公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

湯浅博の記事一覧

国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    不都合な真実を隠そうとするのは、全体主義の本性なのだろう。たった一つのコラムの見出しを理由に、中国は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の3人の北京駐在記者を追放した。新型コロナウイルスの感染拡大を独裁政治の限界として論評するメディアを決して許さないとの意思の表明だ。それは半世紀前に、産経新聞はじめ3紙の日本人特派員を追放した毛...

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 全面戦争に至る寸前に小康を保つことができたのは、そこに「悲劇の代償」があったからではないのか。イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官が年明けの3日、イラクのバクダッド空港でアメリカ軍の無人機攻撃で殺害され、国際社会はアメリカとイランの報復戦争の行方に固唾をのんだ。  イランのミサイルによる報復攻撃に、アメリカ軍が反撃を自制して戦争を回避しようとしたのは確かだ。だが、それ以上に抑制機能が働いたのは、...

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 中東から東アジアにかけて世界のパワーバランスが大きく揺れている。反米で利害が一致する中国、ロシア、イランの3カ国が昨年暮れの4日間、中東のオマーン湾沖で展開した初の合同軍事演習は、西側主要国に少なからぬ衝撃を与えた。  ここ数年来、中露の軍事協力は格段に進んでいたことは明らかだ。これに核開発の野望をもつイランが加わったことで、「悪の枢軸」が再編されたかのような論評も出てきた。米軍がイラン革命防...

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 英国の総選挙でボリス・ジョンソン首相率いる保守党の圧勝は、「決められない政治」に辟易していた有権者の選択としか思えない。3年半も続いたブレグジット騒動は、英国社会を分断したうえ経済の足を引っ張るなど、ポピュリズム政治のツケがいかに大きいかを見せつけた。これにより、英国が欧州連合(EU)から離脱することが決定的になった。  EU離脱後の英国の将来を見据えれば、ジョンソン政権は米英の「特別な関係」...

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国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    残虐な過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いで、クルド人は米軍と生死を共にする同盟相手ではなかったか。シリアからの米軍撤退は、そのクルド人を見捨てるもので、トランプ政権がいかに重要な同盟関係にあっても、無慈悲に切り捨てかねないことを示した。東アジアの核保有国に囲まれた日本にとって、米国は比類のない同盟国であることに変わりはない。しかし、...

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 中国は繁栄するにつれて周辺国を脅し、南シナ海の人工島を軍事化し、略奪的な貿易慣行などで国際規範を無視してきた。時にトランプ米大統領に心変わりがあったとしても、彼の政権や米議会はもはや、これら傲慢な覇権主義行動を許さず、米国民の対中認識は後戻りできそうにない。  なかでも、クリストファー・フォード国務次官補が9月11日、中国の「地政学的な競争戦略」に対応して、各省、各局が政府全体で取り組んでいる...

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国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    リーマン・ショック後の多国間協調を図る20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は調整機能が低下しており、米中対立の行方が会議全体の流れを支配する。再選を目指すトランプ大統領は米中首脳会談での決裂を避け、関税戦争では表面的な歩み寄りを図るだろう。だが、ハイテク覇権争いは持ち越され、相互不信から「価値観の衝突」へと突き進んで、対立がより深く長...

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国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    ホルムズ海峡近くで日本のタンカーなど2隻を攻撃したのは誰か。米国はイランを非難し、イランは関与を否定する。安倍晋三首相のイラン訪問中に起きたこの事件は、イランと日本を引き裂こうとする勢力の仕業であろう。しかし、安倍首相のイラン外交は、米国とイランによる偶発戦争を回避し、緊張を緩和するための重要な一歩であった。両国間の緊張を高め、軍事衝突を...

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国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    世界を震撼させた天安門の虐殺事件は、中国共産党100年史の中で今も隠された歴史の暗部である。1989年6月、共産党の人民解放軍は学生と市民に銃を発砲し、戦車で民主化運動を蹂躪じゅうりんした。天安門事件から30年を経て、その全体主義的な支配構造は少しも変わっていない。やがて経済力と軍事力で米国をしのぐとの予測があり、果たして世界は中国を頂点...

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 米ソ冷戦の末期、中国共産党は天安門広場で起きた学生の民主化運動を銃と戦車で踏みつぶした。あれから30年を経て、中国は経済力、軍事力とも米国に迫るほどの大国になっても、一党独裁の支配構造とその拡張主義は恐ろしいほど変わっていない。  その異形の中国との大国間競争について、米国務省のカイロン・スキナー政策企画局長は最近、ワシントンの安全保障フォーラムで、「異なる文明、異なるイデオロギーとの戦いであ...

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 4月下旬に北京で開催予定の「一帯一路国際協力フォーラム」に向けて、参加予定の受入国の間にくすぶる不満が表面化しそうな気配だ。  2年前の第1回フォーラムは、インフラ投資への期待感から130カ国以上が北京に代表を送り込んで、巨大な外交ショーを繰り広げた。ところが今回は、すでに投資を受け入れた国々から、中国による略奪的な融資案件と地政学的な野心の道具にされたことへの警戒感が強い。  習近平国家主...

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 米国の政府・議会が一丸となって推進するアジア再保証戦略がスタートして、中国の習近平政権を慌てさせている。この裏付けとなるのが「アジア再保証推進法」(ARIA)で、米上下両院により全会一致で可決され、トランプ大統領が昨年12月31日に即時署名した。このARIAは、米中貿易戦争がハイテク覇権争いの様相を濃くしているところから、トランプ政権が安易な取引や妥協をしないようクギを刺した形だ。  法案の成...

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国基研企画委員・主任研究員 湯浅博    トランプ米政権の対外政策は、安全保障と通商の両面から中国と対決し、「新冷戦」の到来を覚悟したかのようだ。ペンス副大統領がワシントンで4日行った演説をもって、レーガン元大統領がソ連を「悪の帝国」と呼んだ瞬間を彷彿とさせるとの論評は妥当であろう。米国はこれまで、国際秩序を無視した中国の影響力拡大を見過ごしてきたが、ペンス演説は「それらの日々を...

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国基研企画委員・主任研究員 湯浅博    帝国主義外交の典型は、大きな軍事力を振りかざしながら、にこやかに相手国を懐柔する狡猾こうかつさではなかったか。ロシアのプーチン大統領はまさに、「東方経済フォーラム」に参加した安倍晋三首相をソフトな声で迎えながら、その背後で中国との合同軍事演習「ボストーク2018」をぶつけてきた。中露関係の強さを合同演習で敵対国の米国に誇示しつつ、その同盟...

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国基研企画委員 湯浅博    確かに、米朝首脳会談を開催した6月12日は、歴史的な1日になった。劇場型の政治指導者2人が「朝鮮半島の完全非核化」へ向けて原則的に合意したからだ。トランプ米大統領は会談後の記者会見で、当初もくろんだ大量破壊兵器の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」が、共同声明に書き込まれていない点を指摘され、「時間がなかった」といら立ち気味に答えた。不完全であ...

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国基研企画委員 湯浅博    中国が主導する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の野望が、ついに逆回転を始めた。構想に乗りかけていたマレーシアで、マハティール新政権がマレー半島高速鉄道計画の中止を表明したからだ。途上国によくある権力の腐敗、宗教の対立、経済の混乱は、拡張主義の中国が構想を押し付ける絶好の機会を提供する。ナジブ前政権下のマレーシアはまさに政府債務が国内総生産...

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 中国の経済圏構想の「一帯一路」は、誰しも現代版のシルクロードとして陸と海から西方へ向かうものと考える。実際に習近平政権は、米国との摩擦を避けるためもあって、古代シルクロードの沿線国にインフラ投資を繰り返してきた。ところが、中国は米国の「裏庭」にあたる中南米にも食指を伸ばして、ここに「一帯一路」をかぶせようとしている。そこには経済的理由のほかに、米国の関心を自国周辺に移させ、アジアで自由に行動させ...

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国基研企画委員 湯浅博    米英仏による今回のシリア攻撃は、世界への関与にうんざりしていた米国が「自由世界の戦略本部」として踏みとどまった証しではないか。この攻撃で、シリアを支援するロシアを直接的に抑止し、中国と北朝鮮を間接的に牽制した。国際秩序は今、これら独裁色の強い権威主義的政権からの挑戦を受けている。しかも、いくつかの危機は、米国に不都合な時期に同時発生する複雑さだ。...

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 中国の習近平政権による現代版シルクロードの経済圏構想「一帯一路」の正体が、ようやく見えてきたのではないか。拡張主義の中国にとって、途上国によくある権力の腐敗、宗教の対立、経済格差の混乱は格好のターゲットになる。その地が、戦略的要衝であれば、間違いなく手を突っ込んでくるだろう。インド洋に浮かぶ小国モルディブは、その受難をまともに被った。  美しいサンゴ礁と1000以上の島々からなるモルディブは、...

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国基研企画委員 湯浅博    中国の習近平政権による現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」(BRI)が東南アジアから南西アジアにかけて難航している。中国は相互利益を強調するが、実態は「略奪経済」ではないかという疑いが広がっているからだ。  BRIは、陸のシルクロードである「帯」と、海のシルクロードである「路」の二つの経済圏を築き、これを一体化して、米国を凌駕するような超大...

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