトランプ大統領に紹介、夕食メニューに「独島エビ」を出し、日本領竹島を自国領とアピールする演出も加えた。日本政府は、日韓慰安婦合意の精神に反し、また日米韓が対北朝鮮で一致結束すべきときに、ことさら隊列を乱す行為として抗議したが、当然である。  こうした話を聞くたびに思い出す情景がある。  2002年のサッカー・ワールドカップ日韓大会。対...

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屋山太郎氏が「今週の直言」【第476回】(10月23日付)で言及されたように、「9条の硬い殻を破れる可能性」に期待したい。 ここに9条改正に反対している主要勢力の発言等を確認しておきたい。今後の9条改正論議で、共通認識として必要と考えるからである。以下において、資料提供も含めて、若干のコメントを付すことにする。 (1)枝野幸男・立憲民主党代表 枝野氏は、「憲法9条『第三の道』」として...

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 第19回中国共産党大会とその後の一中総会は10月25日に閉幕し、2期目の習近平政権が発足した。一連の会議で、注目すべきポイントは3つあると考える。①後継者のいない新指導部人事 ②〝習近平思想〟の党規約入り ③鄧小平が主導した「富国路線」から「強兵路線」への方向転換―である。  まずは人事。選出された新しい最高指導部の7人はいずれも60代。ポスト習近平世代の50代は1人もいない。習近平氏の後継者...

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 いわゆるロシアゲート疑惑の捜査に当たっているモラー特別検察官が10月30日、2016年の米大統領選におけるトランプ陣営のポール・マナフォート元選対本部長(在任期間6月〜8月)とジョージ・パパドプロス元外交政策顧問らを起訴した。  ●目新しさ欠くニュース  時事通信10月31日付記事は、「元外交顧問証言、政権に衝撃=対ロシア接触模索認める−米大統領選介入の疑惑捜査」という見出しを掲げている...

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 2つの相反する要素が両極に存在する。そんな印象を強くした中国の19大(中国共産党第19期全国代表大会)であった。  まず習近平の権力基盤についてだ。日本のメディアは「習一強」の確立と騒ぐが、それはいま始まったことではない。逆に、俗にいう「習近平思想」の党規約への盛り込みに人々の反応は冷え切っていた。  従来からある「中国の特色を持つ社会主義思想」という言葉に「新時代における習近平の」を形容詞...

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