【意見広告】 内閣総理大臣福田康夫様
国家基本問題研究所
媚びへつらいは、外交ではありません。国益を主張するのが、外交です。
中国の胡錦濤主席との首脳会談では、この事を肝に銘じていただきたく、提言します。
日本と中国との間には、当面は毒入り餃子、東シナ海のガス田開発、チベット弾圧と北京五輪、さらに基本的には尖閣諸島の領有権、異常な軍拡、環境汚染、史実歪曲の反日教育等、幾多の問題が存在します。
にもかかわらず、日中首脳会談で、「相手のいやがることはしない」というのが首相の基本的姿勢であるとすれば、それは国益に反する一方的譲歩であり、日本国民への背信です。
北京五輪の聖火リレーへの、諸国での大反発と抗議行動は、チベット政策に象徴的に見られる中国共産党の価値観に、世界が異を唱えていることを浮き彫りにしました。中国によるチベット弾圧の不当性は、思想・良心、信教、表現、集会・結社の自由等、基本的人権が保障されているわが国であればこそ、切実に理解できます。チベット問題は新疆ウイグル問題であり、台湾問題であり、日本も無関心でいられるわけがありません。
自由、基本的人権、法の支配、民主主義。わが国と国際社会が依って立つこれらの価値観を踏みにじる中国共産党に、いま、毅然として物を言うことが、日本と国際社会に貢献する首相の責任です。
私たち、国家基本問題研究所は、隣国中国との外交が、わが国の国益の根幹に関わる重要事であることを踏まえ、日中首脳会談に関して、以下提言します。
1.首相は、中国政府がチベット弾圧をやめない限り、「政治的催物」化されかねない北京五輪開会式出席を見合わせるべきです
2.北京五輪でわが国の皇族が政治的に利用されてはなりません
3.尖閣諸島と東シナ海問題の譲歩は許されません
4.国民の食の安全に直結する毒餃子事件にケジメをつけるべきです
5.台湾問題で中国の新たな要求を断固拒否すべきです
6.環境問題を安易に取引材料とすることは許されません
国家基本問題研究所
理事長 櫻井よしこ
副理事長 田久保忠衛
5月6日(火) 産経新聞、フジサンケイビジネスアイ FujiSankei Business-i に掲載
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