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役員論文

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2012年6月の記事一覧

楽観論が通用しない北方領土 問題の核心は4島の帰属にある  櫻井よしこ   野田佳彦首相は20ヵ国・地域首脳会議(G20)で訪れたメキシコのロスカボスでプーチン・ロシア大統領と会談した。プーチン氏の直面する課題は将来にわたるロシア経済の基盤強化である。そのために日本の経済協力が欠かせない。 日本の最大の課題は北方4島の返還である。今日まで続く島の不法占拠を、1993年10月の日...

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福島で世論に迎合する民主党  櫻井よしこ   週末、福島県郡山市で、小中学生の子供をもつお父さんやお母さん方約180人と「放射能」について語り合う会に行ってきた。主催はNPO法人ハッピーロードネット(HRN)である。会場の県農業総合センターは東京ドーム12個分の広々とした敷地にあった。高い天井にも、床にも、県産欅(けやき)の木材をふんだんに用い、壁の殆どがガラス面の建物は周囲の田畑や山々の瑞...

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消費税上げから日本は再出発だ  杏林大学名誉教授・田久保忠衛   ひところ日本の論壇では米国「衰退」論が盛んだった。結局、「相対的な衰退」に落ち着いたようだが、国力で米国を追い上げている中国、それにロシアも国内に相当の問題を抱えているらしい。それよりも、民主党が政権をとってからこの方、日本は「沈没」するのではないかとの感じを共有する人々は少なくないだろう。断じて許せないことだが、政...

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  憲法で対立さらすおそまつ与党  駒沢大学名誉教授・西修   国会が延長されたのに伴い、衆参両院で開かれている憲法審査会も続行されそうだ。各憲法審査会は実質審議に入っているが、全体を通じてインパクトのないこと甚だしい。最大の理由は、政権与党たる民主党に十分な意識と準備が欠如していることに起因する。  ≪要点欠落の民主『憲法提言』≫  同党が依拠する文書は、平成17年に取りまと...

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「死に至る病」中国の構造的腐敗  比較文化史家、東京大学名誉教授・平川祐弘   天安門事件の後、私は北京で教えながら同時に学生となって中国語を勉強した。妻のクラスでは留学生の投票で妻が年長者ゆえか優秀学生に選ばれた。すると先生方は隣のクラスで私が落選しては面子(めんつ)にかかわる、当人はその同じ大学で日本語を教える外国人教授でもある、と心配したらしい。  ≪天安門事件後の北京で教える≫...

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異質の価値観で生き残ろうとするロシア、中国との闘いは先鋭化  櫻井よしこ   プーチン・ロシア大統領の内外にわたる強気政策は将来展望が見えない。 同大統領は5月18日にキャンプデービッドで行われた主要国首脳会議(G8)を欠席した。組閣で忙しいとの理由だったが、真の理由は米国主導で配備が進むミサイル防衛網(MD)への反発だとみられている。 MDについて、5月22日に北大西洋条約...

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日印で微妙に異なる対米対露観  櫻井よしこ   6月3日と4日、シンクタンク「国家基本問題研究所」(国基研)とインドの「ビベカナンダ国際財団」の間で交わされた日印協力の討論では、「アジアの協調」(Asian Concert)の重要性が強調された。他方、アジア協調の大きな枠組みについて、日印間の微妙な認識の相違も明らかになった。端的に言えば、米国とロシアの位置づけである。対中抑止の大戦略...

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寬仁さまが語られた『天皇と皇室典範』論  櫻井よしこ   三笠宮寬仁(みかさのみや・ともひと)親王殿下が6日、薨去(こうきょ)された。気概ある方だったと思う。 2006年に私は『皇室と日本人』という本を、寬仁さまと共著の形で出版させていただいたが、同書はその前年の殿下との対談を反映させたものだ。対談の焦点は、当時、小泉純一郎内閣の下で有識者会議が女系天皇容認を既定方針として...

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日印協力を妨げる日本の憲法体制  櫻井よしこ   6月3日から丸2日間、シンクタンク「国家基本問題研究所」(国基研)とインドの「ビベカナンダ国際財団」(VIF)による「日本とインド、いま結ばれる民主主義国家―アジア太平洋の安全と安定のために」と題した共同研究で討議を行った。2日目の公開セミナーは有料だったが、椅子が追加されるほど盛況だった。 日印協力への関心の高さは、中国への対策...

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 中国の目は既に太平洋の彼方に 中国軍事専門家・平松茂雄     北大西洋条約機構(NATO)側の呼称で「バックファイアC」といえば、ロシアの長距離爆撃機Tu-22M3のことである。その生産ラインの中国への売却が、長期にわたる商談を経て、15億ドルの価格で決まったようだ。同爆撃機は、中国では「轟-10」(H-10)と呼ばれる。2年前の5月、米議会の政策諮問機関、「米中経済安保調査委員...

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中国のスパイ活動は巧みで包括的 急務の法整備と危機意識の覚醒  櫻井よしこ   諜報活動をしていた疑いのある在日中国大使館の一等書記官(45歳)に警視庁公安部が出頭を要請したが、同氏はすでに出国していたことが報じられた。「朝日新聞」は5月30日の朝刊で一等書記官を「李春光」と特定した。 出頭要請の表向きの理由は外国人登録証の不正使用である。李書記官は身分を偽って2008年に葛飾区役...

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消費税増税の「食い逃げ」許すな  評論家・屋山太郎   民主党の野田佳彦首相は、「政治生命をかけた」という「税と社会保障の一体改革」を推し進めるため、与野党協議の支障となる5閣僚を代える改造を断行した。首相はこれで、自民党との協調路線へ突っ走り、会期を延長しても今国会中に「一体改革」法案を成立させたい意向のようだ。  ≪小沢氏との会談で踏ん切り≫  輿石東党幹事長を交えた、野田首相と...

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いまは見かけなくなった日本の厳しい父親の愛の表現  櫻井よしこ   畏友、春山満氏と二人の若者による『若者よ、だまされるな!』(週刊住宅新聞社)から、日本人を変える強い力が生まれる気がする。 春山氏は58歳、ハンディネットワークインターナショナルのオーナー経営者だ。24歳で進行性筋ジストロフィーを発症、首から下の運動機能を失ったが、氏は決して後ろを振り向かない。失ったものを嘆かない...

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