公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2020年5月の記事一覧

 検察人事をめぐる論議の混迷は、日本の政界が、民主主義や三権分立といった基本的な政治理念を十分理解していない実態を露呈した。  日本共産党の志位和夫委員長は、「そもそも検察官は、人を罪に問える――逮捕し、起訴するという強い権力があたえられた唯一の職であり、一般の公務員とはまったく違う」と力説する(しんぶん赤旗5月13日)。その通りである。検察官は総理大臣ですら起訴し、政治生命を絶ちうる強大な権限...

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 22日開幕した中国の全国人民代表会議(全人代)で中国共産党幹部は、これまで中台関係で使用してきた「和平統一」から「促進統一」に改めた。平和裏に台湾を統一する考えを捨て、武力行使をも辞さない意志表明の現れと見られる。26日に行われた習近平国家主席の全人代における軍幹部への演説でも、新型コロナウイルスへの対策を続けながらも軍の強化を着実に進めるよう指示した。  ●コロナ隠れ蓑に軍事的な攻勢 ...

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元慰安婦の李容洙氏が30年間ともに運動をしてきた元慰安婦支援団体「正義記憶連帯」(正義連、旧称は挺対協=韓国挺身隊問題対策協議会)とそのリーダーの尹美香氏を批判した後、韓国では連日、尹氏らの不正、偽善、運動の政治利用が暴露され、検察が本格的な捜査に入った。 韓国の左派マスコミや与党内でも、検察の捜査で会計上の不正の証拠が出てくれば、尹氏を庇いきれないという雰囲気が広まっている。しかし、5月2...

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 「(左派、リベラルは)なぜ日本を貶める発言を続けるのか」―5月19日、産経新聞の英文ウェブサイト「ジャパン・フォワード」に掲載されたアメリカ人学者の寄稿が外国人の間で反発を招いている。寄稿したのは、アール・キンモンス大正大学名誉教授で、外国人の、とりわけ英米系の左派、リベラルのエリートに、日本に対する“文化的偏見”があると指摘している。英文メディアということもあって、日本人の間ではまだその内容が...

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 原子力規制委員会は5月13日、青森県六カ所村に建設された日本原燃の再処理工場の安全審査で「審査書案」を取り纏めた。これは、2011年3月の福島第一原子力発電所の過酷事故を踏まえた厳しい新規制基準に対する追加要求も満たし、再処理施設としての事実上の安全審査の合格に相当する。今後、一般の意見公募(パブコメ)を経て、今夏中に正式合格となる見込みである。  ●原発40基分の使用済み燃料処理  再...

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 国家公務員法改正に伴ふ検察庁法の改正について政府は、検察庁法ばかりではなく、公務員法までも今国会での改正を断念したといふ。5月18日付の「今週の直言」で、これは大問題でもなく、三権分立を揺るがせるものでもないといふ意見を述べたが、検事を他の公務員と同じ扱ひにするといふ案を将来に持ち越すことでよいのか。  ●針小棒大でコジツケが過ぎる  5月12日付の朝日新聞社説は、この改正を「国民を愚弄...

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 朝日新聞の名物コラム「天声人語」の決めつけ好きな体質はいまも変わらないようだ。5月12日付では、検察官の定年を延長する検察庁法改正案を批判するなかで「ときの政権の覚えめでたい人の特別扱いが常態化すれば、検察の牙が抜かれる。(法案反対は)当然の危惧であろう」として、東京高検の黒川弘務検事長の定年延長問題を引き合いに出した。  昭和55年7月に成立した鈴木善幸内閣は防衛力強化の方針を打ち出し、8月...

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 中国の武漢ウイルス発生源について国際的な調査を要求するオーストラリアに対し、中国は牛肉の輸入制限を行った。中国外務省の趙立堅報道官は12日の記者会見で、調査要求について「間違った政治的解釈」と切り捨て、輸入制限は「中国消費者の健康と安全を守るため」だと主張した。  中国は昨年6月に孟晩舟ファーウェイ副社長を拘束したカナダに対しても食肉の輸入制限を実施。2010年には尖閣諸島周辺海域で海上保安庁...

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 韓国ギャラップ社の最新世論調査(5月8日発表)で文在寅大統領の支持率は71%と急上昇した。70%を超えたのは2018年7月以来である。  就任3周年を迎えた5月10日の特別演説で文氏は「世界をリードする韓国」をキーワードに熱弁をふるった。また、国の疾病管理本部を「疾病管理庁」に格上げし、国立感染症研究所を設立すると自ら発表するなど「新型コロナウイルス制圧」で手にした高支持率を背景に「公衆衛生体...

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 新型コロナウイルスの感染拡大に対し政府の緊急事態宣言の期間が延長されたが、朝日新聞などの左派、リベラル・メディアの報道によると、日本の対応に対する海外からの批判が相次いでいる。が、批判の中身には2つの点で違和感を覚える。  5月8日付けの朝日新聞は、感染の有無を調べるPCR検査について取り上げ、英紙ガーディアンや在日ドイツ大使館が「日本の検査数の少なさ」を指摘したと報じた。また、米紙ワシントン...

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 新型コロナウイルスとの戦いは、感染の加速度的な増加を抑え込む局面から、感染収束を見据えた経済回復への対応が求められる局面にさしかかった様子である。とはいえまだ入り口に過ぎず、感染の収束と経済回復を確かなものにするためにも、いまが正念場である。  世界経済フォーラム(WEF)によれば、深刻な感染症および比較的深刻な感染症にかかると、世界全体の年間コストは約5700億ドル(約60兆円、世界の所得の...

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 緊急事態宣言が5月31日まで延長されたが、新型コロナウイルスの新規感染者の数は減少に転じて、一部の県では営業や学校を再開する所も出ている。既に「勝負あった」の感がする。  欧米に比し爆発的感染が防げたのは何故か? この点について外国のメディアは3月の時点から着目してきた。例えば米フォックスニュースは3月24日に「何故、日本はコロナウイルスの大量爆発が避けられているのか」とする分析報道を行ってい...

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 北朝鮮の独裁者、金正恩委員長が5月1日、20日ぶりに公の場に姿を現した。正確に言うと北朝鮮公式メディアが2日、前の日に平安南道順川で行われた肥料工場の竣工式に金正恩が出席した際の写真と動画を伝えた。  若干、左足が不便なようだったのと、顔にむくみがあったように見えた。たばこを吸う場面もあり、少なくとも重病人には見えなかった。  ただし、動画では金正恩の右腕に傷跡のような黒い点が見えた。心臓の...

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 武漢ウィルスによる感染症の拡大により、政府は4月7日、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下特措法)32条1項により、期間を5月6日まで、適用区域を埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県及び福岡県とする「新型インフルエンザ等緊急事態宣言」を出し、4月16日には適用区域を全都道府県とした。しかし、依然として発症が収まらず、5月4日、期間を5月31日まで延長した。  この緊急事態宣...

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 新型コロナウイルスの感染拡大による学校休校が長期化していることに伴い、「9月入学」の導入が議論されている。  安倍晋三首相は4月30日の参院予算委員会で「今後、学校再開に向けた状況を見極めつつ、文科省を中心に、9月入学も含めてさまざまな選択肢を検討していく必要がある」と述べた。筆者も9月入学案には賛成である。  その理由は、防衛大学校の国際教育研究官として、諸外国の士官学校と1学期間交流プロ...

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 中国国務院が南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島とパラセル(同・西沙)諸島を管轄する新たな行政区として、南沙区と西沙区を設置すると発表した(新華社北京4月19日)。  中国の行政区分には大きく省、自治区、直轄市などがあり、今回はその一つである海南省の下で、南シナ海の島嶼群を管轄する海南島の三沙市(8年前に新設)に、新たな行政区が設けられたことになる。  ●神経尖らせる近隣諸国  ...

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