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2019.02.13 (水) 印刷する

【韓国情勢】「亡国の危機」訴える前首相 西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学客員教授)

 韓国の保守野党「自由韓国党」の新しい指導者として黄教安・前首相が浮上している。黄氏は1月15日に同党に入党し、2月27日に予定されている党代表選に1月29日に出馬表明した。
 黄氏は、北朝鮮スパイなどを取り締まる公安検事出身で、朴槿恵政権時代に法相として従北極左政党「統合進歩党」の解散を担当し、その後首相になり、朴槿恵大統領が国会の弾劾訴追で職務停止となった後、大統領権限代行として政局を管理した。反共自由民主主義者で行政経験もあるので一部で次期保守の大統領候補として期待する声があったが、これまで政治家としての活動歴はない。
 黄氏は自由韓国党入党後、文在寅政権を暴政、亡国の道、「80年代に主体思想に心酔した人々が大統領府と政府、国会を掌握」などと激しく批判し、保守層からの支持を集めている。黄氏は、1月29日、リアルメーターが公表した次期大統領候補とされる政治家の支持率調査で17.1%を集め1位に浮上した。2位は、現首相の李洛淵氏で15.3%だった。
 黄氏が党代表選挙出馬を公表したときに出した宣言文では、文在寅政権により韓国は亡国の危機にあり、「今年中に亡国政策を必ず廃棄させる。政権が政策転換を拒否して最後まで亡国の道に固執するならば、躊躇なく国民と共に街頭に出る。私のすべてを賭けて、闘争の先鋒に立つ」と力強く語っている。その全文を翻訳紹介する。

過去の記事はこちら


黄教安氏の党代表選出馬宣言文

 
尊敬する国民の皆様、
愛する自由韓国党の党員同志の皆さん!
私、黄教安は大韓民国の新しい明日を宣言するために、国民の皆様の前に立ちました。
私は今日、自由韓国党の新しい出発を宣言するために、党員同志たちの前に立ちました。
危機の大韓民国を成功と飛躍の新しい道に導きます。
苦難の自由韓国党を勝利と光栄の大きい道に導きます。
ため息と涙にくれる私たちの国民を抱きしめて、幸福と繁栄の新しい世に向けて一緒に進みます。
私、黄教安は自由韓国党の党代表選出馬を、国民の皆様と党員同志皆さんの前に決然と宣言します!

国民の皆様、
過ぎた日、大韓民国は「若さ」と「躍動」の国でした。
地球上で最も貧しかったその時代にも、私たちの夢とビジョンは誰より大きく高かったです。
無謀であっても挑戦をためらわなかった、倒れても歩みを遅らせなかったです。
皆が不可能だという時、前だけを見て走り、ついにやり遂げました。
産業化時代にはどんなことでも嫌がらず働いたし、民主化の長い道のりには命をかけて進み出ました。
貧しければ貧しいほど分け合って耐え忍んだし、肩を並べて苦難の歳月に立ち向かいました。
川の水のように曲がりくねる時代精神を共有して、共同体を育て、国を発展させてきました。
貧しい古物商の家の息子の黄教安が今、この場に立っていることが、まさに大韓民国の偉大な歴史を象徴しています。

ところが、今この国は一体どうなりましたか?
挑戦は止まり、夢は消えました。
始めることさえ出来ない前に諦めなければならず、一度倒れれば再び立ち上がることもできない、そのような国になりました。
民生は崩壊し、世知辛い現実の中で共同体精神は失われました。
奇跡の歴史は消されて、挫折の記録が上を覆っています。
建国以後初めて、両親世代より子供世代が貧しいという絶望的未来が私たちを脅えさせています。
このすべての苦痛と不安の根元に文在寅政権の暴政があります。
墓に入っていなければならない80年代の過激な学生運動のイデオロギーが21世紀の大韓民国の国政を左右しています。
時代遅れの左派経済学の実験である所得主導成長戦略がこの政権のドグマになりました。
自営業者と小規模商工人が一番最初に倒れました。
中小企業は廃業したり、海外へ脱出したりしています。
青年は仕事を探すことができず、家長は職場から追い出されています。
失業者100万、自営業者の廃業100万、所得格差と貧富格差はむしろ大きくなり、IMF危機の時よりもっとひどいという嘆きが街を埋めています。
この政権と手を握った強硬派の貴族労組が労働改革を遮って、青年たちの働き口を奪って、下請け中小企業勤労者たちの所得を奪取して、本当に保護されなければならない庶民の人生は奈落に落ちました。
国家競争力の墜落を心配する国民の声には耳をふさいで、理念によって脱原子力発電所政策を強行しています。
一言でいって総体的難局です。
世界で最も若くて躍動的だった大韓民国が「古くて無気力な国」へと崩れていっていることが、今私たちが体験している危機の本質です。
私は過去へと退行している危機の大韓民国を必ず生き返らせます!
この政権の経済暴政を防いで、国民の皆様と共に新しい飛躍と繁栄の未来へ力強く進みます!

尊敬する国民の皆様!
一方では韓半島平和の時計の針が逆に回っているのではないのかと、多くの国民が大変心配しています。
昨年、南北首脳が3回も会いましたし、米朝首脳会談も開かれましたが、今でも北の核の廃棄は足踏み状態です。
2回目の米朝首脳会談に期待をかけながらも、北の核の廃棄ではない凍結、駐韓米軍大幅縮小など、私たちの生存を無視した合意が成立してしまうならばどうすべきか、多くの国民が気をもんでいます。
金正恩を賛美し北朝鮮を称賛する勢力が堂々とソウルの光化門広場を占領して、80年代に主体思想に心酔した人々が大統領府と政府、国会を掌握しています。
果たしてこの政権が追求する統一と、国民大多数が考える統一が同じものなのか、心配する国民が増加しています。
どのようなことになっても、北朝鮮の核兵器を頭に載せたままでは平和な韓半島へと進むことはできません。
北朝鮮の独裁と人権弾圧を棚上げにして、真の韓半島の新しい時代を開くことはできません。
私は国民の命と安全を守る道でただの一歩も、決して、退きません!
卑屈で不安な平和でなく、堂々とした持続可能な平和へと国民の皆様と共に進みます!

愛する自由韓国党党員同志の皆さん!
私たち自由韓国党は大韓民国の産業化と民主化を導いてきた誇らしい自由右派政党です。
わが党がしっかり立ってこそ、今のこの国とわが国民の危機をも克服することが出来ます。
革新し、統合し、未来に進まなければなりません。
総選挙で勝利して、政権を取り返さなければなりません。
私たち自由韓国党は、勝利する政党にならなければなりません。
自由韓国党を政策政党、未来政党へと革新します。
政策と公約を党の最も強力な闘争動力にすえます。
私が党代表になるならば、最高の専門家たちを集めて、私の国政経験をすべて注いで、「2020経済大転換プロジェクト」を推進します。
強力な院内外の闘争を共に展開して、今年中に所得主導成長、脱原発をはじめとするこの政権の亡国政策を必ず廃棄させます。
もし、この政権が政策転換を拒否して最後まで亡国の道に固執するならば、躊躇なく国民と共に街頭に出ます!
決然と、そして苛烈に、私のすべてを賭けて、私、黄教安が闘争の先鋒に立ちます!

党員同志の皆さん!
私たちが政権を取りもどして国を正しく立て直すためには、何よりも来年の総選挙で必ず勝利しなければなりません。
私が党代表になるならば、単純な勝利を越えて、自由韓国党を圧倒的第1党にしてみせます。
そのための今何より至急かつ切実な課題は、自由右派の大統合を成し遂げて党の外縁を拡大してより一層強い自由韓国党を作り上げることです。
柱が高くてしっかりしていてはじめて「大きなテント」も作ることができます。
品格ある闘争で国民の信頼という柱を高くします。
世の人材が安心してわが党に入ってきて、思う存分夢と力量を広げることができるようにします。
私がまず先に低姿勢となりすべての特権を放棄して、皆が力を合わせて共に未来へ進む自由韓国党の大統合を、必ず成し遂げます!
党の役職人事から不偏不党の原則を明確に確立します。
大統領選挙候補をはじめとする党の中心人物が政策決定に参加することができるように仮称「大統合政策協議会」を作ります。
党の門戸を開放して人材プールも積極的に拡大します。
確固たる原則が外縁拡大の障害になるという批判は正しくありません。
むしろ、しっかりと地に足をつけていてこそ良い人材を引き寄せることができます。
自由民主主義と市場経済という憲法価値に同意するならば、幅広く受け入れて共に進む、大きな政党を作ります!

国民の皆様、そして党員同志の皆さん!
街頭で、職場で、市場で、私の手を握った多くの国民の方々が、このままではだめだと、こんなやりかたでは生きていけないと涙で訴えました。
塗炭の国民を救い、危機の国を守るには、私が自由韓国党党代表になって、同志の皆さんと共に戦うほかはないと決心しました。
国が豊かになり国民に余裕が生まれてこそ、分け合うものも増えていきます。
公正で配慮があふれる国、包容と統合が発展のエネルギーになる新しい大韓民国に向かって、皆さんと共に一歩一歩、歩いていきます。
失敗が挫折でなく再挑戦の機会につながり、汗と努力の結果による人生の逆転が可能な社会、女性の今日が変わり、青年の未来が変わる、希望の大韓民国を作ります。

党員同志の皆さん、国民の皆様、
初恋を覚えていらっしゃいますか?
自由韓国党と共に新しくスタートする私の心は初恋と同じような情熱でいっぱいです。
この情熱で自由韓国党を力強く導いて行きます。
どんな困難がきても決してあきらめず、最後まで党員同志の皆さんと共に党を守ります。
この国を救い国民を生かすためであれば、自分のただ一つの命も惜しみなく捧げます。
国だけを考え、国民だけを見つめ、自由韓国党と大韓民国の新しい政治を開いていきます。
熱く声援し、心からの励ましをください。
ありがとうございます。