公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2019年11月の記事一覧

 報道によれば、財務相の諮問機関である財政制度等審議会(財政審)の歳出改革部会が10月23、防衛関係費の調達コスト削減を徹底するよう求めた。  防衛省が8月末に提出した令和2年度予算の概算要求では航空機関連で「まとめ買い」がみられるが、財務省は「徹底した単価削減を行うことが大前提」とし、安易にまとめ買いに走らないよう要求したともいう。  しかし筆者の考えでは、これらの指摘等は価格決定のプロセス...

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 1週間ほど前、朱建栄東洋学園大学教授はBSフジの番組で香港での大学立て籠もりを、昭和44年1月の東大紛争における安田講堂封鎖解除事件と同一視する発言をした。  しかし、最も香港の民意が反映されるとして注目されていた今回の香港区議会選挙は、投票率が過去最高を記録するとともに、民主派が総議席の85%を獲得して圧勝した。安田講堂立て籠もりが、過激な極左学生集団による事件として全く国民から支持されなか...

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 中国紙「科学技術日報」は11月7日、中国が次々世代通信技術「6G」の開発に向けた調査研究を公式に開始したと報じた。  高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムですら、ようやく限定的な消費者向けサービス始まったばかりで、いかにも気が早い話に思えるが、米国でもトランプ大統領が5月に6Gに言及し、日本でも、政府が11月21日、「ポスト5G」基金を創設することを公表している。  6Gで何ができる...

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 韓国が日本とのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)からの脱退を踏みとどまったが、親北・親中で日米とは距離を置く根本的な構造に変化はなく、文在寅政権が続く限り米韓同盟の弱体化という問題は解決しない。  米国は、在韓米軍の駐留経費分担の大幅増額を韓国に迫り、交渉を開始したが、交渉は80分で決裂した。在韓米軍はカーター政権で撤退が検討され、やはり親北の盧武鉉政権時代に米陸軍第2歩兵師団の1個旅団がイ...

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 マスコミが取り上げている教師のいじめは氷山の一角に過ぎない。学校という閉鎖社会の中での先輩・同僚教師からのパワハラ・モラハラ・セクハラは日常茶飯事である。私は10年以上、東京、埼玉、大阪、福岡で教師のリーダーを育てる師範塾の塾長、理事長として、教員研修に尽力してきたが、小学校の教員採用試験の競争倍率が限りなく1倍(全員合格)に近づきつつある今日、教員をめぐる状況の深刻さは目を覆うばかりである。 ...

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 香港で起きているデモについて中国外務省の華春瑩報道官は数ヶ月前、「明らかに外国勢力が背後で糸を引いている。米国は早く香港への魔手を引っ込めるよう忠告する」と述べた。これを受けるように12日の中国共産党機関紙「人民日報」系の「中国日報」(英語版)は、操られた人形が火炎瓶と血塗られたナイフを持って香港の将来を脅かしているとする風刺画を掲載した。また「デモ参加者達は金をもらっている」という偽情報もSN...

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 フランスのマクロン大統領が英誌エコノミスト(電子版、11月7日)とのインタビューで、米欧間の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)は今や「脳死」状態にあり、米国を当てにできないので、欧州は独自の軍事戦略と軍事能力を持つべきだと言明した。同盟関係を重視しないトランプ米大統領への絶望感を率直に表明したもので、フランスと同じく米国の同盟国である日本にとっても、無視できない問題提起となっている。 ...

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 令和2年度概算要求にF-2戦闘機の後継機である「将来戦闘機の開発事業」が事項要求されている。事項要求とは、概算要求を財務省に出す際、個別政策の金額を明示せず項目だけ記載することである。どんな内容になるか、楽しみである。  しかし、1つ大きな懸念がある。それは、航空自衛隊の輸送機C-2の主翼や後胴などを製造している製造分担企業(SUBARUや三菱重工業など)に関わる主契約企業(川崎重工業)の総利...

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 10月31日、ナンシー・ペロシ米下院議長は、トランプ大統領の弾劾訴追に向けた調査を開始する旨の決議案を本会議採決に掛け、232対196の賛成多数で承認された。例によって「トランプ氏が追い込まれつつある」との報道や解説を多く目にするが、事実はむしろ逆である。  まず10月31日の採決で共和党側は1人の造反者も出さず、下院議員全員が弾劾はおろか調査すら不要との意思を示したことだ。民主党優位の下院で...

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 ついに香港デモ隊に死者が出た。現地からの報道によると11日にも香港の警察官が無防備の市民に実弾を発砲し、男性1人がケガをして病院に搬送されたが重体だという。その模様は動画サイトでも流れているが、警察官は至近距離から躊躇なく連続発射している。香港デモのきっかけとなった中国へ犯罪者を引き渡す逃亡犯条例が行政府によって撤回されたにもかかわらず、香港デモは鎮静化するどころか益々激化している。  香港の...

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 安倍晋三首相が、自民党総裁としてぜひとも憲法改正を実現したいとの決意であることはよく知られてをり、私もぜひ安倍内閣の間に憲法改正が実現されることを期待してゐる。私は本欄でも何度か主張してきたやうに、安倍さんの加憲案に反対であるが、某自民党有力議員のやうに、憲法改正の動きに水を差すために反対してゐるのではない。  その関連で、最近安倍さんは、自分の案に固執するつもりはなく、対案があつたらどんどん...

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 天皇陛下が訪中された1992年、中国は尖閣を含む海域を領海とした領海法を制定した。98年に江沢民主席が国賓として訪日した際には、宮中晩餐会を含めて何回も歴史問題で日本の反省を求めた。当時、在米日本大使館に武官として勤務していた筆者は、日本からの出張者が「江沢民の度重なる対日歴史問題非難の発言には吐き気を催した」と語っていたのを覚えている。その中には、現立憲民主党国会対策委員長の安住淳氏もいた。 ...

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 現在の中国では、社会主義市場経済が経済の原則となっている。これは 1993 年の中華人民共和国憲法の改正で計画経済に取って代わったもので、憲法の前文および条文、中国共産党規約、その他の法規や文書でも社会主義市場経済に言及している。(※1)  しかし島田洋一福井県立大学教授が指摘するように、一党独裁下のその実態は、まさにファシズムの一形態に他ならない。  ●途上国扱い許されぬ経済大国  ...

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 米中貿易戦争は、いまのところ米国に利がある。中国国家統計局が10月18日に発表した7~9月期の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比6.0%増に留まった。今年4~6月期比で0.2ポイント鈍化し、2期連続で減速した。年間も含めると、天安門事件後の1990 年の前年同期比3.9%増以来最低となった。四半期ベースでは、遡及できる1992 年以降で最低だ。  一方、米商務省が30日発表した7~9月期の...

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 政府は中東海域に自衛隊を派遣するよう検討を開始した。その法的根拠は防衛省設置法が定める「調査・研究」だという。つまり通常の任務の延長線上に位置づけられる。6月に日本のタンカー「コクカ・カレイジャス」が吸着機雷で攻撃されたような場合には、反撃ができない。  その場合には自衛隊法に基づく「海上警備行動」を発動するのかもしれないが、それでも使用できる権限は警察官職務執行法(警職法)に基づく警察行動の...

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 報道によれば安倍晋三首相は10月18日、国家安全保障会議(NSC)の4大臣会合で、中東への自衛隊派遣の検討を指示したという。  菅義偉官房長官は会見で「派遣の目的は情報収集の体制の強化とし、派遣根拠は調査研究」、そして「オマーン湾、アラビア海北部の公海、バベルマンデブ海峡の東側の公海を中心に検討する」と活動範囲を述べ、ホルムズ海峡には触れなかった。背景には友好関係にあるイランへの配慮だけでなく...

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