公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

湯浅博の記事一覧

国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    歴史家のナイル・ファーガソンは、過去のパンデミック(感染症大流行)を振り返って、未知のウイルスが社会の階級間と、民族の間にある既存の緊張を悪化させると指摘する。なるほど習近平中国国家主席は、武漢ウイルスの処理のまずさから拡散を許し、内外の批判にさらされた。そのため「手負いの龍」は、自らの弱みを見せまいと、周囲に対して凶暴さを増してくる。香...

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国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    中国の習近平国家主席は「救国の指導者」なのか「抑圧の独裁者」なのか。22日開幕した中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)で、習主席が狙ったのはもちろん前者としての位置付けだが、国際社会からは武漢発コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を機に、後者としての厳しい目が向けられている。とくに、習政権がウイルス発生を隠蔽して感染を拡...

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国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    中国・武漢発のパンデミック(感染症大流行)が炙り出したのは、詫びるどころか恩に着せる中国共産党の行動様式であった。自由世界を先導してきた米国が、武漢肺炎の荒波に翻弄されているうちに、中国はその元凶であることを棚上げして、「新型コロナウイルス制圧の勝者」であることを宣伝した。米欧の悲観論者は、パンデミック危機が世界秩序を再編する転換点になる...

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国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    不都合な真実を隠そうとするのは、全体主義の本性なのだろう。たった一つのコラムの見出しを理由に、中国は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の3人の北京駐在記者を追放した。新型コロナウイルスの感染拡大を独裁政治の限界として論評するメディアを決して許さないとの意思の表明だ。それは半世紀前に、産経新聞はじめ3紙の日本人特派員を追放した毛...

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 全面戦争に至る寸前に小康を保つことができたのは、そこに「悲劇の代償」があったからではないのか。イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官が年明けの3日、イラクのバクダッド空港でアメリカ軍の無人機攻撃で殺害され、国際社会はアメリカとイランの報復戦争の行方に固唾をのんだ。  イランのミサイルによる報復攻撃に、アメリカ軍が反撃を自制して戦争を回避しようとしたのは確かだ。だが、それ以上に抑制機能が働いたのは、...

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 中東から東アジアにかけて世界のパワーバランスが大きく揺れている。反米で利害が一致する中国、ロシア、イランの3カ国が昨年暮れの4日間、中東のオマーン湾沖で展開した初の合同軍事演習は、西側主要国に少なからぬ衝撃を与えた。  ここ数年来、中露の軍事協力は格段に進んでいたことは明らかだ。これに核開発の野望をもつイランが加わったことで、「悪の枢軸」が再編されたかのような論評も出てきた。米軍がイラン革命防...

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 英国の総選挙でボリス・ジョンソン首相率いる保守党の圧勝は、「決められない政治」に辟易していた有権者の選択としか思えない。3年半も続いたブレグジット騒動は、英国社会を分断したうえ経済の足を引っ張るなど、ポピュリズム政治のツケがいかに大きいかを見せつけた。これにより、英国が欧州連合(EU)から離脱することが決定的になった。  EU離脱後の英国の将来を見据えれば、ジョンソン政権は米英の「特別な関係」...

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国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    残虐な過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いで、クルド人は米軍と生死を共にする同盟相手ではなかったか。シリアからの米軍撤退は、そのクルド人を見捨てるもので、トランプ政権がいかに重要な同盟関係にあっても、無慈悲に切り捨てかねないことを示した。東アジアの核保有国に囲まれた日本にとって、米国は比類のない同盟国であることに変わりはない。しかし、...

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 中国は繁栄するにつれて周辺国を脅し、南シナ海の人工島を軍事化し、略奪的な貿易慣行などで国際規範を無視してきた。時にトランプ米大統領に心変わりがあったとしても、彼の政権や米議会はもはや、これら傲慢な覇権主義行動を許さず、米国民の対中認識は後戻りできそうにない。  なかでも、クリストファー・フォード国務次官補が9月11日、中国の「地政学的な競争戦略」に対応して、各省、各局が政府全体で取り組んでいる...

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国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    リーマン・ショック後の多国間協調を図る20カ国・地域首脳会議(G20サミット)は調整機能が低下しており、米中対立の行方が会議全体の流れを支配する。再選を目指すトランプ大統領は米中首脳会談での決裂を避け、関税戦争では表面的な歩み寄りを図るだろう。だが、ハイテク覇権争いは持ち越され、相互不信から「価値観の衝突」へと突き進んで、対立がより深く長...

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国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    ホルムズ海峡近くで日本のタンカーなど2隻を攻撃したのは誰か。米国はイランを非難し、イランは関与を否定する。安倍晋三首相のイラン訪問中に起きたこの事件は、イランと日本を引き裂こうとする勢力の仕業であろう。しかし、安倍首相のイラン外交は、米国とイランによる偶発戦争を回避し、緊張を緩和するための重要な一歩であった。両国間の緊張を高め、軍事衝突を...

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国基研企画委員兼主任研究員 湯浅博    世界を震撼させた天安門の虐殺事件は、中国共産党100年史の中で今も隠された歴史の暗部である。1989年6月、共産党の人民解放軍は学生と市民に銃を発砲し、戦車で民主化運動を蹂躪じゅうりんした。天安門事件から30年を経て、その全体主義的な支配構造は少しも変わっていない。やがて経済力と軍事力で米国をしのぐとの予測があり、果たして世界は中国を頂点...

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 米ソ冷戦の末期、中国共産党は天安門広場で起きた学生の民主化運動を銃と戦車で踏みつぶした。あれから30年を経て、中国は経済力、軍事力とも米国に迫るほどの大国になっても、一党独裁の支配構造とその拡張主義は恐ろしいほど変わっていない。  その異形の中国との大国間競争について、米国務省のカイロン・スキナー政策企画局長は最近、ワシントンの安全保障フォーラムで、「異なる文明、異なるイデオロギーとの戦いであ...

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 4月下旬に北京で開催予定の「一帯一路国際協力フォーラム」に向けて、参加予定の受入国の間にくすぶる不満が表面化しそうな気配だ。  2年前の第1回フォーラムは、インフラ投資への期待感から130カ国以上が北京に代表を送り込んで、巨大な外交ショーを繰り広げた。ところが今回は、すでに投資を受け入れた国々から、中国による略奪的な融資案件と地政学的な野心の道具にされたことへの警戒感が強い。  習近平国家主...

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 米国の政府・議会が一丸となって推進するアジア再保証戦略がスタートして、中国の習近平政権を慌てさせている。この裏付けとなるのが「アジア再保証推進法」(ARIA)で、米上下両院により全会一致で可決され、トランプ大統領が昨年12月31日に即時署名した。このARIAは、米中貿易戦争がハイテク覇権争いの様相を濃くしているところから、トランプ政権が安易な取引や妥協をしないようクギを刺した形だ。  法案の成...

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国基研企画委員・主任研究員 湯浅博    トランプ米政権の対外政策は、安全保障と通商の両面から中国と対決し、「新冷戦」の到来を覚悟したかのようだ。ペンス副大統領がワシントンで4日行った演説をもって、レーガン元大統領がソ連を「悪の帝国」と呼んだ瞬間を彷彿とさせるとの論評は妥当であろう。米国はこれまで、国際秩序を無視した中国の影響力拡大を見過ごしてきたが、ペンス演説は「それらの日々を...

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国基研企画委員・主任研究員 湯浅博    帝国主義外交の典型は、大きな軍事力を振りかざしながら、にこやかに相手国を懐柔する狡猾こうかつさではなかったか。ロシアのプーチン大統領はまさに、「東方経済フォーラム」に参加した安倍晋三首相をソフトな声で迎えながら、その背後で中国との合同軍事演習「ボストーク2018」をぶつけてきた。中露関係の強さを合同演習で敵対国の米国に誇示しつつ、その同盟...

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国基研企画委員 湯浅博    確かに、米朝首脳会談を開催した6月12日は、歴史的な1日になった。劇場型の政治指導者2人が「朝鮮半島の完全非核化」へ向けて原則的に合意したからだ。トランプ米大統領は会談後の記者会見で、当初もくろんだ大量破壊兵器の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」が、共同声明に書き込まれていない点を指摘され、「時間がなかった」といら立ち気味に答えた。不完全であ...

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国基研企画委員 湯浅博    中国が主導する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の野望が、ついに逆回転を始めた。構想に乗りかけていたマレーシアで、マハティール新政権がマレー半島高速鉄道計画の中止を表明したからだ。途上国によくある権力の腐敗、宗教の対立、経済の混乱は、拡張主義の中国が構想を押し付ける絶好の機会を提供する。ナジブ前政権下のマレーシアはまさに政府債務が国内総生産...

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 中国の経済圏構想の「一帯一路」は、誰しも現代版のシルクロードとして陸と海から西方へ向かうものと考える。実際に習近平政権は、米国との摩擦を避けるためもあって、古代シルクロードの沿線国にインフラ投資を繰り返してきた。ところが、中国は米国の「裏庭」にあたる中南米にも食指を伸ばして、ここに「一帯一路」をかぶせようとしている。そこには経済的理由のほかに、米国の関心を自国周辺に移させ、アジアで自由に行動させ...

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国基研企画委員 湯浅博    米英仏による今回のシリア攻撃は、世界への関与にうんざりしていた米国が「自由世界の戦略本部」として踏みとどまった証しではないか。この攻撃で、シリアを支援するロシアを直接的に抑止し、中国と北朝鮮を間接的に牽制した。国際秩序は今、これら独裁色の強い権威主義的政権からの挑戦を受けている。しかも、いくつかの危機は、米国に不都合な時期に同時発生する複雑さだ。...

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 中国の習近平政権による現代版シルクロードの経済圏構想「一帯一路」の正体が、ようやく見えてきたのではないか。拡張主義の中国にとって、途上国によくある権力の腐敗、宗教の対立、経済格差の混乱は格好のターゲットになる。その地が、戦略的要衝であれば、間違いなく手を突っ込んでくるだろう。インド洋に浮かぶ小国モルディブは、その受難をまともに被った。  美しいサンゴ礁と1000以上の島々からなるモルディブは、...

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国基研企画委員 湯浅博    中国の習近平政権による現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」(BRI)が東南アジアから南西アジアにかけて難航している。中国は相互利益を強調するが、実態は「略奪経済」ではないかという疑いが広がっているからだ。  BRIは、陸のシルクロードである「帯」と、海のシルクロードである「路」の二つの経済圏を築き、これを一体化して、米国を凌駕するような超大...

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 トランプ米大統領が居眠りしていようと、中国の習近平国家主席が毛沢東のような権力を握ろうと、インド太平洋地域の新たな安全保障の枠組みは着実に動きはじめた。マルコム・ターンブル豪首相の日本訪問と同じ今月18 日に、ニューデリーでも日米豪印の海軍トップが参加して連携の協議を開始したからだ。  とくに、ターンブル首相の訪日は、最大の貿易相手国・中国に気兼ねしつつも、日米豪印の「安全保障ダイヤモンド」に...

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国基研企画委員 湯浅博    ベトナム中部ダナンで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、「インド太平洋」戦略を掲げて巻き返しを図る米国と、「一帯一路」構想の実利で磁場を広げる中国が激突した。とくに環太平洋経済連携協定(TPP)離脱でアジア関与が疑われたトランプ米大統領は、11月10日の演説で初めて「インド太平洋」という地理的概念を多用し、経済を語りながら安全保障への関...

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国基研企画委員 湯浅博    北朝鮮危機の下で安倍晋三首相は衆院解散を選択した。野党は即座に「大義がない」「政治空白をつくる」と批判を浴びせた。すると朝日新聞が先回りして、学校法人森友学園への国有地払い下げ問題や加計学園の獣医学部新設問題の「疑惑隠し」だと強調し、野党に政権攻撃の手本を示した。それまで野党は、森友・加計問題で「衆院を解散して信を問え」と主張してきた手前、すぐに...

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国基研企画委員 湯浅博    かつてない逆風の中で、第3次安倍第3次改造内閣がスタートした。気になるのは、安倍晋三首相による憲法改正の表明に躊ちゅう躇ちょがみられることだ。学校法人加計学園の獣医学部新設問題への対応や国会審議の強引な運びへの批判を受け、内閣改造後初の記者会見の冒頭発言では改憲構想への言及を避けていた。記者の質問を受けて初めて「スケジュールありきではない」と述べ...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    責任ある政治家は、自衛隊の「隠蔽体質」などをめぐり空論をもてあそぶことをやめ、日本が直面する安全保障上の危機に向き合うべきである。北朝鮮は日本の政局をあざ笑うかのように、再び大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。射程が1万キロを超えて米国本土に達するとみられることから、米国の対北攻撃が現実味を帯びてきた。ところが、至近距離に...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    骨の髄まで大国主義の中国は、二国間協議が思い通りにならないと、共同文書を拒否し、記者会見も平然とボイコットする。ワシントンで開催された閣僚レベルの米中外交・安全保障対話がそれだった。同じ時期にハノイで予定されていた中国とベトナムの国防当局高官による国境防衛交流プログラムも、中国側が一方的にキャンセルした。ともに南シナ海の一時の静...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    戦争の犠牲もいとわぬ「瀬戸際政策」は、北朝鮮が長く対米外交に使ってきた得意手である。それを今回の朝鮮半島危機では、逆に米国のトランプ政権が用いているように見える。オバマ前政権が「戦略的忍耐」を名目に、北の核開発を放置してきたツケの処理である。ティラーソン国務長官が国連安保理閣僚級会合で「いま行動することに失敗すれば災いを招く」と...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    3月に東アジアを初訪問した米国のティラーソン国務長官は、北朝鮮に対する「戦略的忍耐は終わった」と宣言した。では、北朝鮮の核開発を断念させる手立ては、本当に残されているのだろうか。オバマ前政権の「戦略的忍耐」という不作為のおかげで、北朝鮮はすでにソウル、東京、グアムを破壊する能力をほぼ手中に収めている。長官が「あらゆる選択肢を検討...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    予測不能のトランプ米政権下で、日米同盟はどのように生き残るのか。トランプ大統領は就任演説で「古くからの同盟を強化する」と述べ、安倍晋三首相も日米同盟を「永遠の同盟」と位置づけている。しかし、大統領は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を葬り、1980年代の古いイメージで日本の不公正貿易をなじるばかり。対中抑止に欠かせない同盟の行...

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 このような首脳外交ができるのは、日本の歴代首相の中でも卓越した戦略観の持主しかいないだろう。安倍晋三首相の豪州、東南アジアの4カ国訪問は、南シナ海を結節点としてインド洋と太平洋に橋を架けるための戦略外交である。首相が今回の歴訪で伝えようとしたのはシンプルな2つの力強いメッセージであり、その結束力をもって米国の新政権を動かそうとしている。  共同対処のターゲットとなるのは、南シナ海で7つの人工島...

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 中国は年明けから海軍初の空母「遼寧」を使った宣伝戦に余念がない。南シナ海で艦載機による離発着訓練を、連日テレビに映し出し、領海や海洋権益で決して譲歩しないことを内外に示した。日米が年末にハワイの真珠湾で「和解力」を発信しているときに、中国はわざわざ西太平洋にまで空母を押し出して「敵対力」を誇示した。  狙いは米国の新しい政権に向けた危険なテストなのか、あるいは今年秋に開催する中国共産党大会に向...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    なんといっても、安倍晋三首相とプーチン大統領の日露首脳会談は、日本にとって最悪のタイミングで行われた。「プレス向け声明」のどこを見ても、北方4島にかかわる「領土」も「国境」という記述がない。共同経済活動が最大の成果というのなら、ロシアのプーチン大統領の笑い声が聞こえてきそうだ。  ●安倍首相の目論見は雲散霧消!  安倍首...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    米国の次期大統領に決まったドナルド・トランプ氏の世界観や戦略観がいまだに分からない。公約通りに偏狭な米国第一主義を貫けば、東アジアでは「米国離れ」が進み、情勢は不安定化するだろう。もちろん、米国のプレゼンス低下は、中国が地域覇権を固めることに直結する。  安倍晋三首相の素早い対応は、米国を孤立主義への傾斜から引き戻す一定の役割...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    内外の新聞、雑誌、ネットの世界で、南シナ海や東シナ海での米中の軍事行動が報じられない日はほとんどない。中国は年明けから南シナ海の人工島に軍用機を着陸させ、2月に入って南シナ海のパラセル諸島に地対空ミサイルを配備し、さらにスプラトリー諸島にはレーダー施設の構築を進めつつある。中国はいずれのケースも、米国の偵察衛星を意識して、既成事実を...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    世界の目が中国による南シナ海の「独り占め」戦術に注がれている隙に、東シナ海の尖閣諸島周辺で中国公船がプレゼンスを高めている。中国人民解放軍が採用する孫子の兵法「虚実篇」は、相手の目をくらまして戦うことを旨とするから、日本は油断なく備えを固めるべきである。2014年以降、安倍晋三首相と習近平国家主席が首脳会談を重ね、日中関係が好転しつ...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    東南アジアの南シナ海沿岸国が、自国の排他的経済水域(EEZ)で違法操業をする中国漁民を逮捕、起訴しても、中国はこれまでになく抑制的になった。2010年に東シナ海の尖閣諸島周辺で起きた中国漁船体当たり事件で、日本に抗議や報復をしたのとは明らかに違う。露骨な威嚇を抑え、口調も穏やかだ。  ●カネによる支配  しかし、これをもって...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    中国が脚本、演出から主役まで独占する「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)が、どうやら危険な船出をするようだ。今年10月に北京で、20カ国以上の参加国が設立に向けて基本合意をした。アジア地域で実績のある日本主導のアジア開発銀行(ADB、本部マニラ)に対抗し、中国主導でインフラの整備に乗り出した。  アジア各国が躍進する中進国として...

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