ようこそ!ゲスト 様  | 会員登録しますとコラム/動画等のコンテンツが閲覧できます.詳しくは、» 入会案内

国家基本問題研究所

ブログ

政府は、米国務省が北朝鮮の欺瞞的核申告を認めないよう強く警告せよ 「完全な核申告」がなされる前のテロ国家指定解除は日米同盟への裏切りだ

国家基本問題研究所・提言

平成20(2008)年5月

緊急提言
■北朝鮮が米国に伝達したとされる核計画申告に、プルトニウム爆弾製造工場の場所がふくまれていないことが判明した。にもかかわらず米国務省はそれを「完全な」核計画申告と認めてテロ国家指定解除に動こうとしている。わが国政府は、このような欺瞞に徹底的に反対し、安易な妥協は、米国が北朝鮮の核武装と拉致を容認することになり、日米同盟を根本から揺さぶると強く警告すべきだ。

基本的視点
■米国務省は、濃縮ウラン、核拡散(対シリア等)について、北の実質的なゼロ回答を容認している。
■さらには、プルトニウムに関しても、「抽出量」という一点に問題を矮小化している。それは、5月2日、クリストファー・ヒル国務次官補が、北朝鮮から核爆弾製造工場の場所について情報を得ていないことを認めたことでより明瞭となった。
■内外の宥和勢力は、核問題で着実な進展があるのに、拉致にこだわる日本人が足を引っ張っている、との構図を描こうとしている。
■しかし、いまの局面で問題なのは、「完全な」核申告がないのに、米政府が、テロ指定解除など見返り提供に踏み切ろうとしていることだ。
■高村外相は7日、「核製造工場の場所が出てこない限り完全な核申告ではない」と答弁した。
■わが国政府は、無原則な妥協に走らないよう米政府に強く釘を刺すとともに、仮に曖昧な申告内容で米朝が合意し、六者協議の場で承認を求められた場合、単独でも署名を拒否せねばならない。

 2008年5月2日、ワシントン訪問中の拉致議連・家族会・救う会訪米団(当研究所の松原仁理事、島田洋一企画委員も参加)が、六者協議米側代表クリストファー・ヒル国務次官補と面談した。
 席上、松原議員が、「核計画の完全申告というが、きわめて重要な核爆弾製造工場の場所について、情報を得ているのか」と質問し、最終的にヒル氏から、「いや、得ていない。それは問題点の一つだ」(“No. That’s a problem.”)との回答を得た。
 これは非常に重要なポイントである。
 六者合意「共同声明の実施のための第二段階の措置」(2007年10月3日)は、北朝鮮に「すべての核計画の完全かつ正確な申告」を義務づけている。申告には、大きく分けて、プルトニウム、濃縮ウラン、核拡散の三側面がある。
 いま米国務省は、濃縮ウラン、核拡散(対シリア等)について、北の実質的なゼロ回答を容認し、さらには、プルトニウムに関しても、「抽出量」という一点に問題を矮小化しつつ、テロ支援国指定の解除に進もうとしている。
 が、例えばプルトニウム爆弾製造工場の場所、核爆弾の数・形状・保存場所などは、当然、「完全な申告」に含まれねばならず、申告が「正確」か否かの検証には、現場への立ち入り調査、サンプル採取などが不可欠だ。
 わが国内外の宥和勢力は、核問題で着実な進展があるのに(そして、それは日本の国益にも適うのに)、拉致にこだわる日本人が足を引っ張っている、との構図を描こうとしている。
 しかし、いまの局面で問題なのは、「完全な」核申告がないのに、米政府が、テロ指定解除など見返り提供に踏み切ろうとしていることだ。そもそも、核申告の対象に「すべての核施設」が含まれることは、国務省自体が10月3日の6者合意の際に発表したファクトシートで、明記していた。
 拉致問題が解除の条件になる、ならない以前の問題なのである。
 松原議員は帰国後、衆議院外務委員会(5月7日)において、「ヒル氏は北の核爆弾工場の場所をつかんでいないと認めた。そのことを政府は米側から聞いていたか」と質している。
 これに対し高村正彦外相が「聞いていたかどうかと言われると、聞いていない。ただし、最終的にそういうものが出てこない限り、私としては完全な核申告ではないと思っている」との趣旨を答弁した。
 当然の認識といえよう。
 日本政府は、無原則な妥協に走らないよう米政府に強く釘を刺すとともに、仮に曖昧な申告内容で米朝が合意し、六者協議の場で承認を求められた場合、単独でも署名を拒否せねばならない。
 核爆弾工場の具体的場所等が書き込まれていなければ、一目瞭然、検証作業に入るまでもなく、申告書の「不完全」は明らかであり、決断に時間がかかる話ではない。
 北朝鮮の中距離核ミサイルによって、最も脅威を受けるのは日本である。核問題に関するわが国政治家の見識が問われる局面といえよう。

広告御礼とお詫び

産経新聞の平成20年5月6日の9頁(大阪版は朝刊の7頁)に、胡錦濤中国国家主席来日に際して、福田総理大臣に対する要望を意見広告の形で掲載しました。あわせて入会案内も記載したところ、約3500通の、ファックス、メール、葉書が殺到し、反響の大きさに驚きました。御礼申し上げます。
さっそくお返事しなければならないところ、事務作業に時間がかかり対応が遅れた場合もありますので、お詫びいたします。また、ファックスをいただいた方々のうち、氏名の記載のない方や住所のない方が相当ありました。電話番号などの記載のある方についてはこちらから御連絡しました。ファックスをいただいた方で、うつりが悪くどうしても読めなくて対応できない方、ファックスを送ったが何の連絡もないとのお叱りがあり、お名前だけの記載があり、いくら調べてもその方からファックスをいただいた記録がない方があります。どうにもお返事できませんので、この記事を御覧になってお気づきの方は当事務所に御連絡いただければさいわいです。

ホームページ一新

当研究所のホームページを一新しました。引き続き御愛読いただければさいわいです。

ウイグル人亡命政府「東トルキスタン共和国」首相RACHMAT DAMIAN氏との会談

img_080516

5月2日、ウイグル人の亡命政府「東トルキスタン共和国」の首相であるラチマット・ダミアン(RACHMAT DAMIAN)氏が本研究所を訪問し、櫻井理事長、高池事務局長、西岡評議委員と懇談した。ダミアン氏が語った新彊ウイグル地区の現状は以下の通り。

スターリンと毛沢東の取引により、1955年東トルキスタン(ウイグル)は中華人民共和国に併合され新疆ウイグル自治区とされた。なお、西トルキスタンとは中央アジア諸国の5ヶ国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、 ウズベキスタン)であり、ウイグル人はこれらと同じトルコ系民族。

中国共産党は60年代に鉄道を開き、人民解放軍と漢人を大挙流入させた。東トルキスタンには石油、天然ガス、ウラン、希少金属資源が豊富で、関連施設での職を求めて大量の漢人が流入しており、その上屯田兵的軍事組織である新彊ウイグル生産建設兵団が600万も展開している。現在の人口は亡命政権の統計でウイグル人1500万に対し漢人2000万、漢人が多数派になっている。

資源関連施設で職を得られるのは漢人に限られており、大多数のウイグル人は貧困に苦しんでいる。その中でウイグル人の15歳から22歳の結婚適齢期の女性の都市への移住・就労が始まっている。2006年からの5年間で、40万人が天津、青島、上海などの大都市に移され、低賃金で働かされる。中国語のまったくできない娘たちが売春街に売られるケースもあるという。

中国共産党はウイグル人の文化抹殺を進めている。貧しいウイグル人の子供たちを親元から離し、無償で北京や上海に国内留学させる。高校生レベルで始まった同制度は、2000年代に入り、小・中生に拡大された。親たちは子供に教育を受けさせられると喜んで送り出すが、子供らはウイグル語とイスラム教、ウイグル文化をすっかり忘れ、すっかり漢人化して戻ってくる。

ウイグル語は現代化に役立たないとされ、小学校から大学まですべての教育が中国語でなされ、ウイグルの大学新彊大学と新彊師範大学でも2002年からウイグル語が禁止された。ウイグル人の精神的な核といえるイスラム教信仰も弾圧されている。18歳未満に布教することは非合法とされ、その上、大学生、公務員、共産党員は宗教が禁じられ、モスクに集うのは農民と老人のみだ。モスクの宗教指導者イマームも共産党の認可制とされ、そのためには無神論とマルクス・レーニン主義、毛沢東主義などを学ばなければならず、「イスラムの教えは国の指導者に従うこと。現在、中国の指導者は共産党だから、共産党の指導に従うのがイスラムの道」と教えるイマームがでてきている。

ウイグル人は中国共産党の支配に対して継続して抵抗してきた。しかし、むき出しの暴力で鎮圧され続け、国際社会からも完全に無視され、孤児のような状況だ。世界は中国共産党にだまされウイグルの現実を見ない。ウイグル人は中国の支配を脱し、独立国を持ちたいと考えていることを世界に示すため、2004年東トルキスタン亡命政府を作った。政教分離の自由民主主義を政体とする憲法も作成している。ぜひ、櫻井理事長をはじめ国家基本問題研究所のみなさんがウイグルの現実に関心を持ってくださることを望みたい。

内閣総理大臣福田康夫様

媚びへつらいは、外交ではありません。国益を主張するのが、外交です。

中国の胡錦濤主席との首脳会談では、この事を肝に銘じていただきたく、提言します。
日本と中国との間には、当面は毒入り餃子、東シナ海のガス田開発、チベット弾圧と北京五輪、さらに基本的には尖閣諸島の領有権、異常な軍拡、環境汚染、史実歪曲の反日教育等、幾多の問題が存在します。
にもかかわらず、日中首脳会談で、「相手のいやがることはしない」というのが首相の基本的姿勢であるとすれば、それは国益に反する一方的譲歩であり、日本国民への背信です。
北京五輪の聖火リレーへの、諸国での大反発と抗議行動は、チベット政策に象徴的に見られる中国共産党の価値観に、世界が異を唱えていることを浮き彫りにしました。中国によるチベット弾圧の不当性は、思想・良心、信教、表現、集会・結社の自由等、基本的人権が保障されているわが国であればこそ、切実に理解できます。チベット問題は新疆ウイグル問題であり、台湾問題であり、日本も無関心でいられるわけがありません。
自由、基本的人権、法の支配、民主主義。わが国と国際社会が依って立つこれらの価値観を踏みにじる中国共産党に、いま、毅然として物を言うことが、日本と国際社会に貢献する首相の責任です。
私たち、国家基本問題研究所は、隣国中国との外交が、わが国の国益の根幹に関わる重要事であることを踏まえ、日中首脳会談に関して、以下提言します。

① 首相は、中国政府がチベット弾圧をやめない限り、「政治的催物」化されかねない北京五輪開会式出席を見合わせるべきです
② 北京五輪でわが国の皇族が政治的に利用されてはなりません
③ 尖閣諸島と東シナ海問題の譲歩は許されません
④ 国民の食の安全に直結する毒餃子事件にケジメをつけるべきです
⑤ 台湾問題で中国の新たな要求を断固拒否すべきです
⑥ 環境問題を安易に取引材料とすることは許されません

国家基本問題研究所
理事長  櫻井よしこ
副理事長 田久保忠衛