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国家基本問題研究所

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月例研究会「CO2 15%削減・・・」動画配信

平成21年7月7日(火)議員会館にて、「CO2 15%削減は国益にかなうのか」と題して
月例研究会をおこないました。
皆様ご覧下さい。

ウイグル事件に関しての緊急アピール・新聞に掲載

平成21年7月21日(火)に発表した
「国連調査団を派遣せよ=ウイグル事件で沈黙は不可解―国基研が緊急アピール=」
について、産経新聞(7月23日付)に記事が掲載されました。

 

 

ウイグル事件を受けて、緊急アピール

国家基本問題研究所は平成21年7月21日、多数の死者が出たウイグル事件を受けて、以下の緊急アピールを発表しました。

 

国連調査団を派遣せよ
=ウイグル事件で沈黙は不可解―国基研が緊急アピール=

 

 新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)ウルムチ市で7月5日午後7時(日本時間午後8時)頃、事件が発生した。
ウイグル人学生らは、反政府活動ではないことを示すために中国の国旗を振りながら集まり、6月26日に広東省韶関の玩具工場で発生した事件についての説明を政府に求めた。玩具工場ではウイグル人約600人が8000人を超える漢人と働いていた。そこに、「工場では恒常的に漢人の女性がウイグル人に集団で犯されている」との事実無根の情報がインターネットなどを通じて広がり、激昂した漢人労働者が鉄棒などで武装して少数派のウイグル人労働者を襲撃した。
 犠牲者について中国当局は2名と発表したが、海外ウイグル人らは60~100人と主張する。
一方、被害を受けたウイグル人の多くが公安当局に隔離され、外部との連絡は、事件からひと月近く経った7月20日現在、遮断されたままだという。そもそも彼らがウイグル自治区から遠く離れた広東省で働いている背景には、中国政府によるウイグル人の若者らへの「強制」があるともいわれる。
 ウルムチに集った学生や若者らは武装警察により解散を命じられたが応じず、短時間にウイグル人、漢人、武装警官と公安が入り乱れて相互の襲撃へと激化した。多数の死傷者を出した惨劇について、玩具工場での事件同様、中国当局とウイグル人の主張は大きく隔たる。
 中国当局は、死者は197名、漢人の犠牲者が約70%の多数を占めると発表。対して、亡命ウイグル人で構成する世界ウイグル会議のラビア・カーディル議長は、ワシントンでの記者会見で「ウイグル人死者は少なくとも1000人、最大で3000人に及ぶ」と抗議した。
 主張の相違は犠牲者の数にとどまらない。中国外務省は同事件を当初から「国家分裂を目的とする暴力事件」と位置づけ、7月7日には、「世界ウイグル会議やラビアを代表とする国外の分裂勢力が参加し、煽動・企画した事件」と断定、九日には「これらの者(事件首謀者)は、アル・カーイダのようなテロ組織の訓練を受けていた」と発表した。
 カーディル議長は、「私は抗議活動を組織していない。人々にデモも要請していない」と全否定し、アル・カーイダ系のイスラム過激派が中国への「報復宣言」をしたとの情報に関して明確に語った。
「国際テロ活動家が、ウイグル人の正しい願いや東トルキスタンでの事態を利用し、中国外交団や民間人をテロ攻撃してはならない」。
 氏の主張はあくまでも平和路線である。
 他方、イタリアサミット出席を中止して帰国した胡錦濤国家主席は、直ちに社会の安定確保を至上命題とする対策を打ち出した。その柱は、事件の首謀者らには厳罰を、煽動された者には教育を、被害者には補償を、の3方針である。「首謀者」と「一般」のウイグル人を分け、穏健派を含むウイグル人組織に「テロリスト」「アル・カーイダ」のレッテルを貼る内容である。
 一般のウイグル人に徹底される教育は、ウイグル語も彼らの宗教のイスラム教の学習も、禁止或いは制限する中国共産党絶対化教育だ。これが問題の正しい解決だとは到底、思えない。
 こうした状況下、当局発表でも約200人もの死者を出した虐殺に、国際社会は沈黙を続ける。自由、民主主義、人道の価値観に照らし合わせれば、沈黙は不可解、不当である。ウイグル人に関する事件で、何が起きたのか、国連調査団を派遣し、客観的な調査を実施することを強く要請する。

CO2 15%削減は国益にかなうのか(赤祖父アラスカ大学名誉教授)詳報

 国家基本問題研究所は平成21年7月7日、衆院第二議員会館で赤祖父俊一アラスカ大学名誉教授を講師に招き、「CO2 15%削減は国益にかなうのか」と題する月例研究会を開きました。研究会には、若林正俊元環境相(自民)、川端達夫民主党副代表ら国会議員11人、議員秘書23人、会員19人など計61人が出席しました。講演の主な内容は以下の通りです。

 

 オバマ政権は自動車を第一産業から外した。ビッグスリー(米三大自動車メーカー)の一つGMを救済したのは(自動車産業を守るためというより)早く電気自動車を造らせるためだ。オバマ大統領は自動車に代えて、原子力発電を国の第一産業にしようとしている。その理由は、将来の電気エネルギーを確保しなければならないのと、やがてなくなることが分かっている石油への依存から脱却し、石油輸入の大赤字を減らすためだ。オバマ大統領がエネルギー長官に原子力発電の専門家を据えたことを想起してほしい。
 1980年代に英国のサッチャー首相は、原子力発電の導入に国民から大反対を受けた時、CO2を放置すると大災害が起きるという世界初のコンピューター・シミュレーションの結果がたまたま発表されたのを利用して、反原子力派の国民を説得しようとした。サッチャー首相の後ろ盾がなければ、(地球温暖化の主な原因をCO2と主張するノーベル平和賞受賞団体)IPCCは生まれなかったと思う。
 オバマは「温暖化」でなく「気候変動」という言葉を使っているが、サッチャーと同じことをしようとしている。オバマは原子力を「クリーン(大気汚染を起こさない)エネルギー」「ノンカーボン(CO2を出さない)エネルギー」と売り込んでいる。原子力発電を推進するだけでは国民の反対を受けるので、原子力発電で生活水準を保つか、生活水準を下げる(電気自動車を走らせることができなくなる)かの選択を迫るのではないかと思う。
 米政府も議会も、CO2削減は中国が参加しなければ無意味だと考えている。米中印の3カ国で世界の温暖化貢献度の75%を占めている。ところが、米国は中国からの借金(米国債の大量購入)を抱え、中国を米国の工場としているため、中国にCO2を「減らせ」と強く言えないのではないか。
 欧州連合(EU)は狡猾だ。うまく立ち回って、何もしないで済むようにしている。
 日本の温暖化貢献度は世界のわずか4%で、仮に(麻生政権の方針のように)15%削減しても、温暖化貢献度は1%弱の減少にしかならない。ほとんど無意味な1%弱の削減のために、日本は何兆円も出すことを強いられようとしている。
 政治家に訴えたいのは、不当な要求から日本を守ることが「正義」ということだ。
 地球温暖化の原因がCO2であるとは、本格的な証明はされていない。IPCCの予測に反して、21世紀になって、CO2は増えているのに温暖化は止まった。気温の上昇はCO2の増加に先行しており、その逆ではないという研究結果もある。温暖化の科学的研究は始まったばかりで、国際的な政策に持っていく段階には達していない。
 少なくとも日本の首相は「温暖化は止まっている。原因を調べよう」と発言すべきだ。12月にコペンハーゲンで、温暖化対策の次期枠組み(ポスト京都議定書)を話し合う国際会議が開かれる予定だが、合意に達しない会議は何回やっても意味がない。上述の理由と合わせて、開催をいったんやめることを日本は提案したらどうか。さもないと日本は、意味のない何兆円というカネを出すことになる。(了)

訪米報告会詳報

  国基研は平成21年6月24日、東京・九段会館で訪米報告会「中国の台頭と日米同盟の将来」を催しました。報告会には、会員と一般合わせて約500人が参加しました。4月にワシントンに派遣された訪米団の報告者は、櫻井よしこ理事長、田久保忠衛副理事長、冨山泰主任研究員、島田洋一企画委員(評議員)でした。質疑応答では、国基研の役員や会員から積極的な意見表明や質問がありました。約2時間にわたった報告会の詳報は以下の通りです。

 

 櫻井 訪米前に日本で危機感を覚えていたが、実際はずっと深刻だと痛感しました。エンジンの壊れた船のように漂流する日本を尻目に、アメリカも中国も大きく変化しています。米中関係が緊密になる一方で、中国はロシアと結び付いて、アメリカへの対立軸をつくり、多極化を進めています。オバマ政権の核廃絶論は、注意しないと中ロに利用されます。理想論に流され、国際社会の現実を見失うと、日本の安全は脅かされます。日本の国益をどう守るのかを考えなければいけません。
 田久保 訪米での関心事は、①オバマ政権はどこへ行くか②台頭する中国に日米はどう対処するか③アメリカ一極時代はどうなるか―の三つだった。
 オバマ大統領はあまりにも多くの問題を抱えている。最大の関心は経済問題で、金融危機の処理。外交問題では、イスラエル・パレスチナ紛争、イラク、アフガニスタン、パキスタン、朝鮮半島など難問山積だ。
 オバマは選挙戦中に、中国は敵でも味方でもないと言った。これは重大な発言だ。日米安保条約は朝鮮半島と台湾海峡の重大事態を想定している。中国が敵でなくなると、日米同盟は性格が変わるか、不要になる。
 米中関係にはさまざまな要素がある。経済では米中が歯車のようにかみ合っている。中国はアメリカとの貿易でもうけ、アメリカの国債を買っている。中国の経済が大きくなると、米中関係は日米関係より深まる。台湾も日本も中国にのみ込まれる。これはいかんともし難い。
 軍事面では、バロメーターは軍事費で、1989年以降、2桁の上昇が続いている。アメリカのシンクタンクの人間は皆、中国を警戒している。3月にはアメリカの海洋調査船に対する中国の妨害事件が起き、海南島では大海軍基地が建設され、空母の建造計画も中国で進んでいる。中国は核、海洋、宇宙の3戦略を休むことなく続けている。さらに、中国は軍事力を背景に外交圧力をかけてくる。この点を考えると米中関係は険しい。
 人権、民主主義、自由の問題でも米中の違いは大きい。上院議員時代のクリントン国務長官やペロシ下院議長は、人権には非常に神経質だった。しかし、クリントンは国務長官になって、中国に遠慮し始めた気配がある。
 問題は日本だ。アメリカは、日本は同盟国であり日本を重視すると言う。しかし、アメリカと中国の関係は、同盟でないから悪いかというとそうではない。経済では日米関係よりむしろ密接だ。軍事では日米同盟があるので、中国とは相対立する。人権問題では少しぼやける。こういう複雑な関係が米中関係だ。
 結論を言うとこうなる。同盟は、共通の敵がいるから成立する。1902年にできた日英同盟はロシアを共通の敵とした。日米の共通の敵だった中国が、アメリカの敵でなくなりつつあるとすれば、日本はどうしたらよいのか。亡くなった小渕恵三元首相は、同じ選挙区で福田赳夫氏と中曽根康弘氏の両巨人に挟まれた自分を「ビルの谷間のラーメン屋」と自嘲気味に呼んだが、日本も米中2国の間にあって、政治的に半身不随状態にある。日本が静かに凋落していかないように、国基研は立ち上がる。
 冨山 アメリカは中国の軍事力について、短期的には台湾攻撃能力の増強と米軍作戦妨害能力の向上を警戒し、中長期的には地球的規模の軍事的挑戦を警戒している。
 台湾攻撃能力では、短距離弾道ミサイルの増強が著しい。7年前に350発だったのが、今では1000発以上と3倍になった。中国に宥和的な政権が台湾に成立しても、増強が続いている。新型の地対空ミサイルも配備されて、台湾は制空権を失った。
 作戦妨害能力は米軍の「弱み」を突くものだ。弱みの一つは、アメリカ本土から遠く離れたところで戦わないといけないことだ。いきおい、空母への依存度が大きくなる。中国は、対空母戦力の強化に力を入れてきた。潜水艦や巡航ミサイルの配備に加え、弾道ミサイルを空母に直接ぶつけることも計画している。
 アメリカにとって戦場が遠いので、最前線の在日米軍基地が重要となる。ところが、北朝鮮のノドンやテポドンより怖い核搭載可能な中距離弾道ミサイル「東風21」が日本の基地を狙っている。4年前に約20発だったのが、今や60~80発になった。地上基地を狙う巡航ミサイルも、過去1年間に100発増えた。
 アメリカのもう一つの弱みは、ハイテク依存、宇宙依存の体質だ。中国は2007年に衛星攻撃実験に成功して、戦時における敵の偵察・通信衛星の破壊能力を示した。中国軍にコンピューターウイルス開発部隊ができたという話もある。戦時には、軍だけでなく民間のコンピューターも破壊される。
 中長期的には、アメリカ本土に届く戦略核ミサイルの改良が続いていることが懸念材料だ。中国のミサイルの複数弾頭化と、米ロ軍縮交渉によるアメリカの核弾頭の削減で、米中の弾頭数がそれほど違わなくなる時代がくるかもしれない。中国海軍は空母の建造で、西太平洋以外にも戦力を送れるようになる。インド洋では沿岸国のあちこちに港湾施設を建設している。さらに、宇宙規模でもアメリカに挑戦しそうだ。人工衛星や宇宙船は容易に軍事転用できるし、有人月面着陸に成功すれば、月面基地建設につながる。
 こうしたことを踏まえて、ワシントンで会った専門家リチャード・フィッシャーは「2015年までに米軍は西太平洋に近づけなくなる。2020年代になると、近づけない地域は広がる。中国の野望は今世紀半ばまでに世界の軍事大国になることだ」と言っていた。また「中国の戦略的野望は月や月の先まで広がる。いったん月に軍事的足場を築くと、月と地球の間の宇宙空間を支配し、地上の軍事的、政治的決定を左右する立場に立つ」と警戒していた。
 中国の軍事力増強の意図は少なくとも専守防衛ではない。日本を含む隣国との海底資源争い、領有権争いを軍事力で解決する意図や、シーレーンを軍事力で守る意図があるかもしれない。しかし、意図は一日で変わり得る。重要なのは意図より能力だと面会したコーエン元国防長官は言っていた。
 中国の強大化で、アメリカは台湾をめぐっても、朝鮮半島をめぐっても、中国と戦争をしたくない気持ちを強めている。この傾向は今後ますます強まる。20~30年後に大変なことになりかねない。最悪のケースを想定して、日本の対応を準備する必要がある。
 島田 北朝鮮問題の解決を妨げているのは中国という認識をアメリカの保守派も持っている。6月12日採択された国連安保理決議でも、中国は骨抜きに全力を挙げた。
 例えば北朝鮮への金融支援を停止するという項目があるが、中国のごり押しで、人道・開発目的の資金は停止対象から除かれた。北朝鮮は開発の名目で資金を借りて核爆弾を造っているのだから、開発目的の資金提供を認めたのは日米外交の失敗だ。
 また、大量破壊兵器開発に「資する可能性のある」資産等の移転を禁止するという項目があるが、「資する可能性のある」をどれだけ狭くまたは広く解釈するかで全く違ってくる。中国は恐らく最も狭く解釈してくるだろう。
 もし中国が北朝鮮との貿易やエネルギー供給を絞り、脱北者を北朝鮮に強制送還せず韓国に送り出すなら、金正日体制はすぐにでも崩壊する。中国にどう圧力をかけて姿勢を変えさせるかが、アメリカにおけるわたしの意見交換の主なテーマだった。
 アメリカの保守系の専門家の間で、「中国に対して日米側が示せる最も効果的なムチは日本の軍備増強だ」という意見が予想以上に多く聞かれた。「核兵器開発を含めてやってくれ」と言う人も、何人もいた。
 5 月末のアメリカのFOXニュースで、有名な評論家のチャールズ・クラウトハマーは、北朝鮮の核問題解決のため日本にぜひ核武装すると言ってもらいたい、と日本の核武装待望論に近い言い方をしていた。
 もっとも、ワシントンで会った新進気鋭の専門家ダン・ブルメンソールは「日本には核抑止力保持を含めて軍備拡大に乗り出す政治的意思はない、と中国は見切ってリラックスしている」と付け加えた。残念だが、それが実態だ。
 しかし、日本が敵基地攻撃力を持つとか、北京も射程に収めた巡航ミサイルを持つと言えば、状況はかなり変わってくる。
 国基研訪米団とは別の機会に会ったマイケル・シーファー国防副次官補は「日本が敵基地攻撃力を整備するのは、日米同盟の枠内でやる限り大歓迎だ」と言っていた。核武装については、シーファーはノーコメントだったが。
 核兵器は実際に使うより抑止を含む心理戦の一環(として保有するもの)だから、核武装をめぐる議論も心理戦の一環として必要だ。韓国の保守派の間にも、中国に圧力をかけるには韓国は核武装しなければという意見が出てきているようだ。日韓で、心理戦の一環として核武装論を競い合えばよい。
 一方、中国は北朝鮮に関する過去の安保理決議を守っていないわけだから、日本が国連重視外交を維持するには、そうした国への政府開発援助(ODA)を停止することが重要ではないか。同様なことを保守系シンクタンクの研究者もアメリカ政府に要求している。
 北朝鮮への締め付けで過去最も効果があった金融制裁を再開することが重要だ。金融制裁は、中国系の銀行をターゲットにしたから効いた。
金正日には、こちらから仕掛けて再び脳卒中を起こさせるという発想が大事だ。昨年8月に脳卒中を起こしたのは、予定されていたテロ支援国指定解除が延期されて、金正日が切れたためではないかと想像される。従って、金正日の脳にもう一度衝撃を与える意味でも、金融制裁の発動は重要だ。

 

 潮匡人(企画委員、フロアより) (軍事力を考える際に)意図でなく能力をベースにしなければいけないのに、防衛省の背広組の中にそれを理解していない人がいるというエピソードを本で読んだことがある。わが国の防衛政策の現状はさまざまな問題を抱えているのかな、という気がする。
 能力の面で言うと、中国は第4世代の戦闘機の機数で台湾や日本を上回っている。これは深刻な事態であり、アメリカの新型戦闘機F22を日本が導入する以外に解決策はないと考える。この点についてアメリカでどういう議論があったか。
 櫻井 (オバマ政権によるF22の生産中止方針については)賛否評論ありました。台湾への武器売却については、中国の顔色を見ながら決定を下す傾向が出ています。F22について、議会諮問機関の超党派委員会のバーソロミュー委員長は、国防長官が生産中止を決めても最終的なものではないと言っていましたが、実際に下院では日本にF22を売るべきだという議論が出ています。
 田久保 米中が対立している間は日米関係を堅固にしていればよい。しかし、米中経済関係が歯車のようにかみ合って、アメリカが中国といざこざを起こしたくないと考えれば、日本など中間にいる国は犠牲になる。F22の問題がその走りでなければいいのだが。
 北朝鮮の二回目の核実験の後でも、中国は北朝鮮の肩を持っている。これでアメリカの対中警戒感が高まったとホッとしている。
 アメリカには、中国に気を遣わないといけないという声と、依然として一党独裁の国家に妥協する必要はないという声がある。どちらの声が優勢になるか研究していきたい。

 

 遠藤浩一(企画委員、フロアより) 1996年の日米安保再定義では「東アジアの不安定要因」という表現で中国と北朝鮮に日米同盟で対応することが再確認された。それから13年たち、アメリカは中国と戦争する気がないと思わざるを得ない展開になった。日本はアメリカに守ってもらえば何とかなると思ってきたが、日米同盟を改めて再定義する必要が出てきたのではないか。
 田久保 再定義をしなければならないのに、政府与党にも野党にもその考えはない。欧州では地域統合で主権国家や国益の考え方が希薄になりつつあるが、アジアでは主権国家のバランス・オブ・パワーが厳然として残っている。日本の政治家はそれが分からず、アジアと欧州を同じとみている。このギャップは深刻だ。
 櫻井 F22の関連で言うと、仮にアメリカが対日輸出を決めても、日本は本来の能力より劣った機種を本来の価格の2倍かそれ以上で買わされることになります。自国の安全保障を他国に依存する国は、往々にしてこのような目に遭うのです。

 

 西岡力(企画委員、フロアより) 金正日政権の寿命はほぼ尽きている。政権の処理に関し、ワシントンから見て、日韓は頼りになる同盟国だったという形で収められるのか、東アジアの問題はやはり中国と談合しないと解決できなかったということになるのか(が重要な点だ)。金正日政権は中国の影響力が朝鮮半島全体に伸びる形で処理されるのか、中国の影響力を排する形で処理されるのか、の岐路にわれわれは立っている。
 田久保 日本の選択は、①日米同盟を強化する②大アジア主義で中国になびく③自主防衛で行く―の三つのうち、日米同盟しかあり得ない。安全保障を一人前にして、自己完結的な国軍に持っていくには、憲法改正しかない。日本に手を出したら怖いと(敵対国に)思われないと、日本は危ない。
 櫻井 憲法改正や集団的自衛権の問題で、政治家や世論に働き掛け、遠くない将来にそれを実現できる国にしたいと思います。

 

 塚本三郎(理事、フロアより) 日米同盟が続くかどうかで、問題は日本側にある。集団的自衛権(行使)の否定は、日米同盟の実質的な否定だ。また、非核3原則のうち「(核兵器を)持ち込ませず」も、日米同盟の実質的な否定ではないか。
 中国は北朝鮮に対する各国の制裁を尻目に、北朝鮮の資源を奪っている。6カ国協議は泥棒に鍵を渡すようなものだ。
 北朝鮮による拉致は人権問題である以上に国家主権の侵害だ。主権の侵害に黙っていてはいけない。拉致被害者を実力で取り戻すことはできないか。日米同盟の下で、日本が自分のことは自分で守るという体制をつくれば、アメリカもアジアのことは日本に、と思うようになるのではないか。
 島田 6カ国協議は猿芝居だ。はっきり打ち切って水面下の力勝負に集中するのがよい。

 

 小田村四郎(会員、フロアより) アメリカは台湾のために中国と戦いたくないという指摘が事実なら重大だ。台湾が中国に併合された時の影響を、アメリカはどう考えているのか。台湾の馬英九政権の対中接近を、アメリカはどう考えているか。
 冨山 アメリカが中国と戦いたくないというのは本音だが、中国が一方的に台湾に攻めてくるならアメリカも戦わざるを得ない。ただ、本音では戦いたくないから、陳水扁前政権に対しては、中国を刺激しかねないと批判的だった。馬政権の対中政策については、ホッとしているという印象を受けている。
 櫻井 アメリカには、中国が台湾を押さえた時の影響まで踏み込んで考える余裕がないという印象でした。
 田久保 アメリカの台湾政策の基本は現状維持であり、大陸から暴力沙汰になったら断固守ると思う。

 

 井尻千男(評議員長、フロアより) 政治家は国家主権でなく地方主権を言い始めている。一国二制度を外国勢力が工作しているに違いない。道州制を導入して地方主権を与え、一国二制度になれば、沖縄に中国の空母が停泊する。沖縄や九州が地方主権を得る日を、中国は待っている。この危機感を共有してほしい。

 

 会員(フロアより) 日本はどうすれば核アレルギーをなくし、核論議が可能になるか。
 島田 1980年代にレーガン米大統領は、ソ連が中距離核を配備するなら米欧側も配備し、ソ連がやめるならこちらもやめるという二重戦略を取った。北朝鮮の核問題で、日本はこれに倣ったらどうか。レーガンはこの戦略で中距離核の撤去に成功したのだから、その事例を説明しながら、核保有を議論していけばよい。また、一般市民を殺さず、地中の軍事施設だけを破壊する核兵器が開発されていることも議論の材料になる。
(了)

訪米報告会「中国の台頭と日米同盟・・・」動画配信

平成21年6月24日(水)に九段会館にて「中国の台頭と日米同盟の将来」と題して、シンポジウムを行いました。
皆様ご覧下さい。

ウイグル問題について意見交換

平成21年7月10日、世界ウイグル会議日本代表イリハム・マハムティ氏から
ウイグル情勢について話を聞きました。

 

 


前列中央がイリハム氏

 

 イリハム・マハムティ氏が国基研企画委員会で語ったウイグル事件の真相は次の通り。

 

 きっかけは、7月5日夜、新疆ウイグル自治区ウルムチの人民広場に1300人の学生が中国の国旗を振りながら集まり、6月26日に広東省の玩具工場で起きたウイグル人殺害事件の真相を明らかにするよう政府に求めたことだった。
 警察はデモの解散を求めたが、学生側は拒否。すると警察特殊部隊は牛を倒す時に使う電流棒を使用し、デモ隊に負傷者が出た。次いで警察は空へ向けて発砲し、デモ隊2人が倒れた。狙撃されたのか、流れ弾が当たったのかは分からない。
 デモ隊の学生は、路上にいた漢族を殴り始めた。すると警察は学生に向けて発砲を始め、150人以上が倒れた。
 事件の情報がウイグル族社会に広まり、広場には2000~3000人が集まった。すると政府は新たに武装警察を出動させた。武装警察は人々に解散を要求したものの、拒否されると、空に向け再び発砲した。それでも解散しないと、警察車両が人々に突っ込み、17人が死亡した。その後、軍も出動し、武装警察5000人を含め、合計2万人の治安部隊が展開した。
 当局発表の死者156人のうち60%は遺体の損傷がひどく、ウイグル族と漢族の区別がつかない。
 翌6日朝から国営テレビがニュース映像を繰り返し流すと、漢族がウイグル族への暴行を始めた。
 新疆医科大学では、ウイグル人女子学生4人が首を切りつけられて殺され、遺体は木につるされた。軍や警察は漢族の暴行現場へ出動せず、暴行はやりたい放題だった。
 50歳以下のウイグル族6000~8000人が当局に連行された。7日にはウイグル族のモスク(イスラム教礼拝所)が漢族に放火された。ウイグル族と漢族の警官の間で、銃撃戦もあった。
 現地からの情報では、死者は840人に上る。

 

日本ウイグル協会はこちらから

7月7日「CO2 15%削減は国益にかなうのか」開催

平成21年7月7日議員会館にて、赤祖父俊一アラスカ大学名誉教授をお招きして
「CO2 15%削減は国益にかなうのか」と題して、月例研究会をおこないました。
詳報は後日掲載いたします。

 

赤祖父教授当日配布資料

 


講義される赤祖父教授

 


会場風景


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