この1カ月間に中国は日本の接続水域や領海を侵犯し、今月発表された今年第2四半期の対中国軍機に対する緊急発進(スクランブル)で飛び上がった航空自衛隊の戦闘機は、四半期ベースで過去最多の199回に上った。
日本側の抗議に対して、中国は逆に「軍の行動は正当、日本が挑発」などと日本を悪者扱いしている。また、中国国内では、いまだに戦争中の旧日本軍の軍人を悪者に仕立てたドラマばかり放映され、さらに1990年以降は「愛国教育計画」に基づき日本をターゲットとして、戦時中の日本の行動に対しては憎悪の感情を込めて教育するよう、教員ガイドブックで指導している。
これに対して1979年以来、日本が中国に対して行った政府開発援助(ODA)は3兆円に上り、これらは全て国民の血税である。北京や上海の国際空港の建設を始めとして、環境や衛生技術の供与、近代的法制度確立への貢献も行ってきた。しかし、これまでの中国の行動を見れば、結果的に我が国の脅威となる国を育成していたことになり、過去の対中ODAが効果的であったのかどうかという検証を行ってみるべきであろう。
その検証結果が全く日中関係に良好な効果を及ぼしていないならば、恩を仇で返す中国共産党政府の本質が見抜けなかったとして、過去に遡ってODA支出の意思決定者を国会で喚問する等のケジメをつける必要があるのではなかろうか?
昨年、米国で出版されたマイケル・ピルズベリー氏の『100年マラソン』にも次のような記述がある。
「最近、如何に西側が中国に貢献して来たかについて調べてみた。中国を助けた宣教師達、ロックフェラー財団の貢献、米国が義和団の乱の返済金から中国のマサチューセッツ工科大学や清華大学を建設したこと、1978 年以降米国が投資場所として是認したこと、米国が関税を引き下げ中国の銀行・科学・海洋開発の指針を与えて来たこと。こうしたアメリカの中国への援助に関して一行たりとも中国の教科書に記述があるのを見たことがない」 (109-110 頁)、「毎年、アメリカの税金が中国の台頭支援に使われて来たのだ」(215 頁) 等。
被害者は日本だけではないようである。
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