2019~23年度の中期防衛力整備計画(中期防)が18日にも閣議決定される。予算総額は過去最大の27兆4700億円。これに対して多すぎるとの批判があるが、次期中期防の期間中には韓国の国防費に抜かれる可能性が大きいことを指摘したい。
●研究開発費では既に後塵拝す
本年度の日本の防衛費は5兆1911億円で、来年度は5兆3千億円程度になると思われるが、これに対し韓国の防衛費は日本円で約4兆7000億円である。
しかし伸び率でみると、日本は昨年、対前年比0.8%であったのに対し、韓国は8.2%で、このままの伸び率の差が続けば次期防期間中には防衛費で韓国が日本を抜くことが予測される。既に防衛費の項目別では、研究開発費で日本は韓国の後塵を拝している。
文在寅政権は主たる脅威対象である北朝鮮との間で融和政策を推し進めているのに、何故、韓国の国防費はこれほど高い伸び率なのであろうか。
次期防の元となる防衛計画の大綱では、「いずも」型ヘリコプター搭載護衛艦に短滑走離陸・垂直着陸機F-35Bを導入する方針だが、「専守防衛」に反するとメディアを賑わせている。だが、日本が躊躇していれば、ほぼ同じトン数である韓国の「独島」型揚陸艦の空母化が先行するであろう。
日本固有の領土である島根県の竹島を不法占拠している韓国は、これを独島と呼称している。その島の名前を敢えて艦名にして日本に対する攻撃的な意図を表現している。
●巡航ミサイルは日本を射程内に
次期防とともに18日に閣議決定される今回の大綱では、これまた「専守防衛」の観点から「敵基地攻撃能力」についての記載が見送られた。しかし韓国では既に国産巡航ミサイル「玄武3C」を実戦配備しており、その最大射程は1500kmで日本の主要都市は殆どが射程に入る。
日韓間では昨今、慰安婦問題に関する日韓合意に基づき設立された「和解・癒やし財団」の解散、朝鮮人戦時労働者をめぐる訴訟、国際観艦式での自衛艦旗の掲揚反対等、摩擦が絶えない。こうした歴史問題に加えて、11月は竹島への韓国議員団の上陸があり、今月は韓国軍による同島周辺での軍事演習も行われた。
対日関係を悪化させるこうした韓国側の行為がエスカレートしていることを筆者は強く憂慮しているが、防衛面でもこのままだと日本は韓国に対し、有効な抑止力を維持できなくなる恐れがある。