【第1210回】防衛費GDP比3%を検討せよ
国基研企画委員・麗澤大学客員教授 江崎道朗 英紙フィナンシャル・タイムズ電子版は12月20日、トランプ次期米大統領が、ウクライナへの軍事支援を続ける一方で、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の国防費の割合を国内総生産(GDP)の5%に引き上げるよう要求したと報じた。ロシアの脅威に直面する欧州諸国は、ウクライナ軍事支援で米国に頼るだけでなく、もっと多くの負担をすべきだというこ...
【第1209回】エネ基本計画原案への一定の評価と不満
国基研理事・東京科学大学 特任教授 奈良林 直 12月17日、「第7次エネルギー基本計画」の原案が政府によって公表された。これに先立ち、国基研エネルギー問題研究会は9月9日付で「再エネ(再生可能エネルギー)の主力電源化はやめて、原子力の最大限活用に舵を切れ」と題する政策提言をまとめ、自民党の「脱炭素社会実現と国力維持・向上のための 最新型原子力リプレース推進議員連盟」総会で...
【第1208回】戦後80年、中国との歴史戦に備えよ
国基研企画委員・静岡大学教授 大野旭(楊海英) 中国の「抗日戦争勝利80周年」に当たる2025年は、日本と中国の「歴史戦」の年となる可能性が高い。歴史学界やメディアをはじめ日本国民は、中国の歴史修正主義に真っ向から立ち向かう必要がある。 ●映画「731」で反日宣伝強化へ 歴史戦の兆しが見えたのは、映画「731」の宣伝活動が始まったことだ。この映画は、2025年7...
【第1207回】中国が実戦に即した台湾有事軍事演習
国基研研究員 中川真紀 中国はこのほど、台湾周辺と西太平洋で大規模な軍事演習を実施したもようだ。今のところ中国の公式発表はないが、12月6日に中国の海警船が特異な航行を開始し、9~11日には中国が台湾対岸を含む7か所に飛行制限区域を設定したことから、軍事演習を準備も含め6~11日に行ったと見られる。台湾は中国軍と海警の活動活発化に警戒態勢を強化した。 ●海軍・海警の...
【第1206回】尹政権〝自爆〟で経済安保も流動化
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 韓国の尹錫悦大統領による衝撃的な戒厳令布告とその失敗は、日本にも大きな衝撃を与えた。韓国国会の弾劾決議は不成立となったが、尹大統領の統治は事実上終ろうとしている。早期に大統領選挙が実施されれば、野党「共に民主党」の李在明代表が勝利する可能性が高くなる。そうなると、韓国の外交・安全保障政策に深刻な変化がもたらされる。 ●日韓関係...
【第1205回】無能な大統領が反日政権を誕生させる
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 「韓国の保守派は落ちるところまで落ちなければならない。それで初めて再生できる」。尹錫悦韓国大統領の戒厳発動騒動を受けて、保守派のリーダー趙甲済氏はこう語った。 4月の総選挙で与党が大敗した結果、尹政権は巨大野党が支配する国会に足を引っ張られていた。尹大統領は、自分が国のために尽くしているのに野党に妨害され、その背後には北...
【第1204回】「訪中ビザ免除」は首脳会談の成果なのか
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 中国政府は11月30日、日本に対して中国に入国する際の短期滞在ビザ(査証)の免除措置を再開した。日本政府は「中国が日本との関係改善に向けて前向きな姿勢」と評価し、石破茂首相は29日の所信表明演説で、自身が日中首脳会談で指摘した成果であると誇示している。果たしてそうなのか。 ●日中会談後の説明には言及なし 15日の首脳会談後...
【第1203回】韓国は戦時労働者奴隷史観を克服せよ
落星台経済研究所研究委員 李宇衍 11月24日、世界文化遺産「佐渡島さどの金山」(新潟県)の労働者追悼式が現地で行われた。韓国政府は準備段階で日本側と意見が対立し、追悼式に参加せず、25日に別の追悼行事を催した。韓国内の大半の言論機関は24日の追悼式が「半分の追悼式」になったと報道した。 筆者はこの表現に拒否感を覚える。 佐渡金山の歴史は400年に近く、そのうち朝鮮人が戦時...
【第1202回】ウクライナ戦争で北朝鮮の将軍が死亡
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 ロシア西部のクルスク州で11月20日、同州の一部を占領しているウクライナ軍の攻撃により、将軍1人を含む北朝鮮軍約500人が死亡した。私の情報源が明らかにした。ウクライナ戦争に参戦した北朝鮮の将軍の死亡が確認されたのは初めてだ。攻撃には英国に提供された巡航ミサイル「ストームシャドー」が使われた。この攻撃による北朝鮮軍の死傷者は...
【第1201回】石破外交の本格始動に不安漂う
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 本来、石破茂首相の外交の見せ場となるはずだったアジア太平洋経済協力会議(APEC)と主要20カ国・地域(G20)の両首脳会議への出席。今回の一連の石破外交を以下の三つの視点で総括しよう。 第一は石破首相自身の物議を醸す外交不慣れな振舞いの数々。 第二は短絡的に「トランプの影」と結びつけたがる日本メディアの報道ぶり。 第三に...