【第1268回】原爆正当化発言に米国の自省を求める
国基研理事長 櫻井よしこ トランプ米大統領がオランダのハーグで語ったことを、日本国は聞き流すわけにいかない。氏は以下のように語っている。 「米軍によるイラン核施設の攻撃が(イランとイスラエルの)戦争を終結させた。広島と長崎の例を持ち出したくはないが、本質的には同じことだ。米軍の攻撃が戦争を終わらせたのだ」 普段、控え目で礼儀を重んずる日本人は国際社会への発信も控え目...
【第1267回】首相は参院選で防衛費増額を語れ
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 北大西洋条約機構(NATO)とインド太平洋地域のパートナー国との協力深化に向けて、日本が主導的役割を果たしていくのではなかったのか。石破茂首相はオランダ・ハーグで6月24~25日に開催されたNATO首脳会議に招待されていたにもかかわらず、直前で参加を見送った。 NATO諸国の間では従来ドイツに代表されるように中国の巨大市場を重...
【第1266回】時代遅れの戦略文書を年内改定せよ
国基研企画委員・元陸上幕僚長 岩田清文 北大西洋条約機構(NATO)は6月25日の首脳会議で、2035年までに加盟各国の防衛支出を国内総生産(GDP)比5%に引き上げる目標を承認した。これに先立つ5月31日、ピート・ヘグセス米国防長官はアジアの同盟国に対し、防衛費をGDPの5%へ向け引き上げるよう強く求め、中国による台湾侵攻の可能性に備えるため、より強い危機感を持つ必要があ...
【第1265回】対イラン攻撃は「テロとの戦い」
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 イスラエルと米国による対イラン攻撃は、米国のブッシュ(子)政権が始めた「テロとの戦い」の延長線上で見るべきだ。2001年9月のイスラム過激派テロ組織アルカイダによる米国への同時多発テロに対して、ブッシュ政権は犯罪を扱う警察ではなく、敵の攻撃に応戦する軍隊を動員した。警察が対応する場合はテロリストにも一定の人権を認めて様々な配...
【第1264回】テロ支援国の核武装を許してはならない
国基研企画委員・麗澤大学特別教授・元空将 織田邦男 6月22日未明(イラン時間)、米軍は3か所のイラン核施設を攻撃した。現時点で損傷の程度は不明だが、トランプ米大統領は国民向け演説で、これら施設を「完全に破壊した」と主張した。 フォルドウ、ナタンツ、イスファハンの3施設に対する米軍の攻撃は、13日から続くイスラエルによるイラン核施設攻撃作戦の延長である。イスラエルによる...
【第1263回】米軍のイラン攻撃を批判できない石破首相
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 石破茂首相のダブルスタンダード(二重基準)ぶりは昨年秋の就任時からたびたび批判されてきた。米国とイスラエルによるイラン攻撃をめぐってもそれが繰り返された。 石破首相は22日午後、米国によるイランの核施設攻撃について「我が国としては、事態を早期に沈静化することが、まずは何よりも重要であると考えている。同時にイランの核兵器開発は阻...
【第1262回】「本当の国難」が生じている
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 防衛相経験者4人が入っているとは思えないお粗末さだ。6月13日に行われた国家安全保障会議(NSC)のことだ。イスラエルによるイランの核関連施設などに対する攻撃について、石破茂首相は約35分間行われたNSCの場で、①情報収集②万全な在留邦人保護③事態の沈静化とイラン核問題の平和的解決に向けた関係各国との連携―の3点を関係閣僚に指示し...
【第1261回】第2列島線の対中拒否能力を強化せよ
国基研企画委員・麗澤大学特別教授・元空将 織田邦男 6月7日、中国海軍の空母「山東」を太平洋上で監視していた海上自衛隊P3C哨戒機に対し、山東から発艦したJ15戦闘機が水平距離約45メートルまで接近し、約40分間付きまとった。8日にも、山東を監視していたP3Cの進路前方約900メートルを横切るという危険飛行を繰り返した。日本政府は外交・防衛当局のルートを通じて中国側に強い懸...
【第1260回】反日感情の政治利用が心配―新韓国大統領
国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授 西岡力 韓国大統領選挙で「共に民主党」の李在明氏が新大統領に選ばれた。得票率は49%だった。尹錫悦政権の与党だった「国民の力」の金文洙氏が41%、保守新党「改革新党」の李俊錫氏が8%だった。 今回の選挙は、昨年12月の尹錫悦大統領(当時)による戒厳宣布のため大統領弾劾が成立したことを受けて実施された。李在明氏と李俊錫氏は、戒厳宣...
【第1259回】日米交渉の情報リークが国益を損ねる
国基研企画委員・明星大学教授 細川昌彦 日米関税交渉で赤沢亮正経済財政・再生相が5回目の閣僚協議を行った。訪米は3週連続という異例のハイペースだ。異例さは頻度だけではない。米側は中国など他国との交渉も抱え、事務レベルも手薄でパンク状態だ。協議に臨む米国の閣僚3人もそれぞれ交渉スタンスに差がある。交渉の主導役は穏健派のベッセント財務長官とされるが、日本が重視する自動車の追加関...