工藤豪の記事一覧
【第1050回】「異次元の少子化対策」効果は期待薄
国基研企画委員・日本大学文理学部非常勤講師 工藤豪 6月16日、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針) 2023が閣議決定され、「こども未来戦略方針」に基づき、次元の異なる少子化対策として、少子化対策・こども政策の抜本強化を推進することが明確に打ち出された。 ●見込めない出生数の回復 「こども未来戦略方針」の概要をみると、肯定的に評価すべき点も指摘できる。児...
【第1022回】少子化対策における隘路
国基研企画委員・日本大学文理学部非常勤講師 工藤豪 厚生労働省は2022年の出生数(速報値)が79万9728人と、1899年の統計開始以来、初めて80万人割れとなったことを発表した。2015年には100万人を維持していたが、出生数の急減に拍車がかかっており、政府は子ども・子育て支援の強化を検討している。 ●欠けていた男女双方への配慮 これまで国や自治体は積極的な...
人口減少問題で地方と都市は一蓮托生 工藤豪(国基研企画委員・日本大学文理学部非常勤講師)
総務省が発表した2020年国勢調査の速報値によると、2020年10月1日時点での日本の人口は1億2622万6568人であった。前回の調査(2015年)から86万8177人減少し、都道府県別にみると9都府県で増加、38道府県で減少する結果となった。人口が増加した地域は東京をはじめとする大都市圏に集中しているのに対し、東北、山陰、四国、九州などで人口が減少し、とくに秋田、青森、岩手の北東北で人口減少...
【第752回・特別版】夫婦別姓の議論は家族の形が問われている
国基研企画委員・日本大学文理学部非常勤講師 工藤豪 今月25日に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画において、一つの焦点となっていたのが「選択的夫婦別姓」に関する議論である。最終的には、「家族形態の変化及び生活様式の多様化、国民意識の動向等も考慮し、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関し、戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、また家族の一体感、子供への影...