中川真紀の記事一覧
【第1207回】中国が実戦に即した台湾有事軍事演習
国基研研究員 中川真紀 中国はこのほど、台湾周辺と西太平洋で大規模な軍事演習を実施したもようだ。今のところ中国の公式発表はないが、12月6日に中国の海警船が特異な航行を開始し、9~11日には中国が台湾対岸を含む7か所に飛行制限区域を設定したことから、軍事演習を準備も含め6~11日に行ったと見られる。台湾は中国軍と海警の活動活発化に警戒態勢を強化した。 ●海軍・海警の...
【第1198回】中国が日本照準のミサイルを更新
国基研研究員 中川真紀 10月17日、習近平中国共産党中央総書記(国家主席、中央軍事委員会主席)が、人民解放軍のロケット軍の旅団を視察した。その際、「対象に焦点を当てた新装備、新技能、新戦法の訓練を強化せよ」と訓示し、公開された映像から、習氏が「新装備」と呼んだ新たな種類の弾道ミサイルが配備されていることが確認された。 視察先の旅団名は報道されていないが、中国中央テレビ...
中国軍の台湾封鎖演習が持つ意味 中川真紀(国基研研究員)
中国人民解放軍東部戦区は10月14日、陸海空ロケット軍等による統合演習「聯合利剣‐2024B」(以下、「B」)を実施した。5月の「聯合利剣‐2024A」(以下、「A」)に続く台湾周辺における大規模統合演習である。 今回の演習も「A」と同様、台湾に対する海上封鎖が主要テーマであったが、展開戦力の質と量を増強させ、台湾及びそれを支援する米国等への政治的メッセージを含んだものでもあった。 短...
米中「相互確証破壊」時代の幕開けか―中国ICBM発射 中川真紀(国基研研究員)
中国国防省は9月25日、中国人民解放軍ロケット軍が同日、訓練用模擬弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)を太平洋公海へ向け発射して成功し、予定海域に正確に落下させたと発表した。中国によるICBMの公海への発射は44年ぶりである。 1980年5月、中国は初のICBMであるDF5を太平洋公海に向けて発射、約9100キロ先の目標海域に落下させた。これにより、中国は米本土へ届く核戦力を手に入れ...
南シナ海での中比衝突の背景 中川真紀(国基研研究員)
中国とフィリピンが領有権を争う南シナ海で、両国の対立が激化している。8月19、25、31日には、フィリピンのパラワン島から約150キロ北西に位置するサビナ礁周辺海域において、中国海警船とフィリピンの沿岸警備隊巡視船および漁業水産資源局公船の間で衝突が発生した。 また、南シナ海をパトロール中のフィリピンの空軍機や漁業水産資源局の航空機に対して、中国軍によるフレア(火炎)の発射も3回確認されてい...
【第1174回】中国軍機の領空侵犯を読み解く
国基研研究員 中川真紀 8月26日、中国軍のY9情報収集機が長崎県の男女群島沖で、中国軍機としては初めて日本の領空を侵犯した。同機は台湾及び日本への軍事作戦を担当する中国軍5大戦区の一つ、東部戦区の所属であり、これまでも日本周辺空域での飛行が確認されている。 今回の領空侵犯が故意か過失かは不明だが、中国軍、特に東部戦区の①対日情報収集範囲の拡大②日本を対象とする海空域防...
【第1151回】日本は台湾亡命政権を受け入れるか
国基研研究員 中川真紀 中国人民解放軍東部戦区は、頼清徳台湾総統の就任を受けて5月23~24日、陸、海、空、ロケット軍等による統合演習「聯合利剣2024A」を台湾周辺で実施した。今回の演習では、台湾東岸最大の港湾である花蓮港東側にも演習区域を設定し、海空軍の「統合戦備パトロール」(戦闘準備の警戒パトロール)に加え、中国海警船が「総合法執行演習」を行う等、台湾東側海空域の重視...