公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

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2021年 8月の記事一覧

8月26日、アフガニスタンからの脱出を希望する民間人でごった返す首都カブールの国際空港付近で起きた自爆テロで、警備の米兵13人を含む200人近くが死亡した事件は、アフガニスタンが依然として国際テロ組織の温床であることを立証したもので、アフガニスタンからの米軍撤退の正当性に重大な疑問を投じた。内外の批判にもかかわらず米軍撤退を強行したバイデン政権にとって、テロ攻撃の発生はアフガニスタンの旧支配勢力タ...

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アフガニスタンの首都カブールが、あっけなくイスラム原理主義武装勢力、タリバンの手に落ちたとき、歓喜の声を上げたのは隣国のパキスタンであった。これまで、タリバンへの支援疑惑を表向きは否定していたものの、イムラン・カーン首相はついに「アフガンは奴隷の足かせを解いた」と本音を吐いた。アフガン大波乱の勝者は、人種的な結びつきの強いパキスタンだったのだろう。 アフガンは中央アジアの地政学上の要衝であり...

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自衛隊が8月下旬、オランダのフリゲート艦を含む英空母「クイーン・エリザベス」打撃群、米強襲揚陸艦「アメリカ」と共に、沖縄南方海上において共同訓練を行った。公開された映像では、CH-47JA「チヌーク」輸送ヘリコプターやAH-64D「アパッチ」戦闘ヘリコプター、そして米軍の輸送機「オスプレイ」が、クロス・デッキと呼称する他艦への発着訓練を行った。この意義は大きい。 英国が東アジア回帰を加速 ...

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アフガニスタンに残る日本人や大使館現地スタッフら約500人を救出するためカブールに向かった航空自衛隊の輸送機は、日本人女性一人と部外者のアフガン人十数人を救出しただけに終わった。これに対し、同じ23日に出発した韓国軍の輸送機は390人を乗せてソウルに帰還した。救出作戦の明暗を分けた背景に、日韓の「外交官格差」がありそうだ。 韓国は4人残り、任務達成 韓国の報道によれば、韓国大使館員はカ...

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アフガニスタンに邦人等(日本政府に協力した現地人スタッフや家族を含む)の救出に向かった4機の自衛隊機は、現時点で1名の邦人と十数人のアフガン人しか救出できていない。31日には米軍が撤収する。テロの危険性が高まる中、これ以上の救出は無理だろう。日本とほぼ同時期の24日に現地入りした韓国空軍機は、韓国に対する協力者をも含め約390名を27日までに仁川空港へと運び出している。輸送日数と時差を考慮すれば2...

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 中国は2020年10月から中央銀行デジタル通貨(CBDC)のデジタル人民元(e-CNY)の大規模な実証実験を行っており、2022年2月の北京冬季オリンピックで試験的発行を目指している。 中国がデジタル人民元の開発と早期導入を図る背景には、直接的なきっかけと言われるリーマン・ショックによるドル安に伴う損失及び米政権による金融制裁に対する対応策として、米国ドル依存を軽減するために人民元の国際化...

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 韓国MBCテレビは2021年8月10日放送の番組「PD手帳“不当取引-国情院と日本極右”」(以下「手帳」)において、国家基本問題研究所の櫻井よしこ理事長、企画委員の西岡力氏が、韓国国家情報院(国情院)が反北運動のために渡した情報により日本社会で力を得、安倍晋三前政権を支えたなどと報じた。 国基研はただちに事実無根であり名誉毀損だと表明し、謝罪と訂正の放送を求めた。「手帳」の狙いは、文在寅政...

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 バイデン大統領の頭にあるのは「大政治家たる自分が大向こうを唸らせる演説を行う」光景だけなのかも知れない。 米軍がアフガニスタン撤退を急ぐ中、タリバン支配の恐怖から国外脱出を急ぐ人々が首都カブールの空港に殺到し、いまなお大混乱が続いている。バイデン氏としては完全撤退させた状態で、同時多発テロ20周年に当たる9月11日の演説に臨み、10月から執行が始まるバイデン政権として最初の予算に「アフガン...

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 8月22日投開票の横浜市長選は、立憲民主党が推薦する元横浜市立大学教授山中竹春氏が、菅義偉首相側近の小此木八郎前国家公安委員長を破って当選した。新型コロナウイルスの感染拡大が小此木氏には「逆風」となり、山中氏にとっては「追い風」となった。この流れが衆院選に引き継がれ、与党は大苦戦するとの予測が出ている。 これまで自民党は多少議席を減らしても、野党の支持率は低いので政権交代は起きないだろうと...

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 「我々はアフガンに1兆ドル以上を使って彼らが必要とする全ての道具を提供したが、未来のために戦うという意志まで提供することはできなかった。アフガン軍が自ら戦おうとしない戦争で米軍が戦うこともできず、戦ってもいけない」。バイデン米大統領が8月16日にホワイトハウスで演説した内容だ。 島田洋一福井県立大教授は「アフガン政府軍が戦わずしてタリバンに降伏したという言い方は正確ではない。この5年間に約...

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 果たしてバイデン米政権は、12月にリモート開催する「民主主義サミット」に、台湾やベトナムの参加を呼び掛けるだろうか。中国が核心的利益だという台湾は、「活気に満ちた民主主義」であるし、共産党支配とはいえベトナムは、対中抑止の地政学的な利益を共有している国だ。もしも中国に配慮して彼らの参加を見送れば、「権威主義に対抗するサミット」の存在意義が問われるだろう。 台越も参加できる枠組み ここ...

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 米軍撤退に伴いアフガニスタン政府軍は崩壊しタリバンに乗っ取られた。バイデン大統領は「アフガン人自身が戦う意思なき戦争で米軍は戦って死ぬべきでない」と述べた。 日本も2002年と2012年に東京でアフガン支援国会合を開催し、68億ドル以上の援助を実施した。筆者も情報本部長時代にアフガンを管轄する米中央軍司令部(フロリダ州タンパ)を訪問し、日本政府が行っている武装解除・動員解除・社会復帰(DD...

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 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は今月10日の記者会見で、東京など緊急事態宣言が発令されている6都府県について、2週間限定で東京の人出を半減するなど感染抑制策の強化を求める提言を発表した。爆発的な感染拡大を抑えないと「救える命が救えなくなる」(尾身氏)との危機感からというが、いまになって「これまで関わっていない医療機関にも協力要請」を提言に入れるなど、発症が国内で確認されて以...

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 8日の英紙デイリーエクスプレスは、英空母「クイーン・エリザベス」を追尾していた中国の商級原子力潜水艦2隻が同空母打撃群によって探知されたと報じた。同紙は、英海軍関係者の話として「中国の潜水艦能力は急速に成長していて過小評価できないが、米英が冷戦時代に経験した戦闘経験がない」と紹介している。確かに中国には1979年の中越戦争があるが、陸戦であり海戦の実戦経験はない。 隠密性が命の潜水艦 ...

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 8月10日韓国のMBCテレビが国家基本問題研究所の名誉を毀損する事実無根のひどい内容を調査報道番組として放映した。 それに対して国基研は11日に抗議声明を公表しているが、同じ11日に、韓国保守派リーダーの趙甲済氏が主宰するネットメディア「趙甲済ドットコム」(조갑제닷컴)もMBC報道について「不当取引を立証する客観的な証拠は提示されず、事実上「伝聞話」だけに終わった」と厳しく批判する会員コラ...

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 7月末に新疆ウイグル自治区の砂漠地帯に中国が新たに110基の核ミサイル用地下発射施設を建設しているとの報道があった。その一カ月前には甘粛省玉門で核ミサイル用地下発射施設約120基が建設されているとの報道があったばかりである。そして8月12日には米空軍大学の専門家が、内モンゴル自治区のオルドス地方で大陸間弾道ミサイル(ICBM)用と見られる地下施設が29カ所建設されていると発表した。こうした凄まじ...

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 選手村に反日垂れ幕を掲げたり、福島産食材を放射能に汚染されているとして自前の食事提供を行ったり、東京オリンピックにおける韓国選手団の行動や韓国マスコミの報道に対し、多くの日本人が嫌韓感情を強めている。そのような中、韓国の良識的保守リーダーである趙甲済氏が主宰するネットメディア「趙甲済ドットコム」(조갑제닷컴)に、韓国の反日的態度を批判する会員コラムが掲載された。それを全訳して紹介する。 過...

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 ロシアのミシュスチン首相が7月26日、日本政府の中止要請を無視して北方領土の択捉島に入り、実効支配を誇示した。東京五輪の開催中に日本人の神経を逆なでする行動である。ミシュスチン氏はさらに、北方四島に外資を誘致するため、関税や各種税金の減免措置を導入する方針を打ち出した。日本政府はこの手の揺さぶりに動じることなく、毅然として関係者への制裁発動といった手を打つべきである。 「特区」構想は露の日...

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 長崎市の端島炭坑(通称・軍艦島)を含む世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は7月22日、戦時徴用された朝鮮人労働者に関する「産業遺産情報センター」の説明が不十分だとして「強い遺憾」を盛り込んだ決議を採択した。 決議に付されたユネスコとイコモス(国際記念物遺産会議)の合同調査報告書は、日本政府が遺産の全体像を紹介するため東京都新宿区...

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