有元隆志の記事一覧
【第1197回】石破首相は訪米の見送りを
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 石破茂首相5分、韓国の尹錫悦大統領12分、マクロン仏大統領25分―。11月5日の米大統領選で勝利したトランプ前大統領との初の電話会談の長さである。祝意を伝える挨拶であり、順番や長さは問題ではないかもしれない。日本政府当局者は11月後半に模索している訪米時のトランプ氏との会談が「勝負になる」と強調する。だが、目下の石破首相を取り巻く...
【第1193回】石破首相は退陣せよ
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 27日投開票の衆院選で、自民、公明の与党は石破茂首相(自民党総裁)が「勝敗ライン」とした過半数(233議席)を下回った。にもかかわらず、石破首相や森山裕自民党幹事長は続投の意向を示した(同日段階)。2007年の参院選で自民党が大敗した際、続投を表明した安倍晋三首相(当時)に「選挙に負けたのに続投するのは理屈が通らない」と辞任を求め...
【第1186回】石破自民党新総裁は「過去」から脱却を
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 自民党の石破茂新総裁には御慶およろこび申し上げるが、これまでの言動から見ると、石破氏がこの国を率いる指導者としてふさわしいのか、はなはだ疑念を持たざるを得ない。何よりも石破氏は安定的な皇位継承について、過去に例がない「女系天皇」を選択肢として排除しない考えを示してきたからだ。 石破氏は総裁選期間中の産経新聞のインタビューでは「...
【第1181回】自民総裁候補に本当の「覚悟」はあるのか
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 自民党総裁選(27日投開票)に出馬した9人の候補者の口からしばしば出てくるのが「覚悟」という言葉である。例えば、小泉進次郎元環境相は「覚悟を持って、やるべきことを断行し、未来に明るい展望の持てる国に」と決意を語っている。日本を取り巻く安全保障環境がかつてないほど厳しい中にあって、新しい首相となる次期総裁には、文字面だけでなく真の意...
【第1160回】安倍氏の遺志を継ぐ政治家よ、立て
国基研企画委員・産経新聞特別記者 有元隆志 7月8日は安倍晋三元首相が暗殺された日である。2年前、国家基本問題研究所で企画委員会を開催していた時に、衝撃の知らせは届いた。国政選挙の最中に起きたこのテロは民主主義に対する重大な挑戦であり、私たちは永遠に忘れてはならない。 この2年間で日本を取り巻く情勢は大きく変化した。中国、ロシア、北朝鮮、イランの4か国は新「悪の枢軸」と...
【第1156回】岸田首相は退陣すべし
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 まもなく三回忌を迎える故安倍晋三元首相は常々、政治家に必要なのは「結果を出すことにパッション(情熱)を持つ」ことだと語っていた。岸田文雄首相の党首討論、記者会見での発言を見ていると、口では憲法改正を唱えながら、その実現に向けて指導力を発揮しようとしない。安倍氏の言う「パッション」が決定的に欠けている。 ●言行不一致 ...
河野氏は閣僚を辞任せよ 有元隆志(月刊「正論」発行人)
河野太郎規制改革担当相は自らの肝煎りで設置した再生可能エネルギーの規制緩和を議論する内閣府のタスクフォース(TF)が廃止に追い込まれた責任を取って、閣僚を辞任すべきだ。 再エネTFの関係資料に中国の国営電力会社のロゴマークが入っていた問題で、内閣府は6月3日に公表した調査結果(報告)で、中国の影響力行使を否定する一方で、再エネTFは本来の権限を越えた運用が行われてきたと指摘した。これを受け、...
【第1150回】「日台は運命共同体」の重みを考えよ
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 台湾の頼清徳新総統は台湾の政界において「最も親日的な政治家」と言われる。副総統時代の2022年7月には暗殺された安倍晋三元首相の弔問のため訪日した。日本と中華民国が1972年に断交して以来、李登輝副総統(当時)が乗り継ぎで東京に立ち寄った以外では最も高位の高官の来日となった。 頼新総統は就任に先立って5月9日に行われた日本の...
【第1134回】「失われた4か月」を取り戻せ
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 派閥の政治資金規正法違反事件に絡み、自民党は39人の所属国会議員を処分した。岸田文雄首相(党総裁)はこれでこの問題に一区切りをつけたい意向だが、党内に生じた亀裂を修復するのは容易でない。事件が大きく報道されるようになった昨年12月1日から今日まで、「失われた4か月」を招いたのは岸田首相その人だからだ。 ●「三つのJ」 ...
岸田首相は朝日新聞を気にし過ぎるな 有元隆志(月刊「正論」発行人)
かねてから自民党内では「岸田文雄首相とその周辺は朝日新聞報道を気にし過ぎだ」との指摘があった。リベラルで知られる派閥「宏池会」出身の岸田首相として、リベラルメディアの代表格である朝日新聞を意識するからか、自民党の政治資金パーティー問題への対応が長引き、本来やるべき憲法改正などの重要案件への対応が疎かになっているというのだ。その通りであろう。 「道義的責任」追及で一致 首相側近からは東京...
【第1130回】憲法改正なくして岸田氏再選なし
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 岸田文雄首相は今年9月までの自民党総裁の任期中に憲法改正実現を目指すと繰り返し表明してきた。もちろん実現を強く望むが、最近は党内の保守派の支持をつなぎとめるための単なるスローガンとなっているのではないか。掛け声だけで何ら指導力を発揮しないと、とても9月までに改正は実現しない。 ●条文化、なぜ「今国会中」でないのか 岸...
【第1124回】岸田首相は自民派閥解消の実現を
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 自民党がガバナンス(統治)機能不全に陥っている。 衆院政治倫理審査会の開催をめぐって、出席者の人選や公開の在り方で与野党が対立し、最後は岸田文雄首相(党総裁)が自ら出席を申し出ないと事態を打開できなかった。国会対応の最終的な責任者である茂木敏充幹事長がほとんど動かなかったためである。 岸田首相が派閥による政治資金パーティ...
【第1115回】安倍派解散は「天の声」
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 解散すべくして解散したと言っていい。自民党の最大派閥、清和政策研究会(安倍派)のことである。会長だった安倍晋三元首相という「羅針盤」を失い、後継会長をめぐり迷走した上、政治資金収支報告書への派閥パーティー収入の不記載見直しを安倍氏が指示したにもかかわらず、従わなかったからだ。 ●幹部の責任うやむやに 「解散は安倍さん...
【第1108回】派閥の弊害なくし憲法改正に突き進め
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 岸田文雄首相(自民党総裁)が自ら率いてきた「宏池会」(岸田派)を解散すると表明した。呼応するかのように、最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)と「志帥会」(二階派)も解散を決めた。いずれの派閥も会計責任者が政治資金収支報告書への虚偽記載の罪に問われ、批判を浴びていた。解散は当然と言えよう。 これを機に、政治家個々の能力よりも当...
【第1105回】頼氏当選歓迎も求められる「戦う覚悟」
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 13日投開票の台湾総統選で、親米・親日派で中国とは距離を置く民主進歩党の頼清徳氏が当選したことは喜ばしい。米政府高官が「今後10年間は軍事的にも経済的にも強大な中国と対峙しなければならない」との危機感を示す中で、価値観を共有する人物が台湾を率いることは日米にとっても大きな意味を持つ。 ●存在しない公式対話の枠組み 日...
【第1092回】中国との懸案解決には対抗手段が必要
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 約1年ぶりに行われた日中首脳会談では「戦略的互恵関係」の包括的推進を確認したが、懸案である中国による邦人拘束問題、尖閣諸島周辺の排他的経済水域(EEZ)での中国ブイの撤去問題、中国による日本産水産物の全面禁輸問題は解決しなかった。 日本経済新聞によると、10月に北京で開かれたレセプションで、「戦略的互恵関係」という概念を編み...
【第1086回】岸田首相に「パッション」はあるのか
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 これが岸田政権の終わりの始まりなのか。自民党の世耕弘成参院幹事長が10月25日の参院本会議代表質問で、「支持率が向上しない最大の原因は、国民が期待する『リーダーとしての姿』が示せていないことに尽きる」と述べ、岸田文雄首相の指導者としての資質に公然と疑問符を突き付けた。 ●党幹部が異例の苦言 世耕氏は冒頭でこそ「首相支...
【第1079回】岸田首相は国家指導者失格か
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 「テロ」を「テロ」と呼ばない岸田文雄首相は国家指導者として失格ではないか。そう思わざるを得ない「X」(旧ツイッター)への首相の投稿があった。イスラム原理主義組織ハマスによるイスラエル襲撃を「強く非難する」としたが、「テロ」の表現を避けた。イスラエルの反撃でパレスチナ自治区ガザ地区でも多数の死傷者が出ていることに言及し、「深刻に憂...
【第1076回】岸田首相は「解散」を弄ぶ前に政策を実行せよ
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 政権発足から4日で丸2年を迎えた岸田文雄首相は記者団に「一つ一つに真正面から向き合い、決断し実行する。こうしたことを続けてきた2年間だった」と振り返った。昨年12月の「国家安全保障戦略」など安保3文書を閣議決定したこと、防衛費を令和9年度に国内総生産(GDP)比2%に増額すると決めたことなどは評価できる。だが、政府内から聞こえて...
【第1073回】国連安保理の機能不全に怒りを
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 日本が国連に拠出する分担金の比率は米国と中国に次いで3番目に多い。ロシアは10位以内にも入っていない。にもかかわらず、安全保障理事会常任理事国の一員であるロシアによるウクライナ侵略もあり、国連は全く機能していない。 岸田文雄首相は19日の国連一般討論演説で、ロシアが「国際法、『法の支配』を蹂躙している」と批判したが、それだけ...
【第1072回】上川外相と木原防衛相を歓迎する
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 第2次岸田再改造内閣は「入閣待機組」を多く起用するなど派閥順送りの新鮮味に欠ける陣容となった。その中で評価できることと言えば、外相に上川陽子氏、防衛相に木原稔氏を据えたことだ。 前外相の林芳正氏は、就任直前まで超党派の「日中友好議員連盟」の会長を務めるなど「親中派」として知られていた。この議員連盟は在日中国大使館が「日中友好...
安倍派新体制に萩生田氏の覚悟を問う 有元隆志(月刊正論発行人)
自民党最大派閥の安倍派(清和政策研究会)は塩谷立・元文部科学相を「座長」とする集団指導体制を8月31日に発足させた。新たな意思決定機関として、松野博一官房長官、萩生田光一党政調会長、世耕弘成参院幹事長らいわゆる「5人組」を中心とした15人の「常任幹事会」を設置した。 安倍晋三元首相の暗殺から1年以上経っても次期会長を決めることができず、「安倍派」の名称も残った。安倍元首相に近かった衛藤晟一元...
【第1054回】自民党はどこまで公明党に忖度するのか
国基研企画委員・月刊正論発行人 有元隆志 案の定、という結果となった。昨年末の国家安全保障戦略など戦略3文書の改定を受けて、武器輸出の緩和を議論してきた自民、公明両党の協議は「論点整理」の発表にとどまり、結論を秋以降に持ち越した。ロシアによるウクライナ侵略を受けて、ウクライナ支援に向けた日本の貢献度を高めるためにも、防衛装備品の輸出に関するルールの見直しを求める声が自民党内...
「信頼関係が地に落ちた」なら連立を離脱せよ 有元隆志(月刊正論発行人)
衆院小選挙区の「10増10減」で新設された東京28区(練馬区東部)の候補者調整を巡り、公明党は擁立を断念する代わりに、東京の小選挙区で自民党候補を推薦しない方針を決めた。公明党の石井啓一幹事長は「東京における自公の信頼関係は地に落ちた」と自民党を非難した。一方で石井幹事長は「あくまで東京に限定している話で、自公連立政権に影響を及ぼすつもりはない」とも語った。まったく説得力がない。 連立政権は...
【第1038回】「軍事大国」ではだめなのか
国基研企画委員・月刊正論発行人 有元隆志 米誌タイム(5月22―29日号)の表紙に岸田文雄首相が登場し、首相とのインタビュー記事の電子版には当初、「岸田首相はかつてパシフィスト(平和主義)だった日本をミリタリーパワー(軍事大国)に転換しようとしている」との見出しが付けられていた。岸田首相本人が「記事の中身と見出しがあまりに違う」(中国新聞のインタビュー)と異議を唱えたため、...
【第1028回】岸田首相のウクライナ訪問を称賛する
国基研企画委員・月刊正論発行人 有元隆志 岸田文雄首相は21日にウクライナを電撃訪問した。先進7カ国(G7)首脳では最後となったが、先の大戦後、日本の首相として初めて戦闘が続く国・地域に足を踏み入れたことを評価したい。 日本の国会には、首相や閣僚が外国訪問する時には事前了解が必要との前近代的な慣習が存在する。同じく慣例となっている参院予算委員会基本的質疑への首相と全閣僚...
【第1018回】外相G20欠席で問われる参院の存在意義
国基研企画委員・月刊正論発行人 有元隆志 林芳正外相が参院審議出席のため、インドで開かれた20カ国・地域(G20)外相会合を欠席したことで浮かび上がるのは、参院の存在意義は何かという根本的な疑問だ。 自民党の世耕弘成参院幹事長は2月28日の記者会見で、参院予算委員会での基本的質疑について「参院審議の中でも非常に重要度が高い」と強調した。同質疑には首相と全閣僚が出席すべき...
【第1016回】キーウ訪問しない指導者に「平和」語る資格なし
国基研企画委員・月刊正論発行人 有元隆志 2月のバイデン米大統領、メローニ伊首相のキーウ訪問により、先進7カ国(G7)首脳でウクライナを訪れていないのは岸田文雄首相だけとなった。岸田首相はキーウ訪問の機会を探ってきたが一向に実現していない。岸田首相は5月のG7首脳会議(広島サミット)で議長を務めるが、キーウを訪れる勇気もない指導者が「平和」や「核廃絶」を語っても説得力はない...
【第1005回】岸田首相がウクライナに提供できるもの
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 岸田文雄首相がウクライナ訪問を検討している。5月に広島で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)の議長国でありながら、G7の中で唯一、ウクライナのゼレンスキー大統領との対面での会談を行っていないため訪問したいという。 岸田首相は1月25日の衆院本会議で、ウクライナ訪問について「諸般の事情を踏まえて検討する」と語った。首相は6日...
【第1001回】変貌する日米同盟、日本の役割増す
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 バイデン米大統領は13日の日米首脳会談で、反撃能力の保有を含む日本政府の抜本的な防衛力強化を高く評価した。会談冒頭、バイデン氏は「日本による防衛費の歴史的な増額や新たな国家安全保障戦略によって、我々は軍事同盟を現代化している」と語った。「現代化(modernize)」は最近の日米同盟のキーワードとなっている。日本の役割が増し、同...
【第993回】「防衛増税」に反対する
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 岸田文雄首相は防衛費増額の財源として1兆円程度を増税でまかなう方針を示した。日本を取り巻く安全保障環境が悪化している中で、「抑止力と対処力を抜本的に強化する」との岸田首相の姿勢は評価されるべきであるが、いきなり増税に頼ることには反対だ。首相には撤回を求めたい。 ●唐突な首相指示 増税に踏み切るなら、まず与党内の議論を...
【第986回】中国の微笑外交にだまされるな
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 バンコクで11月17日に行われた約3年ぶりの日中首脳会談前の写真撮影で、習近平中国国家主席は笑みを絶やさず岸田文雄首相と握手を交わした。2014年に安倍晋三首相(当時)と会談した時には無表情だったのと対照的である。中国の微笑外交には魂胆がある。米バイデン政権は新たな対中半導体輸出規制に取り組むなど、厳しい姿勢で中国に臨もうとして...
防衛費水増しの悪巧みを許すな 有元隆志(月刊「正論」発行人)
令和5年度予算案編成で焦点となっている防衛費について、水増し請求が行われようとしている。北大西洋条約機構(NATO)が軍事費に以外にも沿岸警備隊の経費などを含めているのに倣って、海上保安庁予算などを加えようとするもので、ある与党幹部は「財務省の悪巧み」と形容する。しかも、その先頭に立っているのが岸田文雄首相その人である。 安倍元首相の〝遺言〟 岸田首相は13日夜のBSフジ番組「プライム...
【第969回】ロシアの日本領事拘束に対抗措置を
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 外交官の身柄を拘束し、取り調べることは国家主権に対する重大な侵害行為である。それをロシアは平気で行った。9月26日、ロシア政府は在ウラジオストク日本総領事館の領事が国家機密に関わる情報を不正に取得したとして、この領事を拘束し、国外退去処分にした。1956年の日ソ国交回復後、ソ連時代を含めロシアから日本人外交官が「ペルソナ・ノン・...
安倍氏銃撃で警視総監の責任は問われないのか 有元隆志(産経新聞月刊「正論」発行人)
安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件で、警察庁が25日にまとめた検証結果と警護の見直しに関する報告書を読んで疑問に思ったことがある。奈良県警の責任には言及しているものの、安倍元首相の身辺警護にあたる警護官(SP=セキュリティポリス)と、警護官が所属する警視庁の責任には言及していないからだ。 奈良県警の責任に帰した報告書 報告書は「相当数の警護員を配置するなどの適切な措置を執ることによ...
【第957回】日中首脳会談の「9.29」開催に反対する
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 9月29日は日中国交正常化50周年の記念日にあたる。50周年を祝って、日中首脳がオンラインなどで会談する可能性が取り沙汰されているが、この日の会談には反対する。いまはとても50周年を祝う時ではないからだ。 中国は8月4日、日本の排他的経済水域(EEZ)内に初めて弾道ミサイルを5発撃ち込んだ。日本側は強く抗議したが中国から謝罪...
【第954回】看板倒れの「有事の内閣」
国基研企画委員・月刊「正論」発行人 有元隆志 内閣改造に踏み切った岸田文雄首相は10日の記者会見で、改造内閣を「有事の内閣」と位置付けた。「有事」の具体例としてウクライナ戦争や台湾をめぐる米中関係の緊張を挙げたが、首相の口から有事という言葉が出てきた意味は重い。それだけ日本を取り巻く安全保障環境は厳しいとの認識には賛同する。しかし、当の首相がどこまで「有事」を自覚しているか...
【第944回】危機管理体制を抜本的に見直せ
国基研企画委員兼月刊「正論」発行人 有元隆志 安倍晋三元首相の暗殺で、警備体制の見直しとともに、危機管理の在り方も問われている。日本は来年5月に先進7カ国首脳会議(G7サミット)を広島で開催するが、危機管理体制を抜本的に見直さないと、失墜した警備への信頼を取り戻すことはできない。 ●開催されなかったNSC 7月8日、安倍元首相が銃撃されたことを受けて、岸田文雄首...
【第941回】政権批判だけの野党はいらない
国基研企画委員・産経新聞月刊「正論」発行人 有元隆志 自民党の大勝に終わった参院選は、同時に野党の存在意義を問い直すこととなった。野党第1党の立憲民主党が改選23議席を大きく割り込んだのは、現実的な安全保障政策を打ち出さなかったことも大きい。 ●ドイツ社民党との違い 立憲民主党の泉健太代表は記者会見で「今の自民党の政治に不満はあれども、それ以外に政権を任せられる...
【第925回】「防衛力の5年以内強化」を予算で示せ
国基研企画委員・産経新聞月刊「正論」発行人 有元隆志 ロシアのウクライナ侵略を受け、ドイツが国防費の国内総生産(GDP)比2%以上への引き上げを決めたのに対し、日本政府は数値目標を掲げることに消極姿勢だった。それが5月23日の日米首脳会談で岸田文雄首相が防衛費の「相当な増額」を表明したのに続き、経済財政運営の指針「骨太の方針」でも、「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と明...