公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

ブラーマ チェラニーの記事一覧

インド政策研究センター教授 ブラーマ・チェラニー    世界最大の民主主義国インドは最近、英国を抜いて世界5位の経済大国になった。今、インドは人口で中国を抜き去ろうとしている。中国が世界一の人口大国でなくなるのは、少なくとも3世紀ぶりとなる。  インドの経済は中国より小さいが、成長が速い。世界銀行によると、インドは世界の主要国で最速の経済成長を遂げている。今後5年間にインドは全...

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インド政策研究センター教授 ブラーマ・チェラニー    ロシアのウクライナ侵攻をめぐる西側とロシアの対立で、非西側世界の多くは独自路線を追求することを選んだ。実のところ、西側以外の主要な民主主義国は、南アフリカ共和国、ブラジルからインドネシア、インドに至るまで、中立を採用した。  バイデン米政権は、特にインドが国連のロシア非難決議に何度も棄権したことに苛いら立った。インドは世界...

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インド政策研究センター教授 ブラーマ・チェラニー    独立を達成して以来、少数民族の反乱に悩まされてきた多民族国家ミャンマーで、唯一機能した国家機関が軍であった。しかし、10年前に軍部が段階的な民主化プロセスを開始した後も、欧米は軍部との関係構築に注力しなかった。欧米はアウン・サン・スー・チー氏だけに政治投資をし、スー・チー氏を事実上の聖人に祭り上げた後、イスラム教徒少数民族ロ...

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インド政策研究センター教授 ブラーマ・チェラニー    日米豪印4カ国の安全保障対話(クアッド)が中国の強権的な政策と侵略的な行動に応じて進化しつつある。最近の東京での4カ国外相会議が明確に示したように、インド太平洋の弱い多国間安全保障構造の強化に役立てるため、4カ国がクアッドを正式な機構にする方向へ動きつつある。  クアッドは具体的な安全保障体制へ変化するだろうか。日米豪は既...

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(終戦75周年特別寄稿・中)インド政策研究センター教授 ブラーマ・チェラニー    長期化する日本の経済的苦境が国際的に注目されたせいで、非常に重要だがほとんど気付かれない動きが目立つことはなかった。その動きとは、世界第3の経済大国・日本の政治的台頭である。日本は安倍晋三首相の下で、安全保障体制の改革に着手し、進行しつつあるアジアの勢力均衡の形成に積極的役割を果たそうと努め、それ...

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インド政策研究センター教授 ブラーマ・チェラニー    インド太平洋の16カ国で構成される東アジア地域包括的経済連携(RCEP)は、世界最大の貿易圏を生むはずだった。しかし、インドの離脱でその目標は崩れた。中国がRCEPの主導権を握るのは、今やほぼ確実に見える。  インドのRCEP離脱の主な要因は中国である。米ハーバード大学のグレアム・アリソン教授は中国を「世界で最も保護主義的...

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インド政策研究センター教授 ブラーマ・チェラニー    アジアの平和のためには積極的な日本が必要だ。日本の今日的な課題は、平和至上主義を保持すべきかどうかではなく、地域問題や国際問題に対し、悠長で、受け身のままでいられるかどうかである。日本は、アジアの力の均衡を保つために相応の軍事力を持ち、インド・太平洋地域の友好国と連携することで、平和への積極的貢献者になるであろう。  ...

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インド政策研究センター教授 ブラーマ・チェラニー アジアの緊張高めた声高の主張 急速に台頭するアジアは世界の地政学的変化の中心となった。今や、アジア諸国の政策と挑戦が国際的な経済環境と安全保障環境の形成に一役買っている。しかし、2010年は、中国が近隣諸国との領土紛争を拡大して緊張を高め、声高の主張をした年として記憶されるだろう。もっと言えば、2010年は、中国指導部が拡張する中国への恐怖...

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