2020年1月の記事一覧
【韓国情勢】6年ぶりに姿を現した金慶姫は本物か 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)
旧正月である1月25日、金正日の妹で2013年12月に処刑された張成沢の妻である金慶姫が姿を見せた。北朝鮮の公式媒体は26日、金慶姫が金正恩や与正らといっしょに平壌で旧正月の記念公演に出席したとして、写真や動画を報道した。彼女の姿が公開されるのは6年ぶりだ。 実は私(西岡)は数年前、情報源から金慶姫は張成沢処刑に強く抗議し、金正恩を叱責し続けたので、金正恩によって毒殺されたという内部情報を入...
「司法テロ」対策に強い最高裁を 島田洋一(福井県立大学教授)
1月17日、広島高裁(森一岳裁判長)が、四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを認める仮処分決定を下した。この判断の論理的欠陥については、櫻井よしこ氏や奈良林直氏の優れた論考があり、そちらに譲りたい。ただ、どれほど論理で説いても、これらの裁判官は態度を改めないだろう。結論ありきの確信犯だからである。 民主的手続き(議会の多数決)で実現できないことを、裁判官が権力乱用によって実現する。司法の皮を...
日本のイラン専門家に欠けているもの 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
米イラン関係が厳しい中、自衛隊が中東に派遣される。このような情勢からテレビではイラン問題に関して多くの専門家が意見を述べているが、その中で決定的に欠落している点がある。それは、日本の喫緊の脅威となっている北朝鮮とイランは軍事技術の交流で極めて緊密で、イランは北から兵器を購入して外貨獲得に便宜を図り、日本に間接的に脅威を与えているという点である。 ●なぜ触れぬ北朝鮮との軍事協力 1月1...
感染症対策に見る中国の情報開示 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎患者が、中国のみならず日本、韓国、台湾、米国でも確認されている。こうした感染症の対策として最も大切なことは「情報の透明性」である。中国での新型ウイルス肺炎蔓延をNHKの海外放送が報じた時、中国では画像が真っ暗になって消されてしまった。中国政府が記者会見を行ったのは、21日の習近平主席指示を受けて22日になって初めてである。 一党独裁の国...
米イラン戦争を止めた「悲劇の代償」 湯浅博(国基研主任研究員)
全面戦争に至る寸前に小康を保つことができたのは、そこに「悲劇の代償」があったからではないのか。イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官が年明けの3日、イラクのバクダッド空港でアメリカ軍の無人機攻撃で殺害され、国際社会はアメリカとイランの報復戦争の行方に固唾をのんだ。 イランのミサイルによる報復攻撃に、アメリカ軍が反撃を自制して戦争を回避しようとしたのは確かだ。だが、それ以上に抑制機能が働いたのは、...
集団指導で政権延命図るプーチン改憲案 名越健郎(拓殖大学海外事情研究所教授)
ロシアのプーチン大統領が発表した権力機構再編のための憲法改正提案は、唐突かつ意表を突くもので、ロシアのメディアは「1月革命」「1月テーゼ」などと報じた。大統領は既に憲法改正の関連法案を議会に提出しており、春にも議会承認を経て国民投票を行う方向だ。その場合、プーチン大統領辞任を含め、早期に新体制に移行する可能性がある。 ●鄧小平型の院政狙いか 改憲案の目玉は、大統領の権限が縮小され、上...
「日米同盟60年」に思う 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
19日で日米同盟が60周年の還暦を迎えた。50周年の2010年1月には、日米修好通商条約批准のために江戸幕府が派遣した訪米使節団が宿泊したワシントンDCのウイラードホテルで、米戦略・国際問題研究所(CSIS)主催の記念セミナーが行われ、筆者も参加した。 当時は、鳩山由紀夫首相の普天間飛行場移設先に関する「最低でも県外」発言や、インド洋で燃料補給活動に従事していた海上自衛隊の撤退などに対する米...
再検討時期に来た日本の核政策 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
昨年、『核武装と知識人—内閣調査室でつくられた非核政策—』(岸俊光著)が勁草書房から出版された。現在の日本の核政策は、1964年の中国初の核実験を受け内閣調査室が識者を結集して纏め上げたとする内容である。 中でも、核政策の骨幹となったのは、内閣調査室の機関紙『調査月報』が1970年5月に巻頭論文として掲載した「日本の核政策に関する一考察」(以下内調論文とする)で、作成の中心は「カナマロ会」、...
中露イラン「3カ国枢軸」に警戒を 湯浅博(国基研主任研究員)
中東から東アジアにかけて世界のパワーバランスが大きく揺れている。反米で利害が一致する中国、ロシア、イランの3カ国が昨年暮れの4日間、中東のオマーン湾沖で展開した初の合同軍事演習は、西側主要国に少なからぬ衝撃を与えた。 ここ数年来、中露の軍事協力は格段に進んでいたことは明らかだ。これに核開発の野望をもつイランが加わったことで、「悪の枢軸」が再編されたかのような論評も出てきた。米軍がイラン革命防...
イラン情勢緊迫で喜ぶのは中國 太田文雄(元防衛庁情報本部長)
『孫子の兵法』火攻篇第十二に「「主は怒りを以って師(戦争)を興すべからず。将は慍いきどおりを以って戦いを致すべからず。利に合えば而ち動き、利に合わざれば而ち止まる。怒りは復た喜ぶべく、慍りは復た悦ぶべきも、亡国は復た存すべからず、死者は復た生くべからず。故に明主はこれを慎しみ、良将はこれを警む。此れ国を安んじ軍を全うするの道なり」とある。 トランプ大統領は、年末にイラクへのロケット弾攻撃で殺...
西岡氏に問う、「即時一括帰国」でいいのか 荒木和博(拓殖大学海外事情研究所教授)
以下は先月27日付本欄で西岡力・救う会会長が書いた「共同通信の拉致報道に注意せよ」への反論である。 政府認定拉致被害者田中実さんと特定失踪者金田龍光さんの情報を5年前に入手し、それを黙殺していたという共同通信の報道については様々な見方があろう。私は西岡氏と意見は違うが、それについてどうこう言うつもりはない。 看過できないのは「部分帰国やさみだれ帰国、日朝共同調査委員会などは絶対に認められ...