屋山太郎の記事一覧
安倍政権、歴代最長の意義 屋山太郎(政治評論家)
安倍晋三首相は8月24日、首相の通算在任日数が戦後最長となり、11月20日を過ぎると、桂太郎首相の2886日を抜いて歴代最長の首相となる。 この間、内政・国際問題が山積したが、いずれも上手に乗り切ってきた。安倍氏が第1次内閣の1年間で処理した問題は①教育基本法の改正②憲法改正に必要な国民投票法の制定③防衛庁の省昇格―の3つある。それまで1内閣、1課題といわれた政治スピードから見ると1年間に3...
どうした日本の官僚たち 屋山太郎(政治評論家)
日本の国家の始まりは、そもそも「官僚国家」だった。廃藩置県で何もないところに6省を置いた。民業らしきものがない所で官が製鉄、電気、鉱業を興し、大きくなったところで民営化した。伊藤博文らが2~3年、欧米を見廻って近代国家とはどういうものかを勉強し、そのイミテーションをまず作った。官僚は天皇の家臣だったから、全権力を握っていた。国家を背負っていたから威厳もあり、権力も強かった。 これが戦争に敗れ...
首相は3選見据え長い目で改憲を 屋山太郎(政治評論家)
今年中に憲法改正を行うという安倍晋三首相の願望は山口那津男公明党代表の〝サボタージュ〟によって怪しくなってきたのではないか。 安倍氏の、9条2項をそのままにして自衛隊の存在を書き加えるとの改正案は、公明党の賛成をにらんで固めたものである。本来なら石破茂氏が言うように9条2項を削って、自衛隊を戦力と定める方がすっきりする。本来の安倍氏の保守思想からすれば、安倍氏がなぜ石破案に反対するのか不思議...
【第476回】9条の硬い殻を破れる可能性が出てきた
国基研理事・政治評論家 屋山太郎 「一強多弱」の状況は今回の総選挙で変わらなかった。しかし、野党第1党だった民進党が希望の党と立憲民主党に分裂したことによって、政界の在り方や国会運営の手法が基本的に変わるだろう。何でも反対という共産党主導の「全野党共闘」は終焉した。恐らく立憲民主党と共産党の共闘は続くだろうが、これまでとは全く違う様相になるだろう。憲法改正をめぐる国会の審査...
都議選結果で憲法改正の道筋は崩れない 屋山太郎(政治評論家)
東京都議会における自民党の凋落ぶりは、安倍長期政権を夢想していた国民には寝耳に水の現象であったろう。だが、この結果は憲法改正に至る順調な道筋を大きく崩したわけではない。小池百合子氏自身が極左ではなく、当初から憲法改正論者であるからだ。 小池氏は今回の都議選で惨敗した自民党よりも憲法改正に正しく向き合った人である。与党の没落は野党を伸長させるものだが、今回は民進党が失った2議席分が共産党に上積...
【第183回】既得権益にしがみつくJA全中
国基研理事・政治評論家 屋山太郎 安倍晋三首相はTPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加する腹を固めたようである。昨年12月の総選挙前から自民党が言っていたのは「聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉に参加しない」というものだ。そもそも例外のない取り決めなどあり得ない。先月の日米首脳会談で「例外はある」と認め合ったのは当たり前のことで、既に米国はオーストラリアとの協定...
【第112回】農協の圧力はねつけTPPに参加せよ
国基研理事・政治評論家 屋山太郎 環太平洋経済連携協定(TPP)に参加しないよう与野党の政治家に圧力をかけているのは農協中央会だ。日本の貿易依存度(輸出入額を国内総生産=GDP=で割ったもの)は30%程度で、ドイツの72%に比べて極端に低い。自由貿易協定(FTA)を結んだ国だけをとると、日本の貿易依存度は16%に下がる。日本とマレーシアはFTAを結んでいるが、日本が農産品で譲らなかったため、...
【第53回】存在意義失った民主党
国基研理事・政治評論家 屋山 太郎 日本を潰す小沢氏出馬 民主党は菅直人、小沢一郎両氏が激突し、党分裂の様相を呈している。小沢氏は「菅内閣の無策ぶりでは日本が潰れる」と代表選出馬を決意したそうだが、小沢氏の決意こそ、日本を潰すものではないか。 鳩山由紀夫、小沢両氏は3カ月前、参院選敗北必至まで追い込まれ、「政治とカネ」の責任を取って代表(首相)と幹事長をそれぞれ辞任した。カネについて...