公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2020年4月の記事一覧

 4月28日、関西電力が筆頭株主の大阪市から提案を受けていた橋下徹元市長の社外取締役起用を、その政治的言動などから「公益性が高い当社の取締役に就任することは適切ではない」として拒否したと発表した。  関電の役員らが福井県高浜町の元助役(故人)から金品を受領した問題を受け、松井一郎大阪市長が「関電の経営体質をよく知っていて、コンプライアンス(法令順守)にも詳しい。関電の問題点を一番よく分かっている...

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 江藤淳の労作『閉された言語空間―占領軍の検閲と戦後日本』が、このほど"CLOSED LINGUISTIC SPACE-Censorship by the Occupation Forces and Postwar Japan"として英訳された。国際広報という観点からすれば、マッカーサー占領軍がポツダム宣言の意図に反して、隠微かつ過酷な検閲を徹底して日本の文化・慣習・マスコミ等に加えたことが、白日...

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 政府の緊急事態宣言から2週間を経過したが、新型コロナウイルスの患者数は一向に減少する気配がない。5月6日までに収束する兆しは見えず、長期戦を覚悟しなければならない。  一方、北朝鮮の生物化学兵器からの脅威に備えてきた韓国や、中国の侵攻を何時受けるか判らない台湾など、常に敵と向き合って対策を練ってきた国々は、これまでウイルス感染の拡大防止でも見事な対応を示してきた。  翻って我が国は、高性能マ...

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 政府が17日、収入の大幅減を証明できた世帯に限って30万円を支給するという案を撤回し、国民全員に一律10万円の現金給付を実施する方針を明らかにした。その是非をめぐっては、本「ろんだん」の20日付で大岩雄次郎、有元隆志両氏が論じている。ここではその議論に立ち入るつもりはない。  ただ、いずれの立場に立つにせよ、速やかな対応の必要性については合意がある。その点、一部自民党の議員が、マイナンバーカー...

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 「今週の直言」や「ろんだん」で、次亜塩素酸水の利用を繰り返し提案しているが、国の積極的な利用がなかなか進展しない。「予防保全」の観点から感染の予防に力を入れる方が遙かに効果的であり、「事後保全」として発症した患者を医療により治療するのは大変で、医療従事者に大きな負担がかかることは明白である。医学おける予防保全は、ワクチンを開発することであるが、これには少なくとも1年以上の歳月と膨大な開発コストが...

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 安倍晋三首相が武漢ウイルスの緊急経済対策として「減収世帯への30万円」の給付を取りやめ、「1人10万円」の現金給付を決めた。首相は4月17日の記者会見で「混乱を招いてしまったのは私自身の責任であり、国民の皆様に心からお詫びを申し上げたい」と謝罪したが、これに対し「朝令暮改」と批判する声がある。  さっそく、朝日新聞記者は「お詫びを申し上げるということだが、(全世帯に配布する)布マスクや(歌手の...

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 政府は17日、緊急経済対策による2020年度補正予算案の閣議決定からわずか10日足らずで減収世帯に30万円を支給する措置を撤回し、異例ともいえる予算案の組み替えをして国民全員に一律10万円の現金給付を実施すると発表した。  一貫性のない経済対策の混乱はコロナ感染の拡大抑制を遅らせ、終息後の経済回復を遅らせかねない。  ●意味不明の「一律10万円給付」  当初決定した減収世帯に対する30...

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 3月26日付の「ろんだん」に「片仮名語の『感染拡大』にも歯止めを」と題する一文を寄せた。ところが政府主導の感染拡大は一向にやまないようだ。  例えば政府が、企業に強く実施を求める「テレワーク」である。普通に「在宅勤務」と言えば誰でも分かるが、テレワークと聞いて即座にピンとくる人がどれだけいるのか。テレは「遠く」を意味する古代ギリシャ語のteleに発し、西洋語で「距離がある」を意味する接頭語とし...

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 15日のNHK‐BS1で「パンデミックは世界秩序を変えるのか」という特集があった。番組内容をNHKのホームページから紹介すると以下のようなものである。  「新型コロナウイルスの感染者と死者の数が世界で最も多いアメリカ。感染は力の象徴でもある空母などにも広がり、アメリカ軍の活動は大幅な縮小を余儀なくされている。この機に乗じて、中国海軍は大規模演習を行うなど活動を活発化。コロナ終息後を見据えて影響...

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 中国は新型コロナウイルス感染症(以下では「コロナ禍」)対策の初動で情報隠蔽という大失態を犯したが、その後は苛烈なロックダウン(都市封鎖)で迅速に感染を封じ込めた(ようだ)。習近平政権は「次なる課題は経済の回復」と舵を切りたいところだが、話はそう簡単ではない。  ●10%近い成長落ち込みも  第一、苛烈なロックダウンは経済に深い傷を遺した。火元の武漢だけでなく、中国ほぼ全土の製造業、サービ...

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 新型コロナウイルス禍が猖獗を極める欧州から、統合の理念の尊さを説く声を聞くことはまず、なくなった。14世紀の黒死病(ペスト)が欧州社会を激変させたように、コロナ危機収束後の欧州が以前と同じ姿を保っているとは思えない。「欧州連合(EU)はコロナ危機を生き延びることができるのか」と問う声もかまびすしくなってきた。  5年前、百万人に近い難民を受け入れるという大胆な政策を決断し、保守政党の党首であり...

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 4月8日、中国海警局の警備船4隻が、尖閣諸島周辺の我が国領海に侵入し、海上保安庁の警告を無視して約1時間40分間にわたり航行した。中国公船の領海侵入は、今年に入り6回目であり、接続水域内には毎日のように姿を見せている。  中国にとっては、自国を震源として世界中をパンデミックの恐怖に陥れている新型コロナウイルスの禍さえ、海洋強国樹立の目論見には、何ら影響を与えるものではないようだ。むしろ、コロナ...

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 西太平洋に展開する米原子力空母セオドア・ルーズベルトの乗員約4800名のうち300名が新型コロナウイルスに感染した。恐らく3月上旬にベトナムに寄港した際に乗員が上陸して感染したものと思われる。この実情を艦長が海軍上層部に訴えると共に、その写しをメディアにも送付したことから解任され、その解任した海軍長官代行も辞任した。  10日付の産経新聞によれば、米空母11隻中、4隻で感染者が出ており、米海軍...

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 新型コロナウイルスの感染蔓延で緊急事態宣言が発出された。諸外国の指導者は、今回の危機を第二次世界大戦以降最大の国家的危機と受け止め「戦時」という表現すら使っている。こうした国家非常時に、国民をリードしていく内閣総理大臣は戦時の指揮官とも言うべき存在であろう。  第3代統合幕僚長の折木良一元陸将は「自衛隊では休むことを戦力回復と呼ぶ」と述べている。戦時の指揮官には休んでもらわないと、適時適切な判...

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 武漢ウイルスをめぐる中国共産党政権(以下中共)の情報隠しや誤誘導に事実上協力した世界保健機関(WHO)とりわけテドロス事務局長(エチオピア出身)への批判が高まっている。  問題は、その批判をどう具体的行動につなげるかである。この点、アメリカと日本は対照的だ。アメリカでは、テドロス辞任を含むWHOの機構改革、再発防止の徹底がなされない限り、来年度は拠出金を大幅減額するとの意見が議会有力者から次々...

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 李度珩(イ・ドヒョン)前「韓国論壇」社長が5日、逝去された。87歳だった。最近は日本に来られる度に、国基研の企画委員会でも韓国情勢について講演をしてくださった。韓国保守論壇の重鎮であった。  「朝鮮戦争勃発時、ソウルを占領した北朝鮮共産軍がソウル大学病院で患者を虐殺し、それを止めようとした医者、看護師も皆殺しにした。ところが、いまの50代以下の若い世代はその事実を知らないで、南北対話に酔ってい...

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 ロシアの新型コロナウイルス感染者は、4月5日時点で5389人(死者45人)と、日本の4556人(死者104人)を上回っている。それでも、米国や西欧諸国のような爆発的増加に至っていないのは、初動の水際作戦や早急な外出禁止令が効果を上げたためだ。ロシアは国境閉鎖を続けており、このあおりで日露間の北方領土ビザなし交流は、今年は中止となる可能性がある。  ●感染者は地方へと拡大か  プーチン政権...

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 小池百合子東京都知事は、武漢ウィルスによる感染症がこのまま拡大すればロックダウンをしなければならない旨、テレビなどで度々述べてゐる。ロックダウンとは何か。3月19日、政府の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」による状況分析・提言の中に、爆発的な患者急増が起きた場合、「数週間の間、都市を封鎖したり、強制的な外出禁止の措置や生活必需品以外の店舗閉鎖などを行う、いわゆる『ロックダウン』と呼ばれる...

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 武漢コロナウイルス問題で日本は国家的危機に直面している。にもかかわらず、立憲民主党などの野党はいまだに学校法人「森友学園」問題を持ち出し、安倍晋三首相を追及している。与野党は感染が拡大しても国会を休会にしない方針だが、令和2年度補正予算案など重要法案の処理を除き、直ちに休会にすべきだ。  ●森友とコロナ、どちらが緊急か  元参院議員で慶応義塾大学教授の松井孝治氏は月刊「正論」5月号で、「...

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 昨年11月に中国武漢市で発症した新型コロナウイルスによる感染症が、今や世界中を席捲している。グローバリズムからナショナリズムへの揺り戻しと、産業構造の一大変革という人類史上の大転換が生起中だが、今回は中台関係に焦点を絞って考えてみたい。  コロナ騒動は、米中二大勢力の覇権争いの真っ只中で生じた。第二次世界大戦後、米ソ二大陣営が東西冷戦で覇権を争い、20世紀末のソ連崩壊後は米国一強体制になったか...

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 3月30日付の今週の直言「死者1万人超か、北朝鮮でコロナ蔓延」に書いたように、北朝鮮では武漢肺炎の死者が1万人を超えているほか、市場の物価の高騰により餓死者が発生するなど体制の危機が深化している。  そこで紹介したように、1月末から中朝国境を封鎖した結果、中国からの物資が入ってこなくなり、大多数の住民の生活を支えていた市場(チャンマダン)では国産が大部分のコメやトウモロコシを含むすべての商品の...

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