公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2017年12月の記事一覧

 海上自衛隊の空母保有は長年の願望であった。筆者が知る限り1980年代からその願望があったが、2つの制約要素があった。1つは憲法上の制約、もう1つは米国(米海軍)の反対であった。  後者に関して言えば、現在の「ひゅうが」型が構想された1990年代に、米海軍には「はるな」型ヘリコプター搭載艦の後継として、災害対策にも使用するため搭載ヘリ数を増加させると説明していた。  ●攻撃型空母には該当せ...

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 ロシアや中国、中東などに派遣されている北朝鮮労働者は約10万人といわれるが、給与の9割以上が天引きなどで搾取されている。そこから北朝鮮は年間5億ドル程度の外貨を得ているが、今回の制裁で、2年以内にすべての北朝鮮労働者を帰国させることが決まった。当初の制裁案では「1年以内」だったが、多数の北朝鮮労働者を使っているロシアが最後まで反対して猶予期間が延長された。  ただ、全体としてみれば、今回の制裁...

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 国連安全保障理事会は12月23日、北朝鮮に対する新たな制裁決議(第2397号)を全会一致で採択した。11月29日に発射された大陸間弾道ミサイル「火星15」に対するもので、8月と9月に続く今年3度目の制裁となる。  北朝鮮の貿易額の9割を占める中国が、決議を忠実に履行するなら、来年、金正恩政権は相当な打撃を受けるはずだ。具体的には、2016年度との比較で、北朝鮮は輸出で得られる外貨の9割に当たる...

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 12月21日正午のNHKニュースでおかしな表現が2点あったので指摘しておく。  1つは拉致被害者家族の衆院特別委員会での証言を報じる中で、「拉致問題は今年、事件発生から40年が過ぎた」とした部分である。正確には、横田めぐみさんらの拉致(1977年、当時13歳)から40年目というだけで、それ以前にも拉致事件は起きている。例えば1963年に、当時13歳の中学生だった寺越武志さんも叔父2人とともに海...

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 トランプ米政権下の国家安全保障戦略(National Security Strategy-NSS-)が18日、公表された。大統領の巻頭言で先ず気付かされたのは経済最優先の姿勢である。優先順位は「経済」を第一に、「軍の再建」「国境防衛」「主権保護」が続き、これまでのNSSが優先的に掲げて来た「自由・民主主義」や「人権」といった価値観は5番目に列せられている。  巻頭言では、ならず者国家としての北...

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 我が国の排他的経済水域(EEZ)内にある「大和堆」海域に北朝鮮の漁船が大挙して押し寄せ、主にイカの密漁を行っている。  EEZ内では、日本政府の許可無く漁を行うことはできない。水産庁は漁業取締船を派遣し、6月、7月の2カ月間で、延べ約1500隻をEEZから排除した。しかし、7月に北朝鮮漁船が取締船に小銃を向ける事件があり、この時期からは海上保安庁が前面に出て本格的な警戒に乗りだした。海保は12...

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 防衛省が離島防衛などに巡航ミサイルを導入する方針に対して、早速野党は「専守防衛に違反する」として反対を唱えている。しかし、長射程巡航ミサイルを保有せずに、占領された島嶼を奪回しようとしたり、イージス艦の防護に当たったりするのは自衛隊員に「特攻作戦」を強いることに等しい。その同じ野党は2年前の安全保障関連法案の国会議論では、自衛隊活動拡大に伴う自衛隊員の安全確保の観点から反対した。矛盾してはいない...

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 四国電力伊方原発3号機をめぐって、住民が求めた運転差し止め仮処分の抗告審で、広島高裁は13日、運転を禁じる決定をした。  新聞報道によると、住民は、平成28年3月11日、広島地裁に、伊方原発の運転差し止めの本訴を提訴し、同時に仮処分を申し立てた。本訴については現在も審理中だが、仮処分については今年の3月30日、申し立て却下の決定が出た。住民は、この決定に対して広島高裁に即時抗告を申し立て、12...

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 愛媛県にある伊方原発3号機の運転差し止めを、広島の住民らが求めていた仮処分の抗告審で、広島高裁が13日、広島地裁の決定を覆し、運転停止を命じる決定を下した。  これに対し、四国電力は、「主張が認められなかったことは、極めて残念であり、到底承服できるものではない」とし、1週間以内を目処に広島高裁に異議を申し立てる考えを示している。朝日新聞はじめ反原発メディアは、司法の勝利と狂喜乱舞する記事を多数...

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 トランプ米大統領が6日、イスラエルの首都をエルサレムと認定し、米大使館を同地に新設移転すると宣言した。日本のメディアや外務省系の評論家等はおおむね、「またトランプが馬鹿なことをした」という調子で報じ、論じていた。反トランプに傾く米主流メディアの論調に沿ったものと言えよう。  例えば外務省OBの宮家邦彦氏は、「まさか本当に実行するとは思わなかったので、文字通り言葉を失った。……この決定は米国外交...

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 トランプ米大統領が6日(日本時間7日未明)、エルサレムをイスラエルの首都と認定し、テルアビブにある米大使館を移転すると公式に発表した。米議会は1995年、大使館のエルサレム移転を義務付ける法律を可決しており、トランプ氏も就任前から公約に掲げていた。  しかし、歴代の米大統領は中東での混乱を避けるため、その決定を先送りする文書に半年ごとに署名してきた経緯がある。今回は、先送り決定の期限が4日に再...

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 国家基本問題研究所と台湾安全保障協会の両シンクタンクによる第2回日台交流会議が12月7日、台北で行なわれ、筆者も参加した。  今回は、本年10月に米シンクタンク「プロジェクト2049研究所」から出版された『The Chinese Invasion Threat(中国侵略の脅威)』について意見交換を行なった。  同書によれば、「2020年までに中国は台湾侵攻の準備を終える」とされ、産経新聞が本...

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 小野寺五典防衛相が8日の記者会見で、長距離巡航ミサイル導入の関連予算を平成30年度予算案に計上する方針を正式に表明した。筆者は本欄や『今週の直言』で何度も導入の必要性を訴えてきたので、「ようやく」という感想である。ただ、現在の議論に欠落していると思われる点があるのでそれを指摘したい。  ●目標捜索、インテリジェンスは?  通常、こうした作戦の流れは、先ず捜索して目標を特定、攻撃し、その後...

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 11月29日、神戸地方裁判所において、「嫡出否認」規定は合憲との判決が出たことは、すべての新聞やテレビで報道されたので御存じかと思います。「嫡出否認」規定の合憲性が裁判で争われたのは初めてだとのことです。  ただ、この事件は、無戸籍者の救済といった問題が論点であるかのように思っている人がいるかもしれませんが、それだけが問題ではありません。私の考えを述べて皆さんの感想を伺いたいと思います。まだ判...

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