公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

木村汎の記事一覧

 7月23日と8月2日に起こった2つの事件は、北東アジアでの地殻変動を象徴的に物語っている。日本領土の竹島周辺で韓国軍機がロシア軍機に警告射撃をした事件、ロシアのメドベージェフ首相による通算4回目の北方領土訪問である。  果していつごろから、このような変動が発生しているのか。正確には断定しかねるが、とりわけトランプ大統領の就任(2017年1月)以降、顕著になりつつあることは間違いない。  ...

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北海道大学名誉教授 木村汎ひろし    「一切の前提条件を付けずに年内に平和条約を結ぼう」。ロシアのプーチン大統領は、ウラジオストク開催の「東方経済フォーラム」で、安倍晋三首相にこう提案した。この発言は、次の疑問を強める。本人が自慢するように、果たしてプーチン氏をレニングラード(現サンクトペテルブルク)国立大学の法学部出身者とみなしてよいのか。  ●一知半解  プーチン氏...

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北海道大学名誉教授 木村汎ひろし    3月20日、東京で日露間の「2プラス2」会合が開かれる。「2プラス2」とは何か? 外交、安全保障分野における2国間の協力や共通の戦略について話し合う定期協議の枠組みを指す。日本とロシアから外相と防衛相という閣僚2人ずつが参加するので、「2プラス2」と略称される。  2013年4月末に安倍晋三首相がモスクワを訪問した際に、日露両国は「2プラ...

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北海道大学名誉教授 木村汎    来る12月15日は、日ロ関係の分水嶺となろう。安倍晋三首相は、地元山口県を訪問するロシアのプーチン大統領との間で、北方4島の返還を事実上断念するに等しい共同声明を発表するだろうからである。  もとより、同声明には、歯はぼ舞まい・色しこ丹たんの2島の対日引き渡し後も、日ロ両国が国くな後しり・択えと捉ろふに関する交渉を継続するという文言が入れられる...

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北海道大学名誉教授 木村汎    鳩山由紀夫元首相は3月11~12日、ロシア政府からビザを取得して、クリミアに入った。日本政府はウクライナのクリミア自治共和国のロシアへの併合を承認していないので、元首相による訪問はわが国の外交的な立場を侵犯する行為に他ならない。しかも、鳩山元首相は滞在中、クリミアが「ウクライナの憲法に則って、民主的、平和裡にロシアへと編入された」ことを力説した。...

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