【第1276回】戦後80年の「石破見解」に反対する
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 慰安婦問題に関する「河野談話」と同じようなことが繰り返されるのか。石破茂首相が戦後80年に際して発表しようとしている「石破見解」のことである。平成5(1993)年、慰安婦募集の強制性を認めた河野洋平官房長官(当時)の「河野談話」は宮沢喜一内閣の末期に出され、閣議決定はなかった。石破政権も末期状態にあり「石破見解」も閣議決定をする予...
【第1275回】日米関税合意の疑念を払しょくせよ
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 難航していた日米の関税交渉が急転直下、合意に達した。トランプ米大統領は「史上最大の歴史的合意」と国内向けに成果をアピールしている。 ●内容的には合格点 内容的には、日本にとっても大きな成果と言っていいだろう。 8月1日から課されるとされていた25%の相互関税は15%にとどめた。これは対米貿易黒字国の中で最も低い水準だ。...
【第1274回】関税交渉:ディールかルールか
国基研企画委員・元内閣官房参与 本田悦朗 日米関税交渉は7月23日、合意に達した。最も関心を集めたのは、日本の主要産業である自動車とりわけ乗用車の対米輸出関税である。15%で合意されたが、4月3日から一方的に25%もの追加関税をかけられていたので、歓迎する向きもあるが、本来、日米貿易協定では、乗用車の関税率は2.5%であり、一挙に6倍の水準に引き上げられたことになる。 ...
【第1273回】創生『日本』が自民党の軸となれ
国基研企画委員・麗澤大学特任教授 江崎道朗 石破自民党は昨年の衆院選、今年の都議会選、そして今回の参院選と3回続いて敗北した。 一方、2012年12月の衆院選以来、アベノミクスと積極的平和主義を掲げた安倍自民党(第2次政権)は連戦連勝し、現役世代を含む幅広い世代からの支持を獲得した。 自民党の支持率が低迷しているのは安倍路線を見失ったからではないか。そう考えた派閥横断...
【第1272回】中国の政変はあるのか
国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文 中国の習近平国家主席が、新興国グループのBRICSサミット(7月6~7日、リオデジャネイロ)を欠席したことから、いろいろな憶測を呼んでいる。習主席が中国主導の組織とも言えるBRICSサミットを欠席したのは初めてであり、一部では、習主席に深刻な健康問題が起きているとか、党内権力闘争が激化して北京を離れられない状況であるといった報道がなさ...
【第1271回】「媚中派」が自民党No.2である嘆かわしさ
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 これを「媚中」と言わずして何と言おうか。日本産牛肉の対中輸出再開に向けた自民党の森山裕幹事長の対応である。日中友好議員連盟会長を務める森山氏は、来日した中国の何立峰副首相と7月11日に大阪市内で会談した。何副首相が中国国内手続きの完了を伝えたのを受け、日本政府は日本産牛肉の対中輸出再開に必要となる「日中動物衛生検疫協定」が発効した...
【第1270回】憲法改正で国難を乗り切れ
国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文 日本は今まさに国難を迎えている。中国の台湾侵攻準備が着々と進み、台湾・日本有事の危険度が高まる中、米国のトランプ政権は「法の支配」よりも「損得」を優先している。戦後80年の世界秩序維持が崩壊し始めた今、重要なのは、日本の政治指導者がリーダーシップを発揮して、日本をあるべき方向に導くことである。 ●防衛努力の本質は国を守る意志 ...
【第1269回】トランプ砲浴びるのは石破首相の責任―関税交渉
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 7月9日の関税交渉の期限が迫る中、トランプ米大統領が日本に対して不満をあらわにし、30~35%への税率引き上げを示唆して、日本に衝撃が走った。矛先が向けられたのは自動車とコメというお決まりのパターンだ。日本はコメが不足しているのに、米国からコメを受け取ろうとしない、と非難した。日本に圧力をかけて 譲歩を引き出したいのだろう。 ...
【第1268回】原爆正当化発言に米国の自省を求める
国基研理事長 櫻井よしこ トランプ米大統領がオランダのハーグで語ったことを、日本国は聞き流すわけにいかない。氏は以下のように語っている。 「米軍によるイラン核施設の攻撃が(イランとイスラエルの)戦争を終結させた。広島と長崎の例を持ち出したくはないが、本質的には同じことだ。米軍の攻撃が戦争を終わらせたのだ」 普段、控え目で礼儀を重んずる日本人は国際社会への発信も控え目...
【第1267回】首相は参院選で防衛費増額を語れ
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 北大西洋条約機構(NATO)とインド太平洋地域のパートナー国との協力深化に向けて、日本が主導的役割を果たしていくのではなかったのか。石破茂首相はオランダ・ハーグで6月24~25日に開催されたNATO首脳会議に招待されていたにもかかわらず、直前で参加を見送った。 NATO諸国の間では従来ドイツに代表されるように中国の巨大市場を重...