公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

太田文雄の記事一覧

 2019~23年度の中期防衛力整備計画(中期防)が18日にも閣議決定される。予算総額は過去最大の27兆4700億円。これに対して多すぎるとの批判があるが、次期中期防の期間中には韓国の国防費に抜かれる可能性が大きいことを指摘したい。  ●研究開発費では既に後塵拝す  本年度の日本の防衛費は5兆1911億円で、来年度は5兆3千億円程度になると思われるが、これに対し韓国の防衛費は日本円で約4兆...

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 中国の通信機器大手ファーウェイの孟晩舟CFO(最高財務責任者)が、メキシコに向かう経由地のカナダ・バンクーバーの空港で米政府の要請により逮捕された。ある情報筋によれば、ことし既に対イラン・北朝鮮との取引で制裁措置を受けた同じ中国通信大手のZTEが罰金を課せられた際、司法取引で「ファーウェイも同じことを行なっている」と情報提供したことによるらしい。ファーウェイとZTEはライバル企業ではあるが、元は...

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国基研企画委員兼研究員 太田文雄    ペンス米副大統領が演説で中国との対決姿勢を鮮明にした10月に、安倍晋三首相は訪中して日中関係を「競争から協調へ」押し上げたいと真逆の発言をし、李克強中国首相は「日本の(中国の勢力圏拡大構想)『一帯一路』への参加」を歓迎した。この直後、元米国務省職員で『スマート・パワー』の著者であるクリスチャン・ホイトン氏は「日本の対中支援が失敗に終わる理由...

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 11月22日に米自由アジア放送が、独自の情報源から得たとして報じたところによれば、中国共産党が米国との貿易戦争で疲弊し、最悪の状態に備えるよう指示する内部文書を出したという。他の情報源からも、経済状況の悪化による社会的なパニックが増加しているとのことで、中国企業の多くが閉鎖に追い込まれ、株・財産市場の変動で社会の対立が激化しかねないと予測している。  ●対米貿易戦争でも弱気に  11月1...

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 11月24日に行われた台湾の統一地方選挙で、与党の民進党が大敗し、蔡英文総統が党首を辞任することになった。統一地方選は約1年後の総統選の前哨戦であることから、中国と一定の距離を保つ民進党の敗北で、対中融和政策を採る国民党が政権を奪回する可能性が高くなってきたような印象を受けそうであるが、実態はもっと複雑である。  ●蔡党首の指導性に疑問符  蔡英文総統に近い人物がかつて「彼女は学者肌でコ...

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国基研企画委員兼研究員 太田文雄    本国会における最大の争点の一つは、外国人労働者の受け入れ拡大問題となっている。国会の議論では、外国人労働者の地位や社会保障の適用が主に取り上げられているが、国防の視点からの質問は聞いたことがない。10月末にまとめられた自民党の法務、厚生労働両部会での決議にも、この視点は欠落している。両部会に出席した議員に聞いてみると、国防上の懸念を表明する...

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 22日の「ろんだん」で「米の中距離核戦力(INF)全廃条約離脱表明を歓迎する」旨を書いた。日本は当然のことながら、INF全廃条約で禁止されている射程500km以上の陸上配備ミサイルは大気圏外を通過する弾道ミサイルはもちろん、大気圏を通過する巡航ミサイルも保有していない。  政府・自民党は2004(平成16)年の16大綱(中期防衛力整備計画)策定で、射程300kmの巡航ミサイルを装備しようとした...

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 先日、都内の有名私立大学で講義を行った。約300名の聴衆学生の内、実に3分の1が外国人で、その大半が中国人であった。  日本の大学は、少子化の為、外国人留学生を入学させないと経営が成り立たないという。このため、米国ではスパイ活動の温床として警戒されて閉鎖が相次いでいる孔子学院に関しても、日本では中国人留学生を多く入れている関係上、閉鎖に踏み切れないでいる。  また、トランプ米政権は、中国当局...

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 10月20日、米トランプ大統領が中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱を表明した。これに対してNHKの報道は、「残念、頭にくる」と言う広島・長崎市民や非核団体の声だけを報道した。しかし、INF全廃条約に縛られない北朝鮮や中国の中距離核戦略に晒されている日本にとって、懲罰的抑止力が向上するので好ましい。米国による今回のINF全廃条約からの離脱表明は中朝に対するメッセージでもある。  ●条約...

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 米中の「新冷戦」が厳しさを増す中、日本は旗幟を鮮明にすべきである。米国は同盟国であるのに対して、中国は我が国の領土を狙おうとし、かつ価値観を異にする国である。にもかかわらず、「日米同盟、日中協商」とか言って米中両国に良い顔をしようとする人達もいる。安易な対中協力は、米国の不信感を招きかねないので止めるべきだ。  ●八方美人外交では侮られる  昨年の北朝鮮による弾道ミサイルの度重なる発射に...

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 新聞報道によれば10月8日、日中防衛当局局長級協議が北京で開かれ、自衛隊と中国軍の偶発的な衝突をさけるための「海空連絡メカニズム」をめぐり、ホットラインの早期開設が重要だとの認識で一致した模様である。  本メカニズムは6月から運用を開始しているが、紛争のエスカレーションを防止するために軍の指揮官同士、あるいは政府間で直接連絡を取り合うホットラインはまだ開設されていない。無いよりはあった方が良い...

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 10月3日に公表されたアーミテージ・ナイ報告書は合計10の政策提言を挙げたが、その中で特に軍事的観点から有効と思われるのが、日米の合同統合任務部隊の創設である。同報告書については、アーミテージ、ナイ両氏とも、現在はトランプ政権の外にいるため、影響力は小さいいとする向きもあるが、国防総省でアジア・太平洋安全保障問題担当を務めているランディー・シュライバー次官補はアーミテージ氏と表裏一体で、日本政府...

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 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、今年に入り、中国が新たに海上ブイを設置していたことが2日、分かった。同日付の産経新聞が報じた。  尖閣周辺のEEZ内で中国のブイが確認されたのは2016年8月以来。他国のEEZで断りもなく海洋調査を行うのは国連海洋法条約に違反している。気象観測のほか、軍事目的で海中のデータを収集している可能性がある。この中国の狙いについて軍事的...

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 嘗て、米国の大学院でネットアセスメント(総合戦略評価)の教務を受講していた際、これが米国の覇権維持戦略かと印象深かった内容がある。横軸に友好度の度合いを、縦軸に国力の度合いをとるグラフで、敵対的且つ国力が強化されつつある国をグループ分けし、米国に近づけないとする内容であった。  ●厳しさ増す一方の対中認識  「トゥキディデスの罠」という言葉がある。覇権国家と新興国家がぶつかり合う現象で、...

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 防衛省は17日、海上自衛隊の水上艦艇「かが」「いなづま」「すずつき」が、潜水艦「くろしお」と南シナ海で対潜水艦訓練を行ったと発表した。潜水艦の南シナ海での訓練が公表されたのは初めてである。一口に対潜戦と言っても2通りの潜水艦がある。弾道ミサイルを搭載した戦略潜水艦(SSBN)と攻撃型潜水艦(SSN、SS)である。今回は、後者を目的としたものであろうが、前者も対米関係向上の観点から必要である。 ...

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 ロシア軍は9月11日、冷戦後最大規模となる軍事演習「ボストーク(東方)2018」を極東やシベリアなどで開始した。17日までの日程で総勢30万人の兵士を動員し、中国の人民解放軍との合同演習も行う。  中国は北方戦区から兵力3200人、1000を越える武器、30機の航空機で参加している。中露は過去にも合同演習を行っているが、今回ほど大きな規模ではなかった。  これまでの中露合同演習を見る限り、互...

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 8月24日に米議会の「米中経済・安全保障見直し委員会(U.S.-China Economic and Security Review Commission)」は、『中国の海外における統一戦線工作(China’s Overseas Unified Front Work)』という約40ページの報告書を公表した。中国共産党隷下の中央統一戦線工作部が海外で親中派を育成のため行っている工作実態を明らかにし...

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国基研企画委員 太田文雄    小野寺五典防衛相は8月28日の閣議で、平成30年版防衛白書を報告した。これまでの白書に比べ、分かりやすい見出しで最初に要約を持ってきているところは評価したい。一部の主要メディアは白書について、北朝鮮の脅威に変化なしとして地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の導入を正当化する道具であるかのような扱い方をしているが、580ページに及ぶ白...

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 米共和党のジョン・マケイン上院議員が8月25日亡くなった。81歳だった。議員と最後に出会ったのは数年前の太平洋艦隊司令官交代行事であった。父、祖父とも海軍大将であったことから海軍や太平洋艦隊に対する思い入れは強く、自身も海軍航空士官としてベトナム戦争に従軍した。  1967年にハノイ上空で撃墜されて捕虜となったが、厳しい拷問にも耐え、5年半の抑留生活から帰還した。1984年には政界に転じ、20...

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 7月に米ハドソン研究所が「日本との防衛産業セキュリティー・ギャップを縮小へ(Closing the Defense Industrial Security Gap with Japan)」というタイトルの報告書を作成した。概要は「今後、米・英・豪・加・ニュージーランドという5カ国(Five Eyes)で共有されている軍事秘密情報を日本も共有して6カ国(Six Eyes)になるためには、防衛産業の...

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国基研企画委員 太田文雄    米国防総省は16日、中国の軍事・安全保障分野の動向に関する年次報告書を公表した。毎年春に公表されているが、今年は何故かこの時期までずれ込んだ。人民解放軍が一貫して能力を急速に向上させているという内容であるが、とりわけ2020年までに海兵隊(海軍陸戦隊)が従来の3倍に拡大するとの見積もりが出たことが注目される。現在の規模は2個旅団、約1万人であるが、...

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 「地経学時代からみる21世紀の世界と日本」と題したシンポジウムが7月31日、都内で日本国際フォーラム共催の下、開かれた。基調講演を行ったのは米外交問題評議会上級研究員のロバート・ブラックウィル氏で駐インド大使の経験もある。  氏の近著に、『他の手段による戦争(War by Other Means)』があるが、中国による経済力を使ったグローバルな版図拡大の実態を描いたものだ。  地経学(Geo...

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 「宇宙・サイバー空間の戦いが同時並行する現代戦において、日本が国是とする専守防衛は機能し得ない」。平成29年版の防衛白書を取り上げた2017年8月14日付の「直言」欄でそう書いた。宇宙空間、サイバー空間とも防御には限界があり、「やられたらやり返す」攻撃能力を保持することで、敵の攻撃を抑止する態勢を整えておかなければならないという意味である。今回は、海底の安全保障に関しても全く同様であることを述べ...

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 サッカー日本代表「SAMURAI BLUE(サムライ・ブルー)」がワールドカップ(W杯)のロシアから帰国して出迎えの大歓迎を受けた。決勝リーグではベスト8進出は果たせなかったものの強豪ベルギー相手に見事な試合ぶりであった。だが、予選リーグでのポーランド戦における時間稼ぎのパス回しはいただけなかった。勝ち上がるための作戦だったとはいえ、観客席からブーイングが巻き起こったのは当然だった。日本サッカー...

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 任務が増大・拡大した反面、国防予算の強制削減が続いたことにより、岐路に立つ米軍の現状を別項で論じたが、本稿では、緒戦でものを言うサイバー戦に投入している人的資源について米中の差を比較してみたい  2016年の統合軍四半期刊行物(Joint Force Quarterly)に掲載された、米サイバー軍司令官ロジャーズ海軍大将(当時)へのインタビュー記事によれば、米サイバー任務軍の規模は約6200名...

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 このところ在日米軍に絡む事故が続発している。航空機事故にせよ艦船事故にせよ、米軍基地の存在に反対する人達にとってみれば、不満の温床となっているであろうが、自衛隊(軍)経験者から見れば、それだけ与えられた任務が過酷で、人的にも機材面でも無理を強いられているのであろうと慮ってしまう。  その主たる原因は、北朝鮮情勢の緊迫化等に伴って任務が増大・拡大した反面、2013年から約5年にわたって国防予算の...

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国基研企画委員 太田文雄    トランプ米大統領は米朝首脳会談後の記者会見で、米韓合同軍事演習を「金がかかる」「挑発的」との理由で中止すると表明した。将来的には、在韓米軍の撤退を望んでいるとさえ言った。発表された米朝共同宣言は北朝鮮ではなく朝鮮半島の非核化をうたっており、韓国には核がないことから、米国が韓国に提供している拡大抑止(核抑止)が禁止対象になる可能性もある。  今回、...

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 米朝首脳会談は北に多くを与えた米側の大譲歩と言える。共同声明にCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)のV(検証可能)とI(不可逆的)の言葉がなかった上に、トランプ大統領は記者会見で米韓合同軍事演習の中止まで言及してしまった。  ●CVIDはどうなった  北朝鮮は先月、豊渓里の核実験場を西側の報道陣を招いて爆破させたが、当初予定されていた専門家を招待することは拒んだ。これでは「検証...

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 史上初の米朝首脳会談によって東アジアの冷戦が集結しようとする間に、もう一つの冷戦の産物である台湾海峡がきな臭さを増している。日本のメディアはほとんど報じていないが米台関係は相当改善し、それに対して中国が苛立ちを強めている。  台湾が中国本土の手に落ちてしまえば、中国の太平洋進出は自由になり、尖閣はおろか沖縄が危険に晒されるという事実を日本はもっと認識し、戦略的見地から台湾との関係改善に取り組む...

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国基研企画委員 太田文雄    週末にシンガポールで、各国の国防相や軍高官が参加するアジア安全保障会議(通称シャングリラ会合)が開催された。一昨年まで副総参謀長クラスを代表として送っていた中国は、昨年から軍シンクタンク副院長クラスの派遣にとどまっている。筆者も数年前に招待されて参加したことがあったが、本会議で中国は各国から袋叩きに会うので、政策決定に影響力のある代表を出さなく...

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 5月19日に放送されたNHKスペシャル「日本の諜報 スクープ 最高機密ファイル」を見た。端的に言えば「防衛省情報本部の電波部が個人のインターネット内交信までを監視している。日本の情報によって他国が武力行使を行えば、武力行使を禁じた日本国憲法に違反する可能性がある」とする内容である。しかし、この番組は専門的な知識に乏しい素人が作成したとしか思えない、悪意に満ちた印象操作番組であることを指摘したい。...

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 米国防総省は5月23日、中国海軍の環太平洋合同演習(リムパック)への招待取り止めを発表した。  米側は、南シナ海の中国人工島を軍事化したことを理由としているが、5月初めにはアフリカのジブチ上空で中国軍基地から米軍機がレーザー照射を受けたこともある。どこまで米国は中国にナイーブなのかと思っていただけに、今回の決定は寧ろ遅きに失した感すらある。  ●理解に苦しむ王毅外相の反論  これに対し...

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 16日、北が南北閣僚級会談を突然キャンセルし、6月の米朝首脳会談の開催をも警告するようになったのは何故か。  日本のメディアが、「春より規模が小さい米韓空軍演習に反発しているのは何故か」とか、「北朝鮮の常套手段である首脳会談前の揺さぶり」とかコメントしているが、筆者は、これまでも本欄で既に書いているように、戦術核搭載の米爆撃機B-52を北は相当嫌がっていると推測している。  ●的外れな日...

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国基研企画委員 太田文雄    米政府は北朝鮮の核廃絶に「リビア方式」を適用したい考えのようだ。リビア方式とは、国際原子力機関(IAEA)のような国際機関の査察では時間がかかりすぎるので、どこに核・ミサイル施設があるのかを既に掌握している外国の情報機関に核関連機材・物資を速やかに国外へ撤去させる方式である。リビアの場合、米国の中央情報局(CIA)と英国の秘密情報部(MI6)、...

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 本年頭に『米中海戦はもう始まっている』(マイケル・ファベイ著、赤根洋子訳、文芸春秋)という本が出版された。著者は軍事ジャーナリストで、副題は「21世紀の太平洋戦争」。帯には「アメリカの親中派はこうして敗れた」とある。  内容は、数年前に出版されたマイケル・ピルズベリー著の『100年マラソン』と同様、これまで「米国は関与することにより中国も変わって行くであろう」との政策で臨んできたが、一向に中国...

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 先週4月16日付の「ろんだん」で、米英仏によるシリア攻撃は「化学兵器を依然として製造・保有している北朝鮮や、中国に対する有効なシグナルでもある」と書いた。その後、攻撃の詳細が判明するに及んで、筆者が想定していた以上に北への強いメッセージになっていることが分かってきた。  ●劣悪な防空システム  当時、シリアの防空システムは、地中海に展開する艦艇から低空で侵入してくる巡航ミサイル・トマホー...

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国基研企画委員 太田文雄    日本の野党やメディアが財務事務次官のセクハラ問題や野党議員に対する自衛隊員の暴言問題で沸いていた先週、米議会の公聴会では国際軍事情勢に重要な影響を与える将官2人の証言があった。  ●「強い日本」望む次期太平洋軍司令官  一人は太平洋軍司令官に指名されたフィリップ・デービッドソン海軍大将で、筆者が米海軍兵学校交換教官に任じていた時の学生で...

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 米英仏がシリアの化学兵器製造・貯蔵施設に対して100発以上の巡航ミサイルを打ち込んだ。これに対して化学兵器の使用に対しては何ら解決策にならないとか、トランプ大統領が女性スキャンダルを躱すためだとかいうメディアの論調がある。だが筆者はそうは思わない。  この攻撃は化学兵器を依然として製造・保有している北朝鮮や、中国に対する有効なシグナルでもある。抑止には、事後の再行動を踏みとどまらせる懲罰的抑止...

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 米シンクタンク「プロジェクト2049」が3月30日、「White Warship and Little Blue Men(白い軍艦と小さな青い人達)」というタイトルの出版物を刊行した。副題は「The Looming “Short Sharp War” in the East China Sea over Senkakus(起こりそうな東シナ海での尖閣を襲う短期・急激戦)」。著者は、かつて米太平洋...

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 米韓合同の軍事演習が4月1日から約1カ月の予定で始まった。報道によれば、今回の演習は、4月末に南北首脳会談、5月には米朝首脳会談が控えていることから、北朝鮮を刺激しないよう演習期間を半分に短縮、規模の面でも空母や爆撃機が参加しないことにしたという。だがこれは、軍事を理解していないメディア側の誤った判断である。  ●もっぱら軍事的観点で判断  本来、冬季の米韓合同軍事演習は、田畑が凍結する...

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