公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2018年6月の記事一覧

 アメリカが国連人権理事会の離脱を表明した翌日、国基研の櫻井よしこ理事長から「この件に関するコメントを」とお電話があり、私は次のようにお答えしました。  まず、アメリカが同理事会を脱退したのは、国として当然の対応だと思います。ニッキー・ヘイリー米国連大使は、国連人権理事会は「政治的偏見のはきだめ」だと批判しています。ヘイリー大使は、「偽善と自己満足」に満ちた組織が「人権を物笑いの種にしている」と...

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 6月19日、米国務省内で、ポンペオ国務長官とヘイリー国連大使が並び立ち、国連人権理事会からの脱退を表明した。トランプ政権のかねてからの方針を実行に移したもので、特に驚きはない。  2006年に国連人権委員会が人権理事会に衣替えした際、当時のブッシュ政権(共和党)は改革が不十分として参加しなかった。2009年にオバマ政権(民主党)が参加手続きを取ったが、再び共和党政権になれば、脱退というのは十分...

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 東京電力HDの小早川智明社長が6月14日、福島県庁で内堀雅雄知事と面会し「福島第2原発を全号機、廃炉の方向で検討に入りたい」と述べたことについて、各紙は大歓迎するような大見出しを掲げ、テレビもトップニュースで報じた。  東電が福島第2の廃炉方針を明言したのは初めてであるが、内堀知事は「県民の強い思いに応じた」と改めて賛意を表明。世耕弘成経済産業相も記者団に「経営トップの責任において地元の声や福...

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 米朝首脳会談は決裂せず、共同声明を出して終了した。会談への評価は様々だが、拉致問題に関する安倍晋三総理の考えをトランプ大統領が独裁者金正恩に直接伝えてくれたことは、大きな成果だった。  金正恩政権内部からは、「米朝会談は成功した」「次は日朝会談だ」などという話が多数聞こえてくる。北朝鮮はトランプ氏から斬首作戦の停止を取り付け、安倍首相から100億ドル以上のカネを取ろうと考えて、今年の対話攻勢を...

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 トランプ米大統領は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に騙された。2人だけの首脳会談で何が語られたかは不明だが、いとも簡単に金正恩氏を「信頼に足る人物」と見込んだ理由は、ついに明かされなかった。  一方、金正恩氏はトランプ氏の横で殊勝にうなずくだけで、以下10項目を手に入れた。 ① 米韓合同軍事演習の中止 ② 将来の在韓米軍撤退への米大統領の言及 ③ 対北制裁網の足並みの乱れ ④ CVID(...

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 欧州中央銀行(ECB)は6月14日の理事会で、資産を大量に買い入れる量的緩和政策を年内に終了することを決めた。  9月末までは現在の月間300億ユーロの買い入れを続けるが、10月から12月にかけては月間の資産買入額を150億ユーロに減らし、買い入れそのものは12月で停止する。米国に続き、欧州も金融危機を受け導入した措置の解除に向けて一歩を踏み出した。  一方、日本銀行は15日、金融政策決定会...

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 6月12日、シンガポールで史上初の米朝首脳会談が行われ共同声明が発表された。米国の焦点は、北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆な非核化」(CVID)だったが、声明は「板門店宣言を再確認し」「完全な非核化に取り組む」というだけの具体性に乏しい内容だった。  一方、北朝鮮は体制の保証を求め、結果、「恒久的で安定的な平和体制の構築」との文言を得た。そして「新たな米朝関係の確立」という表現も盛り込まれた...

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 米朝首脳会談は北に多くを与えた米側の大譲歩と言える。共同声明にCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)のV(検証可能)とI(不可逆的)の言葉がなかった上に、トランプ大統領は記者会見で米韓合同軍事演習の中止まで言及してしまった。  ●CVIDはどうなった  北朝鮮は先月、豊渓里の核実験場を西側の報道陣を招いて爆破させたが、当初予定されていた専門家を招待することは拒んだ。これでは「検証...

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 史上初の米朝首脳会談によって東アジアの冷戦が集結しようとする間に、もう一つの冷戦の産物である台湾海峡がきな臭さを増している。日本のメディアはほとんど報じていないが米台関係は相当改善し、それに対して中国が苛立ちを強めている。  台湾が中国本土の手に落ちてしまえば、中国の太平洋進出は自由になり、尖閣はおろか沖縄が危険に晒されるという事実を日本はもっと認識し、戦略的見地から台湾との関係改善に取り組む...

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 6月5日の産経新聞「正論」欄に、古川勝久氏(国連安保理専門家パネル元委員)が次のように書いていた。  ≪米朝首脳会談が6月12日にシンガポールで開催されることが決まった。その議題をめぐる米朝実務レベル協議に、かつて対北朝鮮交渉の責務を担っていたソン・キム大使が米側交渉団の代表として参加した。現在、フィリピン大使の同氏は赴任先から急遽、北朝鮮との交渉のためソウルに呼び出されたようだ。  首脳会...

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 この6月1日から、刑事裁判において、司法取引制度が導入されたことが、新聞テレビなどで一斉に報道された。私は、刑事事件が専門ではないし、まだ経験はないが制度の狙いや見通しについて述べることにする。  今回の司法取引は、他人の犯罪を捜査機関に明かす見返りに、不起訴や求刑を軽くしてもらう制度である。アメリカでは、容疑者が自分の犯罪を認めて罰を軽くしてもらう「有罪答弁」の取引が中心であるが、今回の司法...

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 トランプ政権は金正恩に対して、すべての大量破壊兵器を短期間で全面廃棄するよう求めている。トランプ大統領はボルトン安全保障担当補佐官らが主唱していた「リビア方式」を否定した。すなわち、カダフィは大量破壊兵器廃棄を実行したが内乱により殺されたが、金正恩が大量破壊兵器廃棄を実行すれば安全と繁栄を保証するとしたのである。しかし、もし廃棄を実行しなければリビアのように金正恩も滅ぼされる、との警告でもある。...

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 6月12日にシンガポールで開くとしている米朝首脳会談をめぐり、両国の激しい駆け引きが続いている。5月24日、トランプ大統領が中止を宣言する書簡を出してからは、主導権は米国が握っている。  あわてた金正恩は翌25日に金桂冠第1外務次官名で談話を出し、会談を止めないでくれとトランプ大統領に泣きついた。26日には金正恩側から呼びかけて2度目の南北首脳会談を急遽持って韓国の文在寅大統領に助けを求めた。...

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 トランプ米大統領が5月24日、金正恩に「現時点では会談を行うのは不適切だ」とする書簡を送り、6月12日に予定されていた米朝首脳会談を拒否することを通告した。一方で、会談の下交渉は続いており、会談の開催についてはなお予断を許さない状況が続いている。  同書簡でトランプ大統領は、会談拒否の理由として、北朝鮮が最近、米国に対して「猛烈な怒りと露骨な敵意を示してきた」と書いた。  これは直接的には、...

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