中国は先月、暗号解読が不可能な世界初となる量子通信衛星を打ち上げたのに引き続き、9月15日夜には、無人宇宙実験室「天宮2号」を打ち上げた。天宮2号は、10月に打ち上げ予定の宇宙飛行士2人が乗る有人宇宙船「神舟11号」と宇宙空間でドッキングさせる予定である。
ドッキングとは安全に衝突させることであり、急激に衝突させれば過去何回も中国が実験してきた衛星破壊になる。中国がドッキング技術を向上させているということは、即ちピンポイントに衛星を攻撃できる精度を保有していることに他ならない。
また、宇宙から人員を無事に地球上で回収できることは弾道ミサイルが大気圏内に再突入する技術に応用でき、そのための耐熱素材の開発にも繋がる。さらに巨大なペイロード(搭載物)を打ち上げる衛星打ち上げ能力は、長射程弾道ミサイルにも転用できる。とりわけ中国の宇宙開発は人民解放軍が関与していることから、軍事転用という目で見ていかなければなるまい。
アメリカの国際評価・戦略センター上級研究員であるリチャード・フィッシャー氏は、2008年に打ち上げた「神舟7号」は「伴星1号」という小型人工衛星も宇宙空間に放出しており、これが国際宇宙基地の45kmにまで近接したことから、軍事的な対衛星迎撃技術の試験を意図したものではないかと推測している。フィッシャー氏はまた、中国は将来的に月を軍事基地として無人機やレーザーを使用して西側の衛星破壊を行うことを企図しているとも主張している。
衛星を指揮・管制・通信・偵察等に使用している我が国を始めとする西側諸国にとって、こうした中国の宇宙開発の野望は警戒感を持って見守っていく必要があろう。とりわけレーザーに関する研究とハードウエアー開発に関しては我が国が世界をリードしているので、多くの中国人が日本での学会等に参加している。
しかし、肝心の日本人主催者側に危機感は薄く、その約九割は軍事転用されることへの警戒感が極めて低いのが実態である。
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