公益財団法人 国家基本問題研究所
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今週の直言

湯浅博の記事一覧

国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博     新興大国の5カ国が、戦後の国際通貨秩序であるブレトンウッズ体制に挑戦を開始した。主導したのは中華帝国の夢を見る中国である。5カ国は頭文字からBRICSと呼ばれるブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで、途上国のインフラ整備を支援する「新開発銀行」の設立を決めた。中国は脚本と監督を用意して主導権を握り、やがては、資金支援に名を借...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    南シナ海に「9段線」と呼ばれる境界線を勝手に引き、沿岸国から島々を分捕る振る舞いは、まるで19世紀の帝国主義のそれである。フィリピンから強引に島を奪取した中国が、今度はベトナムと争うパラセル諸島で、石油掘削装置(リグ)の設置を強行した。リグを護衛するために、7隻の軍艦を含む80隻という異常な数の艦船を動員している。元来、争いごと...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    憲法を国民の手に取り戻すことを狙いに、産経新聞が「国民の憲法」要綱(起草委員長・田久保忠衞国基研副理事長)を世に問うて1年が過ぎた。今度はその英訳版を出して、なぜ、いまの日本に新しい憲法が必要なのかを内外に訴えている。「性奴隷」や「戦争神社」など日本を貶める言葉が中韓に使われる現状に対し、この英訳版で「日本がいかなる国を目指して...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    西太平洋の海洋覇権を狙う中国が、対米核戦略がらみで南シナ海を聖域化することが現実味を帯びてきた。米太平洋軍のロックリア司令官が3月25日の上院軍事委員会の公聴会で、中国は射程7500キロ以上の長距離弾道ミサイルを搭載した潜水艦を年内に完成させるとの見通しを明らかにしたからだ。  米議会の諮問機関である米中経済安全保障調査委員会...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    久しぶりに中国の外務省が元気だ。安倍晋三首相による昨年末の靖国神社参拝で、外交的な巻き返しのチャンス到来と判断したのだろう。全世界の中国大使に訓令を出し、「安倍首相が軍国主義の亡霊を呼び起こした」(劉暁明駐英大使)との非難キャンペーンを展開している。常識的に考えれば、2世代も前の日本軍国主義より、現役の中華帝国的な行動の方がよほ...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    自民党の安倍晋三政権は発足から半年で参院選挙に圧勝し、ついに衆参のねじれ現象を解消した。安倍首相が自ら衆院解散を仕掛けない限り、向こう3年間は国政選挙がない。貴重なこの期間に、首相がどこまで持論の「強い日本」を取り戻せるかが焦点になる。参院選後に安倍政権が取り組むべき課題は多い。内政では経済成長戦略、消費税の増税、環太平洋戦略的...

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国基研企画委員・産経新聞特別記者 湯浅博    戦うべき時に攻めの姿勢を放棄すれば、政局運営の主導権が離れていくことは憲政の常である。自民党が参院選の公約原案に憲法改正の発議を定める96条の先行改正を盛り込まず、守りに入ってしまった。安倍晋三首相は憲法改正で「強い日本」にするとの決意を前面に打ち出して参院選に臨もうとしていたのではなかったのか。  ●揺らぐ指導力への期待...

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産経新聞特別記者・国基研企画委員 湯浅博    敗戦後に、日本を封じるためにつくられた日本国憲法は、手つかずのまま66年を生きた。当時の占領軍の指示でつくられた憲法は、天皇の地位を〝人質〟に、第9条で国防まで放棄するよう迫られた。日本無力化の壮大な仕掛けが占領憲法の眼目なのに、日本人はそれを「平和憲法」と読み替えて神棚に祀(まつ)った。気がつけば、改正のない憲法としては日本の...

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産経新聞特別記者・国基研企画委員 湯浅博    日米首脳会談でみせた安倍外交が、「周到な準備」と「一気の決断」で、オバマ大統領から満額回答を引き出したことを高く評価する。安倍晋三首相の積極姿勢が日米同盟の「きずな復活」を強く印象づけ、対中抑止力を確かなものにした。  ●TPP参加へ環境整う  安倍首相にとっての難関は、米国主導の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への交渉...

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