【第1283回】韓国大統領が国益重視の実利外交
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 李在明韓国大統領が8月下旬の訪日・訪米で、国益重視の実利外交の真骨頂を見せた。 6月に尹錫悦大統領弾劾成立による繰り上げ選挙で当選した李大統領に、米政府は当初冷淡だった。トランプ政権は韓国の極右勢力の伝える「韓国で中国が介入する大規模な不正選挙が行われていて、尹氏はそれを暴こうとして弾劾された」とする陰謀論の影響を受けて...
【第1282回】中露の軍事協力が海中に拡大
国基研研究員 中川真紀 中国、ロシア両海軍は8月1日から5日にかけてロシア極東のウラジオストク軍港周辺で共同演習「海上聯合-2025」を実施、その後6~20日に水上艦艇グループが西太平洋で、潜水艦グループが日本海及び東シナ海でそれぞれ共同パトロールを行った。中露潜水艦の共同パトロールが報道されたのは初めてである。 ●初の潜水艦共同パトロール 防衛省統合幕僚監部の...
【第1281回】中国の軍事パレードをボイコットせよ
国基研研究員 中川真紀 9月3日、中国の天安門広場では「中国人民抗日戦争及び世界反ファシズム戦争勝利80周年」記念閲兵式(軍事パレード)が開催される。 この軍事パレードには各国や国際機関の要人が招待されている。10年前の70周年軍事パレードには、ロシアのプーチン大統領、韓国の朴槿恵大統領、国連の潘基文事務総長等が出席、欧米諸国も外相や在中国外交官等を派遣した。 中国...
【第1280回】EUより稚拙だった日本の対米関税交渉
国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗 日米関税交渉は7月23日に合意に達したとされ、米国の新たな関税が8月7日から実施されている。しかし、日米間で一時、理解が違っていたことが判明した。それは、貿易相手国によって差別されない従来の関税率が、貿易条件を相互に対等にするためとしてトランプ政権が一方的に導入した相互関税率(15%)以上の場合に、①従来の関税率のみが適用されるのか...
【第1279回】北朝鮮がロシアの戦争に戦闘部隊7万増派
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 北朝鮮が7月から戦闘部隊7万人をロシアのウクライナ侵略戦争に追加派兵しているという情報を北朝鮮内部につながる信頼できる筋から入手した。増派された戦闘部隊はウクライナ領内でロシア軍が展開しているウクライナ軍との戦闘に参加している。同じ時期、北朝鮮の工兵部隊7万人、民間労働者6万人も追加派遣されたという。 ●ウクライナ領...
【第1278回】ウクライナ和平の秘策は対中高関税だ
国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男 トランプ米大統領によるウクライナ和平工作は難航を極めているが、前進させるための秘策がある。高関税を手段に、中国の対ロシア支援をやめさせることだ。 ●中国がロシアの戦争を下支え ロシアが西側の経済制裁にもかかわらずウクライナでの消耗戦を続けられるのは、中国が貿易と金融の両面でロシアへの大規模な支援を続けているからだ。 ...
【第1277回】いつまで核の議論から逃げるのか
国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文 核廃絶は人類の究極の目標であり、理想である。しかし、どれほど核廃絶を唱え続けても、核弾頭が増加しているのが現実の世界である。使用可能な核弾頭は2018年以降増加に転じ、現在、世界全体で9615発となった。中国はこの7年間で360発増加させ600発、北朝鮮は35発増やし50発を保有している。米国防総省は「中華人民共和国の軍事・安全保障動...
【第1276回】戦後80年の「石破見解」に反対する
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 慰安婦問題に関する「河野談話」と同じようなことが繰り返されるのか。石破茂首相が戦後80年に際して発表しようとしている「石破見解」のことである。平成5(1993)年、慰安婦募集の強制性を認めた河野洋平官房長官(当時)の「河野談話」は宮沢喜一内閣の末期に出され、閣議決定はなかった。石破政権も末期状態にあり「石破見解」も閣議決定をする予...
【第1275回】日米関税合意の疑念を払しょくせよ
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 難航していた日米の関税交渉が急転直下、合意に達した。トランプ米大統領は「史上最大の歴史的合意」と国内向けに成果をアピールしている。 ●内容的には合格点 内容的には、日本にとっても大きな成果と言っていいだろう。 8月1日から課されるとされていた25%の相互関税は15%にとどめた。これは対米貿易黒字国の中で最も低い水準だ。...
【第1274回】関税交渉:ディールかルールか
国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗 日米関税交渉は7月23日、合意に達した。最も関心を集めたのは、日本の主要産業である自動車とりわけ乗用車の対米輸出関税である。15%で合意されたが、4月3日から一方的に25%もの追加関税をかけられていたので、歓迎する向きもあるが、本来、日米貿易協定では、乗用車の関税率は2.5%であり、一挙に6倍の水準に引き上げられたことになる。 ...