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2012.03.27 (火) 印刷する

政治家が国家ビジョンをまず示せ 会員 児玉朗

 TPP参加問題にしても原子力の電力利用の是非にしても、そこに横たわっている真の問題は、共に我が国の10年後、50年後の姿を政治家が国民に提示していないため、政官財のそれぞれの立場の人が、今までの既得権益の延長線上で各々論じていることに由る。
 日本の失業率,非正規雇用者数および年金受給者数などの数値が右肩上がりの現状をみれば、従前と同じ発想では国を維持できないことは誰がみても明白であり、その破綻を回避し、安全・安心で信頼できる国づくりへの舵取りを行うのは政治家の責務である。
 まず大所高所から日本のあるべき姿を政治家が述べることが必須である。そして、その下位の政策レベルにあるTPP参加や原子力政策,はたまた増税論の必要性を説くのが筋で、国政を担う今の政治家には具体的な国家ビジョンが完全に欠落している。
国基研の提言を全否定するものではないが、政治家の国家構想なくして末節論から入っていくのは甚だ危険と感じる。つまり「幹」があれば「末節」が間違っても「幹」まで戻れるが、「幹」がなければ全て拡散分裂するだけである。
 民主党政権は国家観を待たない,あるいは間違った国家観を持った政権であるので、様々な政策を施しても進捗が悪いか、国を貶める方向へ逆利用されるだけと危惧する。まともな政治家による体制を確立してからTPP参加を行うようにしたらどうかと進言したい。