【第1252回】確認できたトランプ政権の拉致解決への意志
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 私は北朝鮮による拉致被害者の支援組織「救う会」会長として、4月29日から5月4日まで、家族会および拉致問題に取り組む国会議員らと一緒に訪米した。トランプ米政権が日本人拉致問題解決への強い意志を持っており、米議会の共和、民主両党議員もそれを支持していることを確認できた。 ●米議会にも連帯の動き ルビオ国務長官がトラ...
【第1251回】米英合意の含意は対中戦略の共有にあり
国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男 米国と英国が関税交渉で合意した。トランプ米政権による「相互関税」の基本税率10%を堅持しつつ、鉄鋼・アルミニウム、自動車への25%の追加関税については、乗用車への関税を10%に低減する輸入枠を設け、鉄鋼・アルミニウムは無税とした。 石破茂政権は米英合意について聞かれると、米国に高関税の撤廃をあくまでも求めると言う。だがトランプ...
【第1250回】尖閣防衛の抜本的見直しを
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 沖縄県の尖閣諸島周辺で5月3日、中国海警局の艦載ヘリコプターが短時間ながら日本の領空を侵犯した。中国ヘリによる領空侵犯は初めて。日本の民間機が尖閣周辺を飛行したためヘリを飛ばして警告したと中国側は主張しているが、そうした既成事実を積み重ねる「サラミ戦術」を中国は繰り返してきた。日本政府は「極めて遺憾」と抗議したが、従来型対応では限...
【第1249回】中国軍第2の海外基地始動―カンボジア
国基研研究員 中川真紀 4月5日、カンボジア南西部の同国海軍リアム基地で、中国の支援による基地拡張工事の完了式典及び基地内に設置された中国カンボジア・リアム港共同兵站訓練センターの発足式が挙行された。同センターには中国人民解放軍が常駐することになっており、中国はアフリカのジブチ基地(2017年開設)に続く第2の海外軍事基地を実質的に保有した。 ●軍人が常駐、軍艦も停...
【第1248回】VOJを設立し中朝との認知戦を戦え
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 米政府は冷戦時代から、国家予算を投入してソ連、東欧、中国、北朝鮮など全体主義国家の住民に真実を伝える活動をしてきた。今風にいえば「認知戦」である。その担い手がVOA(ボイス・オブ・アメリカ)、RFE(自由欧州放送)、RFA(自由アジア放送)だった。 所属する記者は政府の広報を一方的に流すのではなく、独自に取材して記事を書...
【第1247回】米はドル安誘導を求めず―日米財務相会談
国基研企画委員・京都大学大学院客員教授 本田悦朗 加藤勝信財務相は24日、ワシントンでベッセント米財務長官と会談し、為替政策を巡って協議した。日本側の発表によると、①為替レートは市場で決まる②過度な変動や無秩序な動きは経済と金融の安定に悪影響がある―との認識を双方で再確認した。また、ベッセント氏はトランプ大統領の意向に沿って為替水準への懸念を表明したが、「為替水準の目標」設...
【第1246回】着実に進む中国軍の台湾侵攻準備
国基研研究員 中川真紀 台湾侵攻を担当する中国軍東部戦区が4月1~2日、海上封鎖及び模擬目標への実弾射撃を主体とする統合演習を実施したと発表した。模擬目標への実射を主体とする演習は「海峡雷霆-2025A」と命名された。4月という訓練年度開始早々の統合演習であり、中国が習近平国家主席の指示通り2027年に台湾へ侵攻できる準備を着実に進めていることがうかがえる。今回の演習で主に...
【第1245回】消費税は非関税障壁ではない
国基研企画委員・京都大学大学院客員教授 本田悦朗 非関税障壁とは、関税以外の方法で輸入品の競争力を制限する慣行や法律上の規制・制度を指す。例えば、厳しい品質・安全基準や複雑な手続きが海外からの輸入を阻害していれば、非関税障壁とされる場合がある。トランプ米大統領によると、各国で一般的に採用されている付加価値税の一種である我が国の消費税は、貿易上、不公正であり、非関税障壁である...
【第1244回】トランプ関税で問われる日本の対中戦略
国基研企画委員・麗澤大学特任教授 江崎道朗 米国のトランプ政権が発動した大規模関税によって国際社会は揺れ動いている。我が国も早速、石破茂首相がトランプ大統領と電話会談を行うとともに、赤沢亮正経済再生相を訪米させ、日米協議を行った。 世界のマスコミの大半が、トランプ関税は世界経済及び米国民にとってマイナスであると厳しく批判している。冷戦終結後、国際社会は旧東側陣営を引き込...
【第1243回】石破首相は対米金融協力を打ち出せ
国基研企画委員・産経新聞特別記者 田村秀男 米国のトランプ政権と中国の習近平政権の高関税の応酬が激しているが、形勢は必ずしも米国有利とは言えない。米国の金融市場に動揺が広がっているからだ。最大の対米投資国、日本の石破茂首相は、さっさとトランプ政権に寄り添い、米国に金融協力する意志を明確に打ち出すべきである。 ●関税戦争、強気の中国 トランプ大統領は高関税砲を敵対...