荒木和博の記事一覧
日朝連絡事務所は選択肢として排除すべきでない 荒木和博(特定失踪者問題調査会代表)
9月30日の「今週の直言」に有元隆志企画委員の寄稿した「石破自民党新総裁は『過去』から脱却を」で、「日朝連絡事務所設置構想は撤回せよ」との提言があった。これについては西岡力企画委員もたびたび主張しており、家族会を含めて拉致被害者救出運動の一致した立場だと考えておられる方が少なくないと思う。しかし、家族・支援者含め全てがそう考えているわけではないし、連絡事務所設置を頭から否定するのはいかがなものかと...
小泉訪朝から21年で思うこと 荒木和博(特定失踪者問題調査会代表)
平成14(2002)年9月17日、小泉純一郎首相が北朝鮮を訪問した。あれから21年、当時「救う会」全国協議会の事務局長だった私にとっては、ついこの間の出来事のように感じられる。しかし今、私が大学で教えている学生はそのころ生まれた子たちである。最近取材に来る若い記者さんも当時小学生だったとか、もうそういう時代になっているのだ。私たちの世代が共有しているあの日の衝撃は、歴史の彼方に遠ざかりつつある。 ...
拉致被害者救出は1秒でも早く1人でも多く 荒木和博(特定失踪者問題調査会代表)
家族会(北朝鮮による拉致被害者家族連絡会)と救う会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)は2月26日、合同の会議を開催し、「親の世代の家族が存命のうちに全拉致被害者の一括帰国が実現するなら、我が国が北朝鮮に人道支援を行うことに反対しない」という内容を含めた金正恩朝鮮労働党総書記へのメッセージを採択した。しかし、このメッセージは非現実的だと言わざるをえない。 誰も「全拉致被害者...
西岡氏に問う、「即時一括帰国」でいいのか 荒木和博(拓殖大学海外事情研究所教授)
以下は先月27日付本欄で西岡力・救う会会長が書いた「共同通信の拉致報道に注意せよ」への反論である。 政府認定拉致被害者田中実さんと特定失踪者金田龍光さんの情報を5年前に入手し、それを黙殺していたという共同通信の報道については様々な見方があろう。私は西岡氏と意見は違うが、それについてどうこう言うつもりはない。 看過できないのは「部分帰国やさみだれ帰国、日朝共同調査委員会などは絶対に認められ...
「専守防衛」の虚構に決別を 荒木和博(拓殖大学海外事情研究所教授)
日本の安全保障の基本は「専守防衛」である。占領解除以来、言い方はともかく、こちらからは攻撃せず、相手からやられるときだけ、それを防ぐという国防方針は連綿と堅持されている。「米軍が矛」「自衛隊が盾」。つまり汚れ仕事はアメリカ任せで自らは「平和国家」を気取るという、文字通りの「矛盾」を政府も国会も国民も、真面目な顔をして70年近く続けてきたことは次の世代に嘲笑されるのではないか。 安倍総理の方針...
日朝首脳会談で「全拉致被害者」は帰らず 荒木和博(拓殖大学海外事情研究所教授)
安倍総理は日朝首脳会談に前向きなようだ。米朝交渉が合意せず、行き場を失った北朝鮮が日本に助けを求めてくるという構図は、平成12年(2000)6月の金正日・金大中の南北首脳会談以後、平成14年(2002)9月の日朝首脳会談で金正日が拉致を認め5人が帰って来たときと同じだ。官房副長官としてそこに同席していた安倍総理としては、その再現を目指したいのだろう。 もちろんそれが実現し、拉致被害者が帰って...
拉致問題を未解決で次世代に残すな 荒木和博(拓殖大学海外事情研究所教授)
北朝鮮が度重なる弾道ミサイルの発射に加え、9月3日には6度目の核実験まで行った。むかし流行った山本リンダの歌ではないが、まさに金正恩の「どうにもとまらない」だ。 あの歌には、「はじけた花火にあおられて 恋する気分がもえて来る」という一節があるが、米国との交渉に持ち込むためという理由など、すでに飛び越えてしまったようだ。もはや、パラノイア、ストーカーのレベルである。 これは冗談ではない。今...
可能性なしとは言えぬ朴氏の逆転ホーマー 荒木和博(拓殖大学海外事情研究所教授)
韓国が揺れている。 すでに報道されているのであらためて説明する必要もないだろうが、知人女性にまつわるスキャンダルでソウルでは大規模な朴槿恵大統領退陣要求デモが起き、韓国マスコミは連日、朴大統領叩きに狂奔している。 最近では日本からJR東日本労組とか動労の組合員が訪韓してこのデモに参加している。朴大統領と安倍晋三総理をセットにして退陣を求めているのである。朴氏については政権支持率も急降下し...
日韓の今後、大事なのは日本が強くなること 荒木和博(拓殖大学海外事情研究所教授)
北朝鮮のミサイル発射・核実験などで日米韓の連携が重要視されているが、一方で今年2月、韓国では慰安婦問題を全く事実無視で描いた映画『鬼郷(キヒャン)』が封切られ、300万人を超える観客を動員した。昨年末の日韓合意で関係改善に向かうのではないかとの期待もあったが、結果的にはほとんど状況は変わっていない。これから日韓関係はどうなるのだろう。あるいはどうすべきなのだろうか。 ここでは字数の限界がある...
韓国の「反共」 荒木和博(拓殖大学海外事情研究所教授)
まだ朴正煕大統領の時代、1970年代後半だったかと思う。お世話になっていた韓国の大学教授、Y先生がふと「韓国には『反共』がないんだ」と言われたことがある。 当時の韓国は「耳無し芳一」のごとく、街のいたるところに「滅共統一」のスローガンが書かれていた。月に1回の防空演習もあったし、ちょっとでも北朝鮮を評価すれば「パルゲンイ(アカ)」と言われてつかまった。韓国人で私より少し下の世代までは子供の...
韓国の保守派は信頼できるか 荒木和博(拓殖大学海外事情研究所教授)
李明博前大統領は大阪生まれである。一般的に韓国人に「明博」という名前はなく、明らかに日本名の「あきひろ」として付けられた名前だ。 朴槿恵大統領はいうまでもなく朴正煕元大統領の娘である。朴正煕は日韓国交正常化を実現し、日本の協力のもと韓国の急速な発展を実現した。 どちらも就任当時、日本に縁のある大統領ということ「これで日韓関係も良くなるだろう」と期待されたが、結果は逆だった。2人とも日...
「憲法」の制約 荒木和博(拓殖大学海外事情研究所教授)
拉致被害者救出に自衛隊を、という議論をすると必ずと言って良いほど「憲法の制約が」という、言い訳にもならない言い訳が出てくる。安倍総理自身、昨年3月6日、参議院予算委員会で、かつて秘書官であった井上義行議員(維新)の質問に対する答弁でも次のように語っている(要旨)。 「北朝鮮において内乱的状況が発生した場合において派遣先国の同意が得られない場合に部隊を派遣して自国民を救出することは国際法...
【第31回】朝鮮高校の無償化を許してはならない
国基研評議員 荒木和博 元教員がヘロイン密輸を計画 福井県小浜市から地村保志さんと浜本(現姓地村)富貴恵さんが拉致される3日前の昭和53年7月4日、在日朝鮮人青年Aが成田空港で逮捕された。大量のヘロイン密輸事件だった。この事件は、広島朝鮮高校教員で朝鮮青年同盟県委員長でもあった金徳元という在日朝鮮人が計画したものである。Aの弁護人になったのが川人博・現特定失踪者問題調査会常務理事だが、川人...