公益財団法人 国家基本問題研究所
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国基研ろんだん

太田文雄の記事一覧

 米国防総省は5月23日、中国海軍の環太平洋合同演習(リムパック)への招待取り止めを発表した。  米側は、南シナ海の中国人工島を軍事化したことを理由としているが、5月初めにはアフリカのジブチ上空で中国軍基地から米軍機がレーザー照射を受けたこともある。どこまで米国は中国にナイーブなのかと思っていただけに、今回の決定は寧ろ遅きに失した感すらある。  ●理解に苦しむ王毅外相の反論  これに対し...

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 16日、北が南北閣僚級会談を突然キャンセルし、6月の米朝首脳会談の開催をも警告するようになったのは何故か。  日本のメディアが、「春より規模が小さい米韓空軍演習に反発しているのは何故か」とか、「北朝鮮の常套手段である首脳会談前の揺さぶり」とかコメントしているが、筆者は、これまでも本欄で既に書いているように、戦術核搭載の米爆撃機B-52を北は相当嫌がっていると推測している。  ●的外れな日...

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国基研企画委員 太田文雄    米政府は北朝鮮の核廃絶に「リビア方式」を適用したい考えのようだ。リビア方式とは、国際原子力機関(IAEA)のような国際機関の査察では時間がかかりすぎるので、どこに核・ミサイル施設があるのかを既に掌握している外国の情報機関に核関連機材・物資を速やかに国外へ撤去させる方式である。リビアの場合、米国の中央情報局(CIA)と英国の秘密情報部(MI6)、...

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 本年頭に『米中海戦はもう始まっている』(マイケル・ファベイ著、赤根洋子訳、文芸春秋)という本が出版された。著者は軍事ジャーナリストで、副題は「21世紀の太平洋戦争」。帯には「アメリカの親中派はこうして敗れた」とある。  内容は、数年前に出版されたマイケル・ピルズベリー著の『100年マラソン』と同様、これまで「米国は関与することにより中国も変わって行くであろう」との政策で臨んできたが、一向に中国...

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 先週4月16日付の「ろんだん」で、米英仏によるシリア攻撃は「化学兵器を依然として製造・保有している北朝鮮や、中国に対する有効なシグナルでもある」と書いた。その後、攻撃の詳細が判明するに及んで、筆者が想定していた以上に北への強いメッセージになっていることが分かってきた。  ●劣悪な防空システム  当時、シリアの防空システムは、地中海に展開する艦艇から低空で侵入してくる巡航ミサイル・トマホー...

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国基研企画委員 太田文雄    日本の野党やメディアが財務事務次官のセクハラ問題や野党議員に対する自衛隊員の暴言問題で沸いていた先週、米議会の公聴会では国際軍事情勢に重要な影響を与える将官2人の証言があった。  ●「強い日本」望む次期太平洋軍司令官  一人は太平洋軍司令官に指名されたフィリップ・デービッドソン海軍大将で、筆者が米海軍兵学校交換教官に任じていた時の学生で...

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 米英仏がシリアの化学兵器製造・貯蔵施設に対して100発以上の巡航ミサイルを打ち込んだ。これに対して化学兵器の使用に対しては何ら解決策にならないとか、トランプ大統領が女性スキャンダルを躱すためだとかいうメディアの論調がある。だが筆者はそうは思わない。  この攻撃は化学兵器を依然として製造・保有している北朝鮮や、中国に対する有効なシグナルでもある。抑止には、事後の再行動を踏みとどまらせる懲罰的抑止...

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 米シンクタンク「プロジェクト2049」が3月30日、「White Warship and Little Blue Men(白い軍艦と小さな青い人達)」というタイトルの出版物を刊行した。副題は「The Looming “Short Sharp War” in the East China Sea over Senkakus(起こりそうな東シナ海での尖閣を襲う短期・急激戦)」。著者は、かつて米太平洋...

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 米韓合同の軍事演習が4月1日から約1カ月の予定で始まった。報道によれば、今回の演習は、4月末に南北首脳会談、5月には米朝首脳会談が控えていることから、北朝鮮を刺激しないよう演習期間を半分に短縮、規模の面でも空母や爆撃機が参加しないことにしたという。だがこれは、軍事を理解していないメディア側の誤った判断である。  ●もっぱら軍事的観点で判断  本来、冬季の米韓合同軍事演習は、田畑が凍結する...

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 3月19日から1週間、米国の海軍大学院(カリフォルニア州)、ミシガン大学、マイアミ大学、空軍大学(アラバマ州)で、「北東アジアの安全保障情勢:日本と同盟国への影響」と題して講演した。北朝鮮の挑発、中国の軍事的膨張、ロシア軍の極東における活動の活発化に対する対抗策として日米豪印の4カ国協力構想を説明したのであるが、全ての講演場所で出た質問は「(協力構想には)何故韓国が入らないのか?」であった。特に...

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 3月7日、国家基本問題研究所とインドのシンクタンクであるヴィヴェカナンダ国際財団との定期意見交換会が東京・永田町の国基研で行われた。日本側は日米印豪の4カ国協力に関して発表したが、インド側は中国の「一帯一路」に関する発表を行い、彼らがこの構想に相当な警戒感を抱いていることがあらためて明らかになった。  筆者は5日の「今週の直言」欄で、中国の「一帯一路」は、実は「六帯三路」であることを指摘した。...

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国基研企画委員 太田文雄    1日のBSフジの中国軍近代化に関する番組に、陸海空3自衛隊の元将官1人ずつが登場した。陸上自衛隊の元将官がBSフジの用意した中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の地図を補完して、陸路の「一帯」には①モンゴル~ロシア②中央アジア~西アジア③新ユーラシア・ランドブリッジ(横断鉄道)④インドシナ半島回廊⑤パキスタンのグアダル港に至る経済回廊...

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 平昌オリンピックを巡る北朝鮮の韓国取り込み戦術に対して、河野太郎外務大臣は「北朝鮮の微笑外交に目を奪われるな」と発言している。しかし、それは日本の対中国外交でも心がけるべきことだ。  そんなことを考えたのは、日本の安全保障を司る政府高官から最近、「中国の王毅外相が、ニコニコ笑って対応して来たよ」という話を聞いたからだ。  モンゴル出身で、一昨年、国基研日本研究賞を受賞した静岡大学教授の楊海英...

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 米国防総省が先ごろ公表した「核態勢の見直し(NPR)」について、国際政治学者の三浦瑠麗氏が、2月14日付の産経新聞「正論」で、「日本政府が今般の見直しを拡大抑止の強化だとして歓迎したのはおかしい」と書いている。  その理由として氏は、NPRの背景には「海外へのコミットメントに疲れた米国政治の本音が色濃く反映されている」と指摘し、「圧倒的な通常兵力による日本防衛への関与を下げたい米国政界の本音が...

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 13日の「ろんだん」で「中国の情報戦に鈍感すぎる日本」を書いたが、中国政府肝煎りの文化機関「孔子学院」や中国製の通信機器によるスパイ活動が疑われていることについて、米国内で警戒と批判が広がっている。 日本時間の14日に行われた米上院情報委員会において、マルコ・ルビオ上院議員が「孔子学院や、華為(Huawei=ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)といった中国メーカーの通信機器が米国内でスパイ活動を...

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 前回の米大統領選挙にも出馬した共和党のマルコ・ルビオ上院議員は5日、州内の4大学1高校に対し、中国政府肝煎りの文化機関「孔子学院」を閉鎖するように呼びかける書簡を送った。  また7日には、ルビオ議員とともに共和党のトム・コットン上院議員が連名で、人民解放軍系のIT企業である華為(Huawei=ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の通信機器を米政府が購入・リースすることを禁止する法案を提出した。本...

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国基研企画委員 太田文雄    トランプ米政権が昨年12月に公表した「国家安全保障戦略」(NSS)、今年1月の「国家防衛戦略」(NDS)、そして今月の「核態勢見直し」(NPR)という一連の戦略文書を総括してみると、トランプ大統領自身が署名したNSSの巻頭言を除けば、中長期的視野に立った極めて堅実な戦略体系になっていると言える。    ●NSS巻頭言の問題点  トランプ大...

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 米国防総省は2日、今後5~10年の新たな核政策の指針となる「核戦略体制の見直し」(Nuclear Posture Review-NPR-)を公表した。  2009年4月のプラハ演説で、「核なき世界を目指す」として、同年のノーベル平和賞を受賞したオバマ前米大統領は、2010年のNPRで「非核攻撃抑止における核兵器の役割を削減する」とし、「米国は海軍水上艦艇と汎用潜水艦からの核兵器を含め、太平洋地...

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 マティス米国防長官は19日、ワシントンで演説し、トランプ政権で初の「国家防衛戦略」を公表した。長官は「アメリカの国防の第一の関心事は今やテロではなく大国間の競争だ」と述べた。  演説は筆者の母校でもあるジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院で行われたが、これを聴いた友人は「鉄のカーテン崩壊以来、中国、ロシアに対する注意を振り向けてくれた」との感想メッセージを送ってくれた。  同日、国...

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国基研企画委員 太田文雄    中国人民解放軍海軍の潜水艦が11日に沖縄県尖閣諸島の大正島周辺の接続水域を潜行したまま航行した。フリゲート艦も随伴した。最近の中国は広域経済圏構想「一帯一路」に日本を取り込みたいためか微笑外交を重ねてきたが、一方で尖閣の領有を企図した軍事行動を活発化していることに我々は目をつむるべきではない。  今回の航行目的の一つは、日本の潜水艦探知能力を...

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