2月6日、尖閣諸島周辺で活動している中国海警編隊が交代した。新たに尖閣接続水域に入った4隻は全て76ミリ砲を搭載している。接続水域に入った4隻全部が76ミリ砲搭載船であるのは、昨年12月に続き2回目である。12月に日本側の反応を見たところ、強い反発がなかったため、更に威圧的な行動に出てきた可能性がある。
●領海侵入うかがう76ミリ砲編隊
12月6日に尖閣接続水域に入った中国海警の76ミリ砲搭載船4隻は、本年1月8日まで活動し、領海侵入はせずに中国へ戻った。1月に領海侵入をしたのは、1月8日に新たに交代した76ミリ砲搭載船1隻と30ミリ砲搭載船3隻の計4隻であった。尖閣周辺で活動する海警編隊は通常1か月交代であり、定期的に月1回、4隻で領海侵入を行い、新たな編隊と交代する。
12月に初めて76ミリ砲搭載船4隻で活動した編隊が領海侵入をせずに帰港したのは、日本がどのような反応をするか見ていた可能性がある。特にこの時期、中国はトランプ米新政権発足を前に日本と関係改善を図っており、それへの影響の度合い、また中国海警船に対抗した海上保安庁巡視船の装備増強へ繋がる可能性等を見極めようとしたのであろう。
1月8日から活動した76mm砲搭載船1隻と30ミリ砲搭載船3隻の編隊は、2月6日に76ミリ砲搭載船4隻の編隊と交代した。新たな4隻は12月に接続水域に入った4隻と同一である。
2月はこの4隻が領海侵入をする可能性がある。12月からの1か月間、76mm砲搭載船4隻で接続水域を航行しても、日本側から強い反発がなかったため、日中関係への影響や日本の尖閣防衛態勢強化に繋がる恐れはないと判断し、尖閣周辺海域での活動を更に一歩強化する決心をしたのではないか。
●日本政府は変化を国民に知らせよ
このような動きは、一つ一つ小さな行動を相手の反応を見つつ積み重ね、既成事実化していくという中国の典型的なサラミ戦術である。尖閣周辺海域で活動する海警船の戦力は逐次強化されている。40ミリ砲しか装備していない海上保安庁巡視船がより射程の長い76ミリ砲搭載船4隻に射程外から砲撃される可能性は既に現実のものとなっている。日本はこの一つ一つを常に監視し、それに反応し、行動していかなければ、有事の際は「時すでに遅し」となりかねない。日本政府は中国のそうした変化を国民に知らせ、警鐘を鳴らすべきである。(了)
第574回 中国海警船の活動が強化!? 日本の出方をうかがう
尖閣沖での中国海警船の活動がさらに強化。今まで以上に強力な砲を搭載した海警船が接続水域を航行、日本の出方をうかがっている。中国はサラミスライス戦略を確実に進めている!中川研究員が解説します。