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2016.09.20 (火) 印刷する

日韓の今後、大事なのは日本が強くなること 荒木和博(拓殖大学海外事情研究所教授)

 北朝鮮のミサイル発射・核実験などで日米韓の連携が重要視されているが、一方で今年2月、韓国では慰安婦問題を全く事実無視で描いた映画『鬼郷(キヒャン)』が封切られ、300万人を超える観客を動員した。昨年末の日韓合意で関係改善に向かうのではないかとの期待もあったが、結果的にはほとんど状況は変わっていない。これから日韓関係はどうなるのだろう。あるいはどうすべきなのだろうか。
 ここでは字数の限界があるので箇条書きで提言を申し上げたい。

1、年末の日韓合意は失敗である
 あの合意は慰安婦の強制連行を日本政府が認めたものである。しかも、それを韓国では「極右」とされている安倍晋三政権がやったことは二重の意味で罪深い。その場しのぎの対応が問題を複雑化してきたことは、これまでの歴史が証明している。何より先人に対する冒涜である。この点は昨年の「70年談話」も同様で、ある意味安倍政権の本質なのかも知れない。
 まあ、韓国では野党がこれを認めないと言っているし、あちらでは約束を反故にすることなど日常茶飯事なので、こちらもその乗りでいくしかないだろう。

2、韓国の保守派はあてにならない
 韓国の保守は基本的に大部分が親米保守である。つまり福井義高・青山学院大学教授が言う「ルーズベルト聖戦史観」が基本なのだ。朝鮮を植民地にして過酷な支配をした日本が独伊と組んで正義の味方の米英に戦いを挑んで敗北し、米国はそれにもかかわらず日本を民主主義国として再建してやった、しかし日本では時折かつての亡霊が頭をもたげているというものだ。
 最大の新聞である「朝鮮日報」は保守系の牙城だが、日本叩きになると左翼以上に激しくなる。保守系の大物言論人で集会のとき「トルーマン大統領が原爆を落としてくれたから日帝は滅亡しました。皆さん拍手しましょう」と言った人もいた。

3、事大主義に対する方法は一つ
 一方で韓国では街中に日本風の飲み屋が増えている。店の前に「おでん」と書いた提灯があったり、日本風をあえて誇示するような店も少なくない。日本への観光客は増えている。「反日」と「親日」は矛盾を抱えながら同居している状態だ。
 朝鮮半島は地政学上、常に周辺大国に翻弄される運命にある。強いところに付く、弱いところは侮る、事大主義は生き残るために仕方なかったのも事実である。ならば反日を抑える方法はただ一つ、日本が強くなることだ。その過程で一時的に険悪な雰囲気になることはあるだろうが、日本の態度が毅然としていれば状況は恐らく突然激変するだろう。
 最後は自分である。これは日中関係や、日米関係でも同様なのだが…。