公益財団法人 国家基本問題研究所
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太田文雄の記事一覧

 最近のウクライナ情勢に関する報道を見ていると、ウクライナはロシアから虐められている被害者であるかのような内容が多い。だが、果たしてそうであろうか?  現在、中国海軍が保有している唯一の空母「遼寧」は、ウクライナから輸入した嘗ての「ヴァリヤーグ」である。また空母艦載機であるSu-33は、ロシアが中国への売却に応じなかったことから、ウクライナが試作機を中国に売却し、中国はそれを基に国産艦載機J-1...

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 この1カ月間に中国は日本の接続水域や領海を侵犯し、今月発表された今年第2四半期の対中国軍機に対する緊急発進(スクランブル)で飛び上がった航空自衛隊の戦闘機は、四半期ベースで過去最多の199回に上った。  日本側の抗議に対して、中国は逆に「軍の行動は正当、日本が挑発」などと日本を悪者扱いしている。また、中国国内では、いまだに戦争中の旧日本軍の軍人を悪者に仕立てたドラマばかり放映され、さらに199...

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 中国はならず者超大国。この表現は、今回の南シナ海に関する仲裁裁判所の裁定を無視する中国のことを表現した言葉ではない。2010年に海上保安庁の巡視船に体当たりした中国漁船の船長を拿捕した際、日本へのレアアース(希土類)輸出を制限した中国に対して、ノーベル賞経済学賞を受賞したポール・クルーグマン博士が米紙ニューヨーク・タイムズに寄稿した中で述べている言葉である。  法によって行動しようとしない中国...

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国基研企画委員 太田文雄    6月9日未明に中国海軍のフリゲート艦が尖閣諸島の接続水域(領海の外側12カイリの水域)に進入した。1992年に中国が設定した領海及び接続水域法第2条第2項は尖閣諸島を中国の領土と規定しており、さらに同法第13条は「中華人民共和国は接続水域内において(中略)管轄権行使の権限を有する」としている。従って、今回のようにロシア海軍艦艇3隻が「中国の領土...

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国基研企画委員 太田文雄    1月末の米国出張に続き、2月末には英国での国際会議に参加した。両方の出張を通じて感じるのは、国際社会の対中認識が極めて厳しくなりつつあるという潮目の変化である。具体的に言えば、誰もが中国の「言葉の戦い」(War of Words)に基づくプロパガンダを相手にしなくなり、中国指導者の発言と実際の行動に大きな乖離があることを認識し始めた。大きな流れ...

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国基研企画委員 太田文雄    南シナ海パラセル(西沙)諸島のウッディ―(永興)島に、中国人民解放軍が高性能の地対空ミサイルHQ9(紅旗9)を配備した。先月、米国に出張した際、米国の専門家は人民解放軍が昨年10月に第4世代戦闘機であるJ11(殲11)を同島に飛来させたと言っていた。  習近平中国国家主席は昨年9月にオバマ米大統領と会談した際、「(南シナ海の)軍事化を追求する...

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国基研企画委員 太田文雄    1月下旬、米国各地で「中国の海洋拡張」を発表テーマとして講演旅行をしてきた。日本政府の国際情報発信が不十分であり、海外にいる日本人はそれを不満に思っていることを痛感した。  ●誹謗中傷に直ちに反論を  ペンシルベニア大学では、約30名の聴衆に対して発表を約20分間行い、質疑応答に入った。聴衆の中にフィラデルフィア在住の日本人技術者がおり...

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国基研企画委員 太田文雄    オーストラリア空軍がこのほど、南シナ海で哨戒機P3による監視飛行を行った。同国のペイン国防相は12月17日、中国が人工島の軍事化を進める南シナ海での監視飛行をやめるつもりはないと表明。同日付のジャパン・タイムズは今後「日本に注目が集まる」と書いた。  他方で、10月下旬に米海軍のイージス艦ラッセンが人工島から12カイリ以内を通過する「航行の自...

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国基研企画委員 太田文雄    パリの同時テロを受けて、政府は海外のテロ関連情報を収集する「国際テロ情報収集ユニット」を約半年前倒しして立ち上げた。しかし、同組織で関連情報を入手したとしても、適切な対応ができるであろうか。  ●法制上の不備  まず、11月のパリ同時テロの直後、フランスのオランド大統領は非常事態を宣言したが、日本国憲法には緊急事態条項がないので、国家の...

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国基研企画委員 太田文雄    「11月11日と12日に中国海軍のドンディアオ(東調)級情報収集艦が尖閣諸島南方海域を東西に反復航行した」と防衛省が公表した。今年7月に政府は東シナ海で中国が建設中の多くの海上プラットフォームの写真を公表したが(第317回「今週の直言」平成27年7月27日)、昨年末には中国が東シナ海に面する浙江省の南麂(なんき)列島を軍事基地化しているとの報道...

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国基研企画委員 太田文雄    南シナ海の中国人工島12カイリ以内に米海軍のイージス艦ラッセンが進入した。中国は反発しており、米艦艇の行動を口実に人工島の軍事化加速を要求する官製メディアもある。しかし、米艦艇の行動如何に拘らず、中国が南シナ海に主権を及ばせて防空識別圏を設定し、人工島を軍事利用することは既定路線であると考えられる。国際社会がそれを放置すれば、中国の南シナ海領有...

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国基研企画委員 太田文雄    9月30日にロシアのボレイ級戦略弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)「アレクサンドル・ネフスキー」がカムチャツカ半島東部に到着したと同日の米有力インターネット新聞インターナショナル・ビジネス・タイムズがロシアのイタル・タス通信を引用して報じた。  これまで、ロシアの北海艦隊には新型弾道ミサイルのブラバを搭載するボレイ級SSBNが配備されていた...

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国基研企画委員 太田文雄    私も一時使用していたイー・モバイル(移動中でもインターネットができる通信サービスで、端末機器の多くは中国のファーウェイ=華為=社製)や、米マイクロソフト社のオフィス製品(ワードやエクセル等)に似せた中国キングソフト社の安価なソフト、あるいは中国製の安いウイルス対策ソフトは、使用するとパソコン内の情報が中国当局に筒抜けになる危険性がある。  2...

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国基研企画委員 太田文雄    第二次大戦で日本が戦ったのは中華民国であり、共産党が支配する中華人民共和国ではない。従って中華人民共和国は戦勝国のメンバーではなく、抗日戦勝70年パレードを行うのは歴史の捏造である。中華人民共和国の成立は戦後の1949年で、国際的に最初に行ったことは朝鮮戦争への介入で韓国に侵攻し国連軍と干戈を交えて挑戦したことである。その韓国の大統領と国連の事...

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国基研企画委員 太田文雄    8月12日に沖縄沖で米陸軍のヘリコプターが米艦上に墜落し、自衛隊員2名を含む乗員7名が負傷した。5月にもハワイで米海兵隊の垂直離着陸輸送機オスプレイが墜落し、この時は海兵隊員1名が死亡している。  こうした事故を自分の政治目的達成に利用しようとする翁長雄志沖縄県知事の発言は論外としても、菅義偉官房長官ですら、死傷兵士に対する「お悔やみ」や「お...

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国基研企画委員 太田文雄    政府は22日、中国が東シナ海に建設中の海上施設の写真を公開した。現在、国際エネルギー市場は供給過剰であり、中国は2010年以降トルクメニスタンやカザフスタン等から天然ガスを大量に輸入している。そのため、エネルギー獲得の観点からは、中国がこの時期に東シナ海で2桁の数の石油リグ(掘削装置)を建設する理由は見当たらない。  ●監視機器、兵器の配備も...

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国基研企画委員 太田文雄    安全保障関連法案が衆議院を通過し、今国会で成立する可能性が高くなった。国会での論戦を見ていると、違憲・合憲論や自衛官に危険が及ぶか否かに議論が集中し、甚だしくは「戦争法案」とか「徴兵制の復活」といったレッテル貼りによるデマゴギーが横行して、長期的な見通しに基づく戦略的見地からの真摯な議論は少なかったように思われる。  ●10年後、20年後の安...

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国基研企画委員 太田文雄    6月12日、南米コロンビアで行われた米国防大学同窓生セミナーで、「中国の西半球における影響」についての講演を依頼された。米国防大学の外国人留学生はほとんどが大佐クラスで、卒業生の中には母国の陸海軍司令官になっている人物も多い。卒業生としては私の1年後輩である米南方軍司令官ケリー海兵隊大将の基調講演でセミナーは始まったが、彼は今年3月の米上院軍事委員...

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国基研企画委員 太田文雄    5月26日に中国国防白書が発表された。2013年4月に発表された前回の白書のタイトルが「中国の国防」であったのに対し、今回は「中国軍事戦略」となっている。同時に、前回の白書では兵員、艦艇、航空機の数を明示し、また外国軍隊との共同訓練、災害派遣、国連平和維持活動(PKO)派遣等を一覧表にしていたものが今回はなくなり、その意味では透明度は後退している。...

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国基研企画委員 太田文雄    米国防総省が最近発表したところによると、南シナ海における中国の埋め立て面積は約8平方キロ(東京ドーム170個分)に上り、昨年12月末時点から4カ月余りで4倍に拡大した。その過程で、中国は莫大なサンゴ礁をダイナマイトで破壊してきた。  ところが、グリーンピースなど環境保護団体は、中国に抗議や反対の声を一切上げない。沖縄県辺野古沖の米海兵隊普天間飛行...

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国基研企画委員 太田文雄    3月末にフィリピンのマニラで行われた「南シナ海国際会議」でプレゼンテーションを行うように招待された。会議の最後に主催者たちにより、中国の南シナ海での埋め立ての中止・遅延を要求する「南シナ海共同宣言」が採択され、ベトナムとフィリピンが中国の南シナ海進出に対して脅威感を共有し、結束しようとしている姿を目の当たりにした。  一方で、ほぼ同時に行われたボ...

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国基研企画委員 太田文雄    今年に入って、イスラム過激派による欧州のテロ事件と日本人人質事件が発生した。これらの事件を通じて感じるのは、普通の国にはあって日本にはないインテリジェンス(諜報)組織の必要性である。  インテリジェンス源は大別するとヒューミント(HUMINT=人的情報)、シギント(SIGINT=信号情報)、ジオイント(GEOINT=地理・空間情報)、オシント(O...

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国基研企画委員 太田文雄    11月20日に出された米議会諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」の年次報告書で、2020年までにアジア太平洋地域に展開する中国海軍の潜水艦とミサイル搭載水上艦の数は351隻に上り得るとの予測がなされた(17、301、329ページ)。2020年といえば、中国人民解放軍の海軍建設のタイムスケジュールでは小笠原からグアムに至るいわゆる第二列島線内の制海...

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国基研企画委員 太田文雄    9月19日、トシ・ヨシハラ米海軍大学教授の「アジアの海洋における日本の将来の役割」という講演を拝聴した。講演の骨子は「中国海軍の海洋進出阻止のため、日本は南西諸島沿いに潜水艦の配備、機雷敷設、高速艇によるゲリラ攻撃、そして陸上自衛隊対艦ミサイルの配備を行うことにより、米軍が攻勢作戦をとるまで中国海軍の艦艇を第一列島線内に封じ込めることが中国を相手に...

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