公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

山田吉彦の記事一覧

国基研理事・東海大学教授 山田吉彦    4月に訪米した岸田文雄首相は、バイデン大統領との間で、「日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用される」ことを改めて確認した。しかし、同条約で尖閣諸島が守られるには、日本の「施政下」にあることが条件となる。尖閣諸島周辺の接続水域海域内には、中国海警局の警備船(海警船)が連日姿を現し、「尖閣諸島は中国の領土である」と主張し、我が国の主権を脅か...

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国基研理事・東海大学教授 山田吉彦    日本の海洋安全保障にとって最も重要な施策は、領土、領海、領空を守る確固たる意志を示すことである。  中国による尖閣諸島への侵出は止まるところを知らない。中国は7月、尖閣諸島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)内に、海洋観測用と思われるブイを設置した。政府はその事実を確認したものの、2カ月間国民に知らせなかった。9月19日になって急遽公表し...

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国基研理事・東海大学教授 山田吉彦    尖閣諸島は、中国による領土侵略の危機にあり、海上保安庁の徹底した警備下に置かれている。しかし、無人島であり、日本政府は国家公務員以外の上陸を認めず、管理行動と言えば、魚釣島灯台の保守点検程度である。これでは、世界の国々が日本の施政下にあると認識することは難しいだろう。  米国は、日米安全保障条約の防衛義務が尖閣諸島に及ぶと明言しているが...

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11月25日、尖閣諸島の大正島周辺の領海内に中国海警局の2隻の警備船(海警船)が侵入した。うち1隻は、76ミリ砲と見られる砲を搭載していた。これまでの海警船の搭載砲は40ミリまでであったが、軍艦並みの装備に代わっている。76ミリ砲の最大射程はおよそ16キロ。しかし、我が国の海上保安庁の最大級巡視船「あきつき」の装備は40ミリ機銃であり、その最大射程は約5キロと能力に著しい隔たりがある。当然、警備戦...

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日本の近海は、かつてない危機に襲われている。 4月7日、中国人民解放軍のY9機が沖縄県の与那国島近海上空から宮古島南方の太平洋上を往復した。機体に取り付けられているアンテナ等から電子戦機であることが判明した。電子戦機とは、電磁波を軍事行動に利用するための装備を持った航空機で、レーダーやGPS機能、ミサイル誘導機能などに影響を与え、戦線を有利に展開させるために活用される。電子戦機が上空にいる間...

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国基研理事・東海大学教授 山田吉彦    1月31日、尖閣諸島を行政区域内に持つ沖縄県石垣市は、尖閣海域の海洋調査を実施した。この海域での海洋調査は、東京都が2012年に実施して以来である。  当時、石原慎太郎都知事は、東京都が尖閣諸島を購入して、商船や漁船の安全を守る通信施設や灯台を建設し、国際的な海洋環境研究所を設置することを計画した。しかし、民主党政権は都の購入を嫌い、計...

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この数年間、日本海の漁業者は苦難の連続である。日本海の中心部にある好漁場・大和堆では、2015年以来、北朝鮮が「漁業戦闘」と銘打ち日本海中央部への強硬出漁を行ってきた。2019年、水産庁は、日本の海域に侵入した4007隻を超える北朝鮮船に対し退去を勧告している。しかし、2020年には、北朝鮮船は大和堆にほとんど姿を現さず、代わって中国の大漁船団が姿を見せている。 北朝鮮漁船に代わって一網打尽...

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国基研理事・東海大学教授 山田吉彦    3月初旬、フィリピンが管轄権を主張する南シナ海のウィットサン礁海域に出没した220隻の中国漁船は、1か月経っても一部が停泊を続け、この海域の実効支配を既成事実化している。フィリピンは主権を維持するため米国に支援を求めるなど奔走している。しかし、経済支援やワクチン外交を駆使して譲歩を迫る中国に、具体的な反撃ができないのが現実だ。  中国は...

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国基研理事・東海大学教授 山田吉彦    2月1日、中国は海警法を施行し、「中華民族の偉大なる復興」を実現するための実力行使に動き出した。この法律は、国連海洋法条約を基盤とした海洋秩序への挑戦であり、我が国をはじめとした近隣諸国への脅迫状である。中国共産党政権は、漢民族の生活空間を拡大するために他民族の住む土地を支配下に組み入れ、さらに海域まで侵攻しているのである。  海警法で...

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国基研理事・東海大学教授 山田吉彦    中国による尖閣諸島奪取、東シナ海支配に向けた動きは、最終段階へと突入した。  5月8日、中国海警局の5千トン級の警備船「2501」をはじめ4隻の警備船が尖閣諸島周辺の日本領海に侵入し、そのうち2隻が与那国漁協所属の漁船を追尾したのだ。中国の警備船は9日も領海に侵入し、海上保安庁の退去勧告を無視して、翌日まで滞在を続けた。連続3日間、領海...

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 4月8日、中国海警局の警備船4隻が、尖閣諸島周辺の我が国領海に侵入し、海上保安庁の警告を無視して約1時間40分間にわたり航行した。中国公船の領海侵入は、今年に入り6回目であり、接続水域内には毎日のように姿を見せている。  中国にとっては、自国を震源として世界中をパンデミックの恐怖に陥れている新型コロナウイルスの禍さえ、海洋強国樹立の目論見には、何ら影響を与えるものではないようだ。むしろ、コロナ...

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国基研理事・東海大学教授 山田吉彦    丸山穂高衆院議員(日本維新の会から除名)の発言が物議を醸している。報道によると、丸山議員は「ビザなし交流」による北方領土訪問時に、領土を取り戻す手段として戦争に言及したことが問題視され、また、国会議員としての品位を疑われる言動をしたといわれている。  ●ビザなし交流で必要な行動制限  ビザなし交流は、北方領土返還運動の機運を醸成す...

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 竹島(島根県)問題の解決なくして韓国と日本の友好関係はありえない。自国の領土を侵している国を黙認するのであれば、その土地を放棄したという事になる。言葉や書面だけの抗議など、意味を持たないことは歴史が証明している。  今、日韓外交関係は冷え込んでいる。海洋安全保障における両国関係は、さらに厳しい状態にある。一触即発の事態といっても過言ではない。昨年末に発生した韓国軍艦による日本の哨戒機へのレーダ...

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 南北首脳会談を経て、北朝鮮に対し融和的な発言をするメディアが増えている。しかし、北朝鮮に拉致問題解決へ向けて動く気配は無く、むしろ日本批判を鮮明にしているようだ。また、北朝鮮の対日戦略においても不安な要素が多い。  ●海難ではありえぬ軽い破損  近年、北朝鮮の木造漁船が漂着する事件が増加している。一昨年は66件、昨年は104件、今年に入り既に40件近く発生している。ただ、一昨年と昨年、今...

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 我が国の排他的経済水域(EEZ)内にある「大和堆」海域に北朝鮮の漁船が大挙して押し寄せ、主にイカの密漁を行っている。  EEZ内では、日本政府の許可無く漁を行うことはできない。水産庁は漁業取締船を派遣し、6月、7月の2カ月間で、延べ約1500隻をEEZから排除した。しかし、7月に北朝鮮漁船が取締船に小銃を向ける事件があり、この時期からは海上保安庁が前面に出て本格的な警戒に乗りだした。海保は12...

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 日本の海は危機的な状況に置かれている。沖縄県石垣市の尖閣諸島は国有化から9月11日で丸5年となったが、日本固有の領土である同諸島海域への中国公船の侵入は常態化し、月に3回の頻度で領海侵入を繰り返している。  海上保安庁の巡視船は、尖閣諸島専従部隊を配備し、警戒を続けているが、中国公船の領海侵入は止まらない。そして、東シナ海では1000隻ほどの中国船が漁を行い、あたかも同海全域が中国の海であるか...

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国基研理事・東海大学教授 山田吉彦    北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受けて、8月5日、国連安全保障理事会は、北朝鮮に対する新たな制裁決議を全会一致で採択した。この制裁では、同国からの石炭、鉄鉱石、海産物の輸入禁止や、北朝鮮労働者の受け入れを現在の水準より増加させないこと、北朝鮮との新規合弁事業の禁止などが盛り込まれた。特に石炭、鉄鉱石、海産物の輸入禁止が徹底...

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 中国の東シナ海侵出が危険レベルまで達している。尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域に300隻ほどの漁船団が押し寄せ、漁船団を警固するように15隻もの中国公船が日本の管轄海域に侵入した。その勢力は、海上保安庁の尖閣諸島専従部隊の12隻相当体制を上回っている。  中国は、南シナ海でフィリピンからミスチーフ礁、スカボロー礁を奪った時にも、まず先に漁船団を送り込んできた。そして、漁民の保護を名目に軍艦や警...

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国基研理事・東海大学教授 山田吉彦    8月4日にクアラルンプールで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議の共同声明は、中国の海洋侵出の脅威に対し、名指しを避けつつ「引き続き深刻な懸念」を表明した。ASEAN内部には、ラオスやカンボジアなどの親中勢力があり、フィリピンやベトナムが主張する対中強硬策にブレーキをかけているのが実情だ。  一方、中国は5日のASEA...

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国基研理事・東海大学教授 山田吉彦    防衛省は7月14日、中国の軍艦5隻が北海道の宗谷海峡を通過したのを確認したと発表した。この海峡はロシアの軍艦も頻繁に通過している。また、6月には鹿児島県の大隅海峡を2隻の中国軍艦が通過した。日本の海洋管理、とりわけ海峡管理体制の脆弱性に危機感を持つ。  ●不合理な領海放棄  日本は領海を沿岸の基線から12カイリ(約22キロ)幅...

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