公益財団法人 国家基本問題研究所
https://jinf.jp/

国基研ろんだん

太田文雄の記事一覧

 14日にサウジアラビア東岸の国営石油会社施設二箇所が数十機の無人機(ドローン)と巡航ミサイルによって攻撃を受けた。イエメンの親イラン武装組織フーシ派が犯行声明を出したが、ポンペオ米国務長官は攻撃にはイランが関与していると主張し、トランプ米大統領は備蓄石油の放出を決断した。サウジも、攻撃したドローンがイラン製と断定している。  15日のニューヨーク市場の原油先物価格は一時1バレル63ドル代と先週...

続きを読む

 日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を韓国が一方的に破棄を決めたことにより、米韓関係も極めて厳しくなってきた。嘗て1970年代末期に米大統領となったカーター氏は在韓米軍の撤退を選挙公約に掲げたものの実現できなかったが、韓国の文在寅現政権と同じ左翼政権であった盧武鉉政権時代の2004年に米国は、在韓米陸軍の主力である第二歩兵師団隷下の一個旅団をイラクに派遣して、その後、韓国に復帰させていない...

続きを読む

 米国防大学は先ごろ、2015年から始まった中国人民解放軍の改編と、それによって生じた事象を纏めた『習主席の人民解放軍再建(Chairman Xi Remakes the PLA)』を出版した。厚さ6cmもの詳細な報告だが、それによれば、2003年に政治工作条例によって規定された世論戦、心理戦、法律戦の「三戦」を司る台湾対岸の福建省福州市にある第311基地は、改編後、電子戦、サイバー戦、宇宙戦を司...

続きを読む

 香港では、容疑者の身柄を中国本土に送ることができる法令の撤回を求めて住民の4人に1人が参加するデモが日に日に激化している。警察だけでなく武装警察や人民解放軍が出動する可能性も出てきた。香港には約6000人の人民解放軍が常駐しており、さらに約2万の人民解放軍が広東省の隣接省に待機、加えて60万の人民解放軍と66万の武装警察等準軍事組織が投入可能とされている。   北京政府としては10月1日の建国...

続きを読む

 今月の米韓合同軍事演習前から北朝鮮は弾道ミサイルや新型多連装ロケット砲を発射し続けている。このうち10日と16日に発射した飛翔体は、北朝鮮公開の「新型兵器システム」映像が正しいとすれば、これは韓国が保有する弾道ミサイル玄武2A、即ち米国の陸軍戦術ミサイルシステム(Army Tactical Missile System-ATACMS-)に酷似している。  また7月末に発射された弾道ミサイルに関...

続きを読む

 韓国をホワイト国のリストから除外したことで、韓国の康京和外相は1日、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を報復措置として示唆した。GSOMIAが合意されたのは3年前の2016年に過ぎない。それまで協定なしでやってきたことを考えれば我が国の軍事情報収集上、決定的に困るかと言えばそんなことはない。GSOMIAのメリットは双方にあるのであって、日韓の一方だけが得をするという性質のものではな...

続きを読む

国基研企画委員兼研究員 太田文雄    24日に4年ぶりの中国国防白書が公表された。2015年末以降の人民解放軍の機構改革後、初めてまとめられた白書である。そのためか「新時代における中国の国防」というタイトルになっており、改革後に新設された五つの戦区内にある集団軍の番号や艦隊名が示されている。その意味では多少透明度が増したと言えるが、西側の同種の白書に比べれば透明度は極端に低い。...

続きを読む

 7月21日夕に放映されたNHK番組「これでわかった!世界のいま」で、トルコの問題を扱っていたが「トランプ米大統領がトルコへの地対空ミサイル、パトリオットの売却にノーを突きつけたために、トルコがロシアからS-400地対空ミサイルを購入せざるを得なくなった」と報じていた。  明らかな間違いである。パトリオットをトルコに売却しなかったのはオバマ政権である。これが今日のボタンの掛け違いの発端になってい...

続きを読む

 トランプ米大統領の「日米同盟は不公平」発言を受けて、NHKのBS1が7月10日放送した「キャッチ!世界のトップニュース」で外交・安全保障担当の増田剛解説委員が「日米安保は、アメリカにとって、不公平どころか、測り知れないメリットをもたらしていると思います。日本政府は、トランプ大統領に、こうした同盟の内実をきちんと説明し、誤解を解く必要があります」と主張していた。  増田解説委員は嘗て、日本が北大...

続きを読む

国基研企画委員兼研究員 太田文雄    9日、ダンフォード米統合参謀本部議長(海兵隊大将)が、ペルシャ湾の出入り口のホルムズ海峡や紅海の出入り口のバブエルマンデブ海峡におけるタンカーなどの航行の安全確保のため、数週間以内に同盟諸国の軍と有志連合を結成し海上護衛活動を行う考えを明らかにした。議長は「指揮統制を行う旗艦は米国が提供するが、実際の哨戒と護衛は各国によって行われる」として...

続きを読む

 複数の米メディアによると、米国防総省当局者は4日までに、中国が南シナ海で6月末に対艦弾道ミサイルの発射実験を行ったことを明らかにした。同海域で中国のミサイル実験が確認されるのは初めてとみられる。報道によると、ミサイルは南沙(英語名スプラトリー)諸島近くの「人工構造物」から発射された。「空母キラー」と呼ばれるDF-21Dか、グアムキラーと呼ばれるDF−26かのどちらかと思われる。DF-21Dの場合...

続きを読む

 6月下旬にエストニアでの米国防大学(NDU)卒業生セミナーに参加し、欧州各国のNDU卒業生との会談で中国の欧州進出について詳細を聞くことができた。それらを総括すると、中国のやり方は、まさに『孫子の兵法』にある「避実撃虚(強い敵をさけて相手の虚をつく)」と「伐交(敵と同盟国の外交を分断)」の実践といえる。  ●中東欧に的を絞る狙い  中国は国力や国内基盤が確固としている西欧を避け、旧ソ連の...

続きを読む

 報道によれば、トランプ米大統領は、無人偵察機の撃墜に対する報復としてイランのレーダー施設等3カ所に対する攻撃を承認したものの、国防総省の将官が「攻撃によるイラン人死者は約150名」としたところ「(無人機を失ったことに)比例した反撃にはならない」として攻撃10分前に撤回したとされている。  敢えて言えば、報復の連鎖によって米国が中東に足を取られれば、結果として中国を利するという事をも考慮して攻撃...

続きを読む

 日本の海運会社が運行するケミカルタンカー「コクカ・カレイジャス」が13日、ホルムズ海峡近くのオマーン湾で攻撃を受け、船体が大きく損傷した。実は、日本のタンカーが同海峡で攻撃を受けたのはこれが初めてではない。2010年7月にも商船三井保有の大型原油タンカーM.STARが吸着機雷による攻撃を受けている。この時は、イスラム教シーア派のイランと対抗するスンニー派のアルカイダ関連テログループが犯行声明を出...

続きを読む

 米国が科学技術系中国人大学(院)生や学術研究者のビザを拒否したり、在留期間を大幅に制限したりし始めて以来、その分、逆にこれまで中国人学生のビザ発給を緩和してきた日本の科学技術系大学に大挙して押し寄せているという。東京工業大学のイノベーション科学系教授から聞いた。    ●米国から日本へ委託研究が拡大  同教授によれば、中国が国産だと主張して製品化している革新的技術分野には、実は日本の科学技...

続きを読む

国基研企画委員兼研究員 太田文雄    6日、北方領土を戦争で取り戻す趣旨の発言をした丸山穂高衆院議員(日本維新の会から除名)に対する糾弾決議が衆院で可決された。実際には、核兵器を持たない日本が核大国のロシアとの戦争で北方領土を取り戻せる可能性はゼロに等しい。  一方、2日、シンガポールにおけるアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で、中国の魏鳳和国防相が台湾独立の動きに対して...

続きを読む

 米中貿易戦争が激化して、ついに中国は米国向けレアアース輸出を制限しそうな気配である。米国は必要量の8割を中国からの輸入に頼っている。  2010年に日本が尖閣諸島の国有化を決めた際、中国は日本が必要量のほぼ全量を中国からの輸入に頼っていたレアアースの輸出を制限した。同じ年には、中国人権活動家の劉暁波にノーベル平和賞を授与した際、中国は選考委員会が置かれるノルウェーから鮭の輸入も制限した。  ...

続きを読む

 中国国営の新華社通信は5月23日「中国が最高時速600キロのリニアモーターカーのプロトタイプ(原型モデル)を発表した」と伝えた。中国は独自の開発技術だとしているが、本年2月28日の国基研「月例研究会」で自民党の萩生田光一幹事長代行は「日本のリニア新幹線の技術者がごっそり中国に引き抜かれてしまった」と語っていた。新幹線同様、中国はリニアモーターカーについても日本の技術を剽窃して開発を進めている可能...

続きを読む

 北朝鮮は4日と9日、短距離弾道ミサイルを発射した。明確な国連安保理制裁決議違反である。  この弾道ミサイルは核弾頭も搭載できるロシア製イスカンデルに酷似している。低い軌道から最終段階で弾道ミサイル防衛システムを回避する行動をとり、囮も放出する。このため、地対空ミサイルのペトリオット3や韓国が配備している終末高高度防衛システム(THAAD)では迎撃が難しい。  ●イランへの流出は要警戒 ...

続きを読む

 5月2日に米国防総省が、本年の『中国の軍事・安全保障分野の動向に関する年次報告書(Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2019)』を公表した。日本の主要メディアは、今回の様々な特徴を報じていたが、筆者は特に安全保障の総合力で日本が遥かに中国に劣っていると感じたので、その点を記したい...

続きを読む